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タイのヨーグルト生産量推移(1961年~2021年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が公表した最新データによると、タイのヨーグルト生産量は2010年から2018年まで概ね増加傾向を示しピークを迎えましたが、2019年と2020年には大幅な減少が見られました。その後2021年には急激な回復を記録し、17,906トンと過去最高の生産量を達成しました。この急激な変動は、国内外の需要や新型コロナウイルス感染症の影響など、多面的な要因が関係している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 17,906
215.04% ↑
2020年 5,684
-2.39% ↓
2019年 5,823
-60.84% ↓
2018年 14,870
-0.08% ↓
2017年 14,882
-0.17% ↓
2016年 14,907
-0.04% ↓
2015年 14,913
12.4% ↑
2014年 13,269
-2.79% ↓
2013年 13,649
6.87% ↑
2012年 12,772
4.18% ↑
2011年 12,259
8.18% ↑
2010年 11,332 -

タイのヨーグルト生産量推移データを見ると、2010年から2018年にかけては比較的安定して増加していることがわかります。この期間中、生産量は11,332トンから14,870トンに増加し、8年間でおよそ31%の成長を遂げました。この成長は、タイ国内での乳製品の需要増加や健康志向の消費傾向が進んだことが背景にあると考えられます。特に、都市部を中心に中産階級が拡大し、健康・美容商品としてのヨーグルトの地位が向上したことが寄与したと言えるでしょう。

しかしながら2019年、突如として生産量が減少し、2020年にはさらに低下して5,684トンにまで縮小しました。この大きな下落の理由として、農業部門での政策変更や輸出関連の需要低迷が考えられます。また、 新型コロナウイルス感染症が2020年には深刻化し 、経済やサプライチェーンにまで影響を及ぼしたことも、生産量縮小の一因である可能性が高いと考えられます。特に観光業に依存度の高いタイにおいては、パンデミックに伴う観光需要の激減が食料品全体の市場動向に影響した点も否めません。

ところが2021年には、生産量が17,906トンまで急回復しています。これは、国内外の乳製品市場需要の劇的な回復や、政府および民間部門の支援が重要な要因として挙げられます。タイ政府が低所得層や農村地域の支援策として乳製品の振興に注力し、輸出をターゲットとした営農組合などがさらなる効率化を進めたことが、こうした生産回復を後押ししたと推測されます。また、この時期は世界的に健康志向の高まりが顕著となり、それを受けた乳製品産業全体の需要増が促進されたのもポイントです。

今後の課題として、まず安定的な生産基盤の確立が挙げられます。とりわけ、政策変更や外部の地政学的リスク(たとえば国際的な取引紛争など)による生産変動の影響を最小限に抑えるためには、持続可能な農業技術の導入や公私連携の強化が不可欠です。また、タイ国内だけでなく、特にASEAN諸国を含むアジア市場全体への輸出を戦略的に拡大していくことが、生産量の安定化や収益基盤の強化に繋がります。

一方、パンデミックの影響を受けた経験を教訓とし、災害や疫病といった突発的な要因に対しても柔軟に対応できるようにする必要があります。たとえば、在庫やロジスティクスの効率化や電子商取引(Eコマース)の利用増加など、新しい供給体制の構築が求められます。

結論として、タイのヨーグルト生産量推移には経済や社会的要因の変化が如実に反映されています。生産量を持続的に増加させるためには、内需外需のバランスを考慮しつつ、新しい技術と政策を柔軟に取り入れることが鍵です。同時に世界的な健康意識の高まりを好機と捉え、さらなる市場拡大を目指すべきでしょう。この動きが他国との経済競合にも耐えうる産業基盤の強化に繋がると考えられます。

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