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タンザニア連合共和国の大麦生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国連食糧農業機関)が提供している最新データによると、タンザニア連合共和国の大麦生産量は1961年からの長期的な推移において、著しい増加を示す一方で、特定の期間における急激な変動のパターンも確認されています。初期では1961年の100トンから始まり、2006年には20,590トンと大幅に向上しましたが、2023年には前年度までの20,000トン前後から急激に低下し3,787トンにまで落ち込んでいます。この劇的な変動は、地政学的な背景や気候変動、社会経済状況が複雑に影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,787
-81.3% ↓
2022年 20,249
0.91% ↑
2021年 20,067
-2.08% ↓
2020年 20,493
2.37% ↑
2019年 20,019
2.66% ↑
2018年 19,501
13.02% ↑
2017年 17,255
9.87% ↑
2016年 15,705
8.76% ↑
2015年 14,440
26.67% ↑
2014年 11,400
0.88% ↑
2013年 11,300
5.9% ↑
2012年 10,670
54.68% ↑
2011年 6,898
-54.7% ↓
2010年 15,228
3.56% ↑
2009年 14,705
-8.09% ↓
2008年 16,000
-10.26% ↓
2007年 17,830
-13.4% ↓
2006年 20,590
14.39% ↑
2005年 18,000
12.5% ↑
2004年 16,000
10.34% ↑
2003年 14,500
11.54% ↑
2002年 13,000
13.04% ↑
2001年 11,500
27.78% ↑
2000年 9,000
63.64% ↑
1999年 5,500
-8.33% ↓
1998年 6,000
50% ↑
1997年 4,000
-20% ↓
1996年 5,000
-16.67% ↓
1995年 6,000
9.09% ↑
1994年 5,500
10% ↑
1993年 5,000
-9.09% ↓
1992年 5,500
1.85% ↑
1991年 5,400
1.89% ↑
1990年 5,300
1.92% ↑
1989年 5,200
1.96% ↑
1988年 5,100
2% ↑
1987年 5,000
2.04% ↑
1986年 4,900
2.08% ↑
1985年 4,800
2.13% ↑
1984年 4,700
2.17% ↑
1983年 4,600
2.22% ↑
1982年 4,500
12.5% ↑
1981年 4,000
14.29% ↑
1980年 3,500
14.75% ↑
1979年 3,050
52.5% ↑
1978年 2,000 -
1977年 2,000 -
1976年 2,000 -
1975年 2,000
122.22% ↑
1974年 900
-38.78% ↓
1973年 1,470
234.09% ↑
1972年 440
15.79% ↑
1971年 380
171.43% ↑
1970年 140
53.85% ↑
1969年 91
-78.33% ↓
1968年 420
-7.89% ↓
1967年 456
128% ↑
1966年 200 -
1965年 200
-33.33% ↓
1964年 300
50% ↑
1963年 200
100% ↑
1962年 100 -
1961年 100 -

タンザニア連合共和国の大麦生産量推移を見ると、長期的な増加トレンドと突発的な減少が交互に現れており、地域農業の脆弱な部分が浮き彫りになっています。この増加基調の背景として挙げられるのは、農業技術の向上、農地拡大、政府による農業支援政策などがあります。1980年以降に見られる大麦生産の安定した成長は、当時のアフリカ全体の農業政策改革や国際的な技術援助の影響によるものでした。しかしながら、時折見られる急減(2023年の例など)は、大麦農業の持続可能性に課題があることを示しています。

特に注目すべきは2023年、わずか3,787トンにまで生産量が落ち込んだ点です。昨年まで20,000トンを超える生産が維持されていたにもかかわらず、このような急激な減少が発生したことは、自然災害や疫病、気候変動の影響に加え、経済的・政治的要因が複合的に作用した可能性があります。こちらについては、降雨パターンの変化、干ばつ頻度の増加、さらに地域的な社会紛争の激化が具体的な要因として考えられます。

タンザニアは地政学的には東アフリカに位置し、資源争奪が他国との間で激化するリスクが高い地域です。このような背景の中、農業セクターが経済の中心であるタンザニアにおいて、持続的な大麦の生産を確保することは喫緊の課題となります。ただし、類似する農業立国であるインドや中国と比較すると、タンザニアの技術基盤や生産効率は依然として低い状況にあります。例えば、中国では精密農業が積極的に展開され、畑のモニタリングや自動化機器が導入されることで、穀物生産が効率的に管理されています。それに対して、タンザニアはこのような先進技術の導入が進んでおらず、外部からの支援や技術協力が鍵を握ると言えます。

また、地域紛争や疫病、そして2019年以降の新型コロナウイルス感染症の影響も忘れてはなりません。これらの要素によりサプライチェーンが混乱し、農業資材の供給や輸出用インフラが脆弱な状態に陥ることで、大麦生産の急減につながった可能性があります。

今後は、タンザニア政府と国際社会が手を携え、具体的な対策を講じる必要があります。第一に、気候変動に対応した農業技術の普及が重要です。例えば、干ばつに強い大麦品種の開発や灌漑設備の拡充などが有益です。第二に、社会的不安を和らげるための長期的な平和構築が求められます。これには、地域間の協力枠組みを強化し、農業資材の安定供給を図ることが含まれます。また、農業の機械化とデジタル化の促進によって、収穫効率を向上させることも不可欠です。さらに、国際機関や援助団体と連携し、農業従事者への研修プログラムを拡充することが大麦生産の持続可能性を確保する一助になるでしょう。

結論として、タンザニアにおける大麦生産量は、一時の急激な減少を乗り越えながらも、長期的に持続可能な成長を目指す必要があります。そのためには、技術的、社会的、環境的アプローチを総合的に適用し、農業の回復力を強化することが不可欠です。国際的な共同行動を視野に入れ、タンザニアの農業セクターに長期的な発展基盤を提供することが、安定した大麦生産の鍵となるでしょう。