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タンザニア連合共和国のナシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、タンザニア連合共和国のナシ生産量は1995年から2023年にかけて大きな変動を見せつつ、全体としては長期的な成長を遂げています。特に2000年代後半から2015年にかけて急激な増加が見られ、2015年には5,550トンに達しました。その後は生産量が停滞気味になり、2019年以降はおおむね5,100~5,300トンで横ばいの傾向を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,196
0.29% ↑
2022年 5,181
-0.49% ↓
2021年 5,207
0.12% ↑
2020年 5,201
1.26% ↑
2019年 5,136
-2.81% ↓
2018年 5,284
1.98% ↑
2017年 5,182
4.86% ↑
2016年 4,942
-10.96% ↓
2015年 5,550
14.63% ↑
2014年 4,841
9.19% ↑
2013年 4,434
10.85% ↑
2012年 4,000
14.29% ↑
2011年 3,500
16.67% ↑
2010年 3,000
25% ↑
2009年 2,400
26.32% ↑
2008年 1,900
35.71% ↑
2007年 1,400
40% ↑
2006年 1,000
33.33% ↑
2005年 750
50% ↑
2004年 500
66.67% ↑
2003年 300
50% ↑
2002年 200
33.33% ↑
2001年 150
-62.5% ↓
2000年 400
33.33% ↑
1999年 300
51.18% ↑
1998年 198
4.43% ↑
1997年 190
17.37% ↑
1996年 162
7.93% ↑
1995年 150 -

タンザニア連合共和国は、東アフリカ地域で農業が経済や食糧安全保障に重要な位置を占める国です。その中でナシの生産は、国内消費を支えるだけでなく、アフリカ大陸内外への輸出産品としても重要な役割を果たしています。提供されたデータから、同国のナシ生産は、1990年代にはごく少ない量で停滞していましたが、2000年代初頭には急激に拡大したことが分かります。特に2004年頃から生産量が年々大幅に増加しており、2015年には5,550トンという過去最高を記録しました。しかし、それ以降は生産増加の勢いが収束し、近年では5,200トン前後で横ばいになる傾向が見られます。

この20年以上にわたるナシ生産量の推移には、複数の要因が関与しています。まず、農業技術の導入や政府の支援政策が生産量増加の主要因であり、特に2000年代後半の急成長は品種改良や灌漑設備の導入によるものだと考えられます。他方で、2015年以降の停滞傾向は、気候変動による雨季の遅延や干ばつ、土壌の劣化などの環境要因、農村部のインフラ不足、農業従事者への支援不足など複合的な課題が絡み合っています。また、新型コロナウイルス感染症やグローバル市場の混乱も、近年のナシ生産に影響を与えたと推測されます。

国際的な視点で見ると、タンザニアのナシ生産量はアジア地域の主要生産国である中国やインド、日本と比べると規模は圧倒的に小さいものの、アフリカ内では高い競争力を持っています。それでもなお持続的な成長を達成するためには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候変動の影響を軽減するために灌漑システムの強化や、干ばつ耐性を持つ新品種の開発を拡充することが必要です。また、生産量増加だけでなく、収穫後の貯蔵施設や輸送インフラの整備を進めることで、収益性と輸出拡大を図ることが重要です。

さらに、地政学的な視点からは、近隣諸国との農業貿易協定の締結や地域協力の推進も効果的です。東アフリカ共同体(EAC)内での連携を強化し、国際市場でのプレゼンスを高める機会を模索することが求められます。また、国際機関や他国からの技術協力や資金援助を通じて、持続可能な農業技術の普及を進めるべきです。

結論として、タンザニアのナシ生産量は過去数十年で大きく増加しましたが、近年は成長が停滞しており、その停滞を打破するには持続可能な農業と気候変動への対応、さらには国際的な連携の強化が鍵を握っています。国や国際機関、地域共同体が一丸となって行動することで、未来の農業をさらに発展させ、タンザニアの経済と食糧安全を強化することができると考えられます。