Skip to main content

タンザニア連合共和国の羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、タンザニア連合共和国の羊肉生産量は、1961年の7,072トンから2023年の34,140トンまで増加しています。特に2010年以降、急激な生産の増加が見られ、2023年には2010年の約1.3倍に達しました。一方で、2017年から一部の年では生産量の減少が確認されるなど、近年の値には一定の変動が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 34,140
5.37% ↑
2022年 32,400
5.74% ↑
2021年 30,640
6.43% ↑
2020年 28,790
-13.2% ↓
2019年 33,170
18.89% ↑
2018年 27,900
14.72% ↑
2017年 24,320
-35.01% ↓
2016年 37,420
-3.53% ↓
2015年 38,790
7.45% ↑
2014年 36,100
4.03% ↑
2013年 34,700
4.11% ↑
2012年 33,330
7.14% ↑
2011年 31,110
19.7% ↑
2010年 25,990
124.91% ↑
2009年 11,556
0.56% ↑
2008年 11,491
0.71% ↑
2007年 11,410
3.49% ↑
2006年 11,024
0.63% ↑
2005年 10,955
0.64% ↑
2004年 10,885
-10.72% ↓
2003年 12,192
12.96% ↑
2002年 10,793
0.8% ↑
2001年 10,708
0.77% ↑
2000年 10,626
-2.65% ↓
1999年 10,915
-0.61% ↓
1998年 10,982
0.52% ↑
1997年 10,925
1.67% ↑
1996年 10,746
1.69% ↑
1995年 10,568
-0.61% ↓
1994年 10,632
0.54% ↑
1993年 10,575
3.85% ↑
1992年 10,182
4.73% ↑
1991年 9,723
-0.96% ↓
1990年 9,817
0.45% ↑
1989年 9,773
0.43% ↑
1988年 9,731
0.38% ↑
1987年 9,694
0.37% ↑
1986年 9,658
0.34% ↑
1985年 9,625
11.48% ↑
1984年 8,634
-5.8% ↓
1983年 9,166
1.56% ↑
1982年 9,025
-15.44% ↓
1981年 10,673
4.4% ↑
1980年 10,223
-0.33% ↓
1979年 10,256
2.04% ↑
1978年 10,051
2.04% ↑
1977年 9,850
2.04% ↑
1976年 9,653
2.04% ↑
1975年 9,460
2.04% ↑
1974年 9,271
2.05% ↑
1973年 9,085
4.46% ↑
1972年 8,698
11.67% ↑
1971年 7,789
-0.04% ↓
1970年 7,791
-0.07% ↓
1969年 7,797
-0.11% ↓
1968年 7,805
-0.14% ↓
1967年 7,816
-0.25% ↓
1966年 7,836
21.51% ↑
1965年 6,448
-1.23% ↓
1964年 6,529
-16.58% ↓
1963年 7,827
7.27% ↑
1962年 7,296
3.17% ↑
1961年 7,072 -

タンザニア連合共和国の羊肉生産量推移を観察すると、数十年にわたる持続的な成長が確認できます。特に1960年代から2000年代初めにかけては、毎年少しずつ増加した一方で、大規模な変動は見られませんでした。この時期の羊肉生産量の増加は、農牧業技術の安定、設備の拡充、そして近隣地域の需要増加などにより支えられたものと考えられます。ただし、この期間にも一部、生産量が大きく減少する年(たとえば1964年6,529トン)もありました。この背景には、干ばつや疾病、家畜の衛生状態の悪化が関与している可能性が示唆されます。

2010年以降の急激な上昇は注目に値するポイントです。この時期、2010年から2015年にかけて羊肉の生産は25,990トンから38,790トンへと一気に増加しました。この急上昇は、国内外の需要の拡大、家畜生産に関する政府の支援政策、さらに輸出市場の開拓などが要因と考えられます。この伸びは、特に都市化の進展や中産階級の増加に伴う高品質なタンパク源への需要増加とも関連しています。一方、2016年以降一部の年では成長の鈍化や減少も観察されています。2017年は24,320トン、2020年は28,790トンと、いずれも特に急激な特異値を示しています。この背景として、気候変動による牧畜環境への影響、新型コロナウイルス感染症による物流の混乱、さらに地域衝突や内的な政治的不安定さなどが考えられます。

地政学的観点から見ると、タンザニアはサバンナ気候地域を持つ東アフリカに位置し、牧畜業には適した環境を擁しています。しかしながら、干ばつや土壌劣化、さらに国境付近の不安定要因が家畜資源に悪影響を与えるリスクが残っています。特に地域衝突が増加すれば、放牧地や水資源を巡る争いが生じ、生産性がさらに低下する可能性があります。また、気候変動は、放牧可能な土地の縮小と資源への競争を煽る要因となるでしょう。

未来に向けた課題として、まず第一に、家畜管理システムの改善が挙げられます。効率的で持続可能な放牧方法や、家畜疾病管理ガイドラインの普及などが重要です。また、気候変動に対する適応戦略、例えば干ばつに強い牧草の栽培や、水源管理の効率化といった方法も有効です。さらに、輸出市場の多様化もタンザニアにとっては課題です。近年、羊肉の輸出先が限られている現状を改善し、地理的に近い中東やアジアへの輸出網を拡大することが求められます。

結論として、タンザニアの羊肉生産量増加は肯定的な指標となる一方で、課題も複数残されています。FAOやアフリカ開発銀行など国際機関の支援をとりいれながら、技術的、経済的課題に対応することが急務です。タンザニアが安定して持続可能な家畜生産のリード国として成長を続けるためには、地域課題の克服が鍵を握っています。