Food and Agriculture Organization(FAO)の発表によると、タイの茶葉生産量は1972年の50トンから2022年の109,194トンへと大幅に増加しています。特に1990年代初頭から急速に成長し、2000年代以降も増加傾向は続きましたが、2012年以降に一部減少が見られる年もあります。その後、2017年以降は再び成長軌道に乗り、最新の2022年では初めて10万トンを超えています。
タイの茶葉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 106,347 |
-2.61% ↓
|
2022年 | 109,194 |
2.57% ↑
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2021年 | 106,457 |
2.94% ↑
|
2020年 | 103,420 |
7.13% ↑
|
2019年 | 96,537 |
3.71% ↑
|
2018年 | 93,084 |
17.24% ↑
|
2017年 | 79,393 |
22.65% ↑
|
2016年 | 64,734 |
31.96% ↑
|
2015年 | 49,054 |
21.65% ↑
|
2014年 | 40,324 |
-40.71% ↓
|
2013年 | 68,013 |
-5.19% ↓
|
2012年 | 71,733 |
-2.16% ↓
|
2011年 | 73,320 |
9.04% ↑
|
2010年 | 67,241 |
5.55% ↑
|
2009年 | 63,707 |
3.49% ↑
|
2008年 | 61,557 |
7.31% ↑
|
2007年 | 57,362 |
6.66% ↑
|
2006年 | 53,782 |
4.29% ↑
|
2005年 | 51,570 |
-0.48% ↓
|
2004年 | 51,817 |
19.58% ↑
|
2003年 | 43,333 |
19.31% ↑
|
2002年 | 36,321 |
8.44% ↑
|
2001年 | 33,494 |
3.61% ↑
|
2000年 | 32,327 |
7.76% ↑
|
1999年 | 30,000 |
7.14% ↑
|
1998年 | 28,000 |
12% ↑
|
1997年 | 25,000 |
13.64% ↑
|
1996年 | 22,000 |
18.92% ↑
|
1995年 | 18,500 |
15.63% ↑
|
1994年 | 16,000 |
18.52% ↑
|
1993年 | 13,500 |
22.73% ↑
|
1992年 | 11,000 |
29.41% ↑
|
1991年 | 8,500 |
30.77% ↑
|
1990年 | 6,500 |
29.15% ↑
|
1989年 | 5,033 |
1.49% ↑
|
1988年 | 4,959 |
45.85% ↑
|
1987年 | 3,400 |
36% ↑
|
1986年 | 2,500 |
-16.67% ↓
|
1985年 | 3,000 |
50% ↑
|
1984年 | 2,000 | - |
1983年 | 2,000 |
33.33% ↑
|
1982年 | 1,500 |
50% ↑
|
1981年 | 1,000 |
25% ↑
|
1980年 | 800 |
14.29% ↑
|
1979年 | 700 |
16.67% ↑
|
1978年 | 600 |
50% ↑
|
1977年 | 400 |
100% ↑
|
1976年 | 200 |
33.33% ↑
|
1975年 | 150 | - |
1974年 | 150 |
50% ↑
|
1973年 | 100 |
100% ↑
|
1972年 | 50 | - |
タイの茶葉生産量の推移を見てみると、1972年から2022年の50年間で大きな成長を遂げており、これは経済成長や農業技術の向上、そして国内外における茶の需要増加に支えられていると考えられます。特に1977年から1982年にかけて急激な伸びを見せ、1982年には1,500トン、1985年には3,000トンと、短期間で倍増を重ねました。この成長は、新しい茶栽培地域の開発や、タイ北部の山岳地帯における高品質茶葉の栽培が始まったことによるものと推測されます。
1990年代はさらに生産量が加速的に増加し、1990年の6,500トンから1996年の22,000トン、そして2000年には32,327トンと着実に拡大していきました。この時期の背景には、アジア諸国での茶文化の普及、人口の増加、そして中国などの主要な競争国における外国産茶葉の需要増加が挙げられます。タイはその地理的位置から、輸出市場に恵まれており、特にインドや中国、さらには中東の市場に対して価格競争力を持つ茶葉を供給してきました。
しかしながら、2010年代には全体的に年間の増加ペースが鈍化する時期もありました。例えば、2012年から2014年にかけては、生産量が71,733トンから40,324トンと突然の減少を見せました。この原因の一つとして、天候災害や土壌の劣化、あるいは茶葉価格の下落が挙げられるでしょう。タイ国内における農業の投資不足や、輸出競争国との価格競争激化も一因になった可能性があります。
2016年以降は再び好調な伸びを見せており、2022年には109,194トンと記録的な生産量に達しました。この成長を支えた要因の一つに、国際市場でのタイ茶のブランド化戦略や、地元農業者を支える政策の強化、さらに効率的な灌漑技術や持続可能な農法の導入が挙げられます。また、新型コロナの影響で家庭で飲まれるお茶の需要が世界的に拡大したことも寄与しています。
将来的な課題としては、市場の多様性の確保が挙げられます。依然として中国やインドなどの主要生産国との競争が激しく、価格や品質面での差別化を進める必要があります。また、地球温暖化の影響で山岳地帯の温度や降水量が変動する可能性があり、茶葉の品質や収量に影響を及ぼす恐れもあります。このため、適応型農業政策を進める必要があり、例えば耐熱性や耐寒性に優れた茶の品種の開発と導入が効果的な対策となり得るでしょう。
タイの茶産業をさらに成長させるためには、地域協力や貿易協定を活用して輸出市場を拡大することが鍵です。ASEAN内の自由貿易協定や、欧米市場へ向けたプロモーション活動の充実が必要です。同時に、国内の生産体制の強化を図るべく、農業従事者を育成し若い農家を支援する政策が求められるでしょう。また、農地の持続可能な管理や機械化の進展も重要な課題となります。
タイの茶葉生産量が今後も成長を続けるには、輸出市場と国内需要をバランス良く発展させるとともに、持続可能な農業手法を取り入れて気候変動に対応することが不可欠です。国際市場での競争を乗り越えながら、タイの茶産業が世界においてさらに重要な地位を占める未来が期待されます。