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タイのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、タイのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1961年には41,000トンだったものの1970年代を通して急激に増加し、1980年には269,780トンに達しました。しかし、その後は増減を繰り返しつつ、2005年以降一貫して減少傾向を示しています。2023年の生産量は112,190トンにとどまり、ピーク時に比べて大幅な縮小が観察されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 112,190
-0.07% ↓
2022年 112,265
4.14% ↑
2021年 107,804
-3.58% ↓
2020年 111,808
-4.59% ↓
2019年 117,185
6.13% ↑
2018年 110,417
-9.8% ↓
2017年 122,410
3.1% ↑
2016年 118,729
31.76% ↑
2015年 90,113
-25.24% ↓
2014年 120,531
26.36% ↑
2013年 95,386
-36.41% ↓
2012年 149,999
-9.67% ↓
2011年 166,065
-19.82% ↓
2010年 207,116
6.47% ↑
2009年 194,524
1.15% ↑
2008年 192,305
8.66% ↑
2007年 176,975
35.32% ↑
2006年 130,783
-7.24% ↓
2005年 140,985
-52.84% ↓
2004年 298,969
46.53% ↑
2003年 204,036
-36.81% ↓
2002年 322,877
22.71% ↑
2001年 263,126
-4.59% ↓
2000年 275,771
31.32% ↑
1999年 210,000
2.44% ↑
1998年 205,000
2.5% ↑
1997年 200,000
-7.65% ↓
1996年 216,569
0.73% ↑
1995年 215,000
2.38% ↑
1994年 210,000
-4.55% ↓
1993年 220,000
-2.22% ↓
1992年 225,000
7.14% ↑
1991年 210,000
2.94% ↑
1990年 204,000
-0.49% ↓
1989年 205,000
2.5% ↑
1988年 200,000 -
1987年 200,000 -
1986年 200,000
-3.3% ↓
1985年 206,820
-9.75% ↓
1984年 229,157
-14.22% ↓
1983年 267,145
3.98% ↑
1982年 256,909
-5.66% ↓
1981年 272,310
0.94% ↑
1980年 269,780
6.21% ↑
1979年 254,000
5.83% ↑
1978年 240,000
6.67% ↑
1977年 225,000
4.65% ↑
1976年 215,000
7.5% ↑
1975年 200,000
8.11% ↑
1974年 185,000
8.82% ↑
1973年 170,000
9.68% ↑
1972年 155,000
10.71% ↑
1971年 140,000
12% ↑
1970年 125,000
13.64% ↑
1969年 110,000
10% ↑
1968年 100,000
11.11% ↑
1967年 90,000
12.5% ↑
1966年 80,000
12.68% ↑
1965年 71,000
10.94% ↑
1964年 64,000
-33.33% ↓
1963年 96,000
57.38% ↑
1962年 61,000
48.78% ↑
1961年 41,000 -

タイにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量推移は、農業技術や政策、地域的な需要、気候変動など、さまざまな要因の影響を受けています。1961年から1975年にかけての急激な増加は、農業技術の改善、農地拡大、国内外の需要の高まりが背景にあると考えられます。この時期の年平均増加率は明らかに高く、農業の成長を象徴するデータとして注目できます。

しかし、1980年代以降は増減が顕著に現れ、特に2005年以降は一貫して減少が続いています。この現象の背後にはいくつかの要因が推測されます。第一に、タイが世界的な工業化プロセスを進める中で、農地が工業用地や都市部に転用され、農業用地が縮小した可能性があります。第二に、気候変動や異常気象の影響による収穫量の不安定化が見られます。例えば、2004年に298,969トンだった生産量が翌2005年には140,985トンまで激減したことは、自然災害や疫病の影響を示唆するものと言えるでしょう。

近年、特に2010年代以降の減少には、農業従事者の高齢化、若年労働力の都市部流出、そして市場価格の下落が絡んでいると考えられます。2013年に95,386トンという低い値を記録したことは、カボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンがタイの農業全体での優先度が低下している現実を示している可能性があります。また、新型コロナウイルスの影響下では生産活動や物流が停滞し、市場への供給が制限されたことも、直近の数値に影響を与えていると考えられます。

加えて、近年の地政学的リスクや輸出市場競争の激化も見逃せない要素です。例えば、中国やインド、ベトナムといった近隣国では、カボチャや類似農産物の生産効率が向上しており、価格競争力の強化に成功しています。一方で、タイ国内では農業支援政策が他国ほど積極的でないことが問題視されています。このような状況において、タイのカボチャ生産業が競争力を高め、市場での地位を維持するのは容易ではありません。

将来的にタイがこの産業を持続可能な形で発展させるためには、いくつかの対策が考えられます。まず、農業従事者の教育や技術支援を強化し、生産効率を向上させる必要があります。具体的には、スマート農業の導入や耐病性の高い新品種の開発が挙げられます。さらに、地理的条件を活かした有機栽培や高付加価値商品の開発を通じて、国際市場での差別化を図る戦略も有効です。

また、農産物の輸出を促進するために国内外の物流網を整備し、税制や輸出規制を緩和することも重要です。これに加え、地域内の協力を強化し、ASEAN内での生産戦略の共有や共通基準の策定を進めることも視野に入れるべきです。これにより、タイ産カボチャの品質や供給安定性への信頼を向上させ、市場シェアを維持することが期待されます。

結論として、カボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量減少は、多様な要因が絡み合った複雑な問題です。これに対処するためには、短期的な政策変更だけでなく、長期的な視点で農業政策全体を見直す必要があります。地球規模の気候変動にも対応できる持続可能な農業を構築することが、タイの課題解決への大きな鍵となるでしょう。