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タンザニア連合共和国のプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、タンザニア連合共和国のプランテン(調理用バナナ)の生産量は、1961年から2023年の間で大きな変動を経験しています。特に1960年代から1980年代にかけての不安定な推移が見られる一方で、1980年代中盤以降、比較的安定した生産量が確保されています。しかし、2010年以降は生産量がほぼ横ばいの状態で、年間580,000トン前後に推移しています。このデータは、タンザニア農業の安定性と同国の社会経済的背景を理解する上で重要な指標といえます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 580,654
0.08% ↑
2022年 580,217
-0.02% ↓
2021年 580,339
-0.02% ↓
2020年 580,461
0.04% ↑
2019年 580,214
0.05% ↑
2018年 579,937
0.01% ↑
2017年 579,851 -
2016年 579,862
-0.03% ↓
2015年 580,008
0.12% ↑
2014年 579,298
0.46% ↑
2013年 576,630
-0.14% ↓
2012年 577,444
-0.14% ↓
2011年 578,258
-0.14% ↓
2010年 579,072
-0.14% ↓
2009年 579,886
-0.14% ↓
2008年 580,701
0.09% ↑
2007年 580,176
-1.14% ↓
2006年 586,871
-2.19% ↓
2005年 600,000
1.49% ↑
2004年 591,200
4.67% ↑
2003年 564,800
-6.12% ↓
2002年 601,600
-3.52% ↓
2001年 623,531
10.92% ↑
2000年 562,160
-6.51% ↓
1999年 601,280
-10.07% ↓
1998年 668,640
38.35% ↑
1997年 483,280
-5.74% ↓
1996年 512,720
-1.54% ↓
1995年 520,720
-11.25% ↓
1994年 586,720
-7.98% ↓
1993年 637,600
0.41% ↑
1992年 635,000
5.83% ↑
1991年 600,000
-8.88% ↓
1990年 658,500
10.67% ↑
1989年 595,000
-8.46% ↓
1988年 650,000
2.52% ↑
1987年 634,000
2.01% ↑
1986年 621,500
0.4% ↑
1985年 619,000
0.49% ↑
1984年 616,000
1.32% ↑
1983年 608,000
1.33% ↑
1982年 600,000 -
1981年 600,000
1.35% ↑
1980年 592,000
1.37% ↑
1979年 584,000
-0.43% ↓
1978年 586,500
-1.76% ↓
1977年 597,000
3.83% ↑
1976年 575,000
57.75% ↑
1975年 364,500
5.04% ↑
1974年 347,000
17.23% ↑
1973年 296,000
-4.98% ↓
1972年 311,500
-13.23% ↓
1971年 359,000
-34.25% ↓
1970年 546,000
40% ↑
1969年 390,000
32.88% ↑
1968年 293,500
-17.56% ↓
1967年 356,000
-33.83% ↓
1966年 538,000
31.86% ↑
1965年 408,000
-0.07% ↓
1964年 408,300
9.05% ↑
1963年 374,400
10.9% ↑
1962年 337,600
-2.09% ↓
1961年 344,800 -

タンザニア連合共和国のプランテン生産量の推移データを振り返ると、1961年から2023年にかけて特徴的なパターンが見られます。この農作物は同国の食料供給と経済の両面で重要な役割を持ち、主に国内消費用として栽培されています。1961年の生産量は344,800トンであり、その後急激な増減を繰り返しながら、1976年には575,000トン、1988年には650,000トンに達しました。しかしながら、1990年代中盤には再び減少傾向となり、最低の483,280トンを記録した1997年を経て、以降はおおむね安定的な数字に戻っています。2010年以降のデータからは、年間580,000トン前後でほぼ一定とする安定期が見えてきます。

このような生産量の推移には、いくつかの要因が影響しています。まず第一に、気候変動の影響が挙げられます。プランテンは温暖で湿潤な気候を好むため、タンザニアの一部地域では収量に大きな影響を受ける年がありました。また、土地利用と農業技術の発展も生産量の安定性に寄与していますが、1970年代からの人口増加や都市化が農地に与えた影響は否めません。その結果、一部では顕著な土地劣化や生産効率の低下が問題となりました。

さらに、この期間中に発生した地域衝突や経済不安もプランテン生産量に影響を与えた要因の一つです。特に1990年代は政治的な不安定さと農業インフラの未整備が生産量減少に寄与した可能性があります。これらの要因に対処するための政策が実施された2000年代以降、生産量は再び安定感を取り戻しました。

2023年において生産量は580,654トンとなり、ここ数十年の中で最も安定した数字を見せています。しかし、これに安心して留まるべきではありません。タンザニアは現在、急速な人口増加に直面しており、特に農村部では食料需要のさらなる拡大が予想されています。また、極端な気象現象や病害虫の発生は依然として課題となっています。たとえば、モザンビークバナナの萎縮病など、プランテンに深刻な影響を及ぼす病害のリスクが地域の農業に暗い影を落としています。

このような状況を踏まえ、政策上いくつかの具体的な対策が必要です。まず、農業インフラの整備とともに、気候変動の影響を軽減するための灌漑システムの導入が重要です。次に、生産効率を向上させるために、病害に強いプランテン品種の開発や普及を加速させるべきです。さらに、国際的な協力の枠組みを活用し、近隣諸国との技術共有や市場の拡大を目指す取り組みも求められます。

結論として、タンザニアのプランテン生産は緩やかな回復基調を示していますが、地域的な限界点や国際的な需要の増加を考慮すると、さらなる投資と政策の強化が肝要です。これにより、地域の食料安全保障を支えるだけでなく、同国の経済成長に資するポテンシャルも広がることでしょう。