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タンザニア連合共和国のキャベツ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、タンザニア連合共和国のキャベツ生産量は1990年の22,000トンから2022年の84,170トンまで、約4倍近い増加を見せてきました。特に2010年以降には大幅な生産量の成長が見られる一方、2020年以降は横ばい状態が続いています。このデータは、タンザニアの農業発展の成果や課題を示しており、今後の改善点を考えるうえで重要な指標となります。

年度 生産量(トン)
2022年 84,170
2021年 84,319
2020年 84,149
2019年 84,041
2018年 84,769
2017年 83,638
2016年 83,715
2015年 78,653
2014年 91,792
2013年 80,700
2012年 70,000
2011年 55,000
2010年 45,000
2009年 37,148
2008年 31,063
2007年 37,879
2006年 38,532
2005年 40,058
2004年 41,000
2003年 41,495
2002年 40,640
2001年 40,000
2000年 39,594
1999年 39,000
1998年 35,018
1997年 31,000
1996年 29,944
1995年 29,200
1994年 30,000
1993年 29,000
1992年 24,728
1991年 23,304
1990年 22,000

タンザニア連合共和国におけるキャベツの生産量データを見ると、1990年から2022年までの約30年間で顕著な増加傾向が見られます。特に1990年代から2000年代初頭にかけての緩やかな成長に続き、2010年以降には急激な伸びが確認でき、2011年には55,000トン、2012年には70,000トンを記録しました。この増加は、キャベツが国内の需要に応える主要作物の1つとして成長してきたこと、そして農業技術や労働力の改善による可能性があります。しかし、近年では生産量が横ばいに近い状態で推移している点が注目されます。2020年以降、年間約84,000トン前後で安定しています。

このデータはタンザニア国内の経済的・社会的要因にも大きく関連しています。農業は同国の国内総生産(GDP)の主要な部分を占めており、人口増加や都市化が食料需要を押し上げてきた背景があります。しかし、一方で農地の限界や気候変動の影響、特に干ばつや豪雨が農作物の生産性を不安定にしていることが考えられます。加えて、適切なインフラや農業技術への投資不足が依然として課題となっています。

タンザニアにおけるキャベツ生産量の伸びを他国と比較すると、中国やインドなどのアジア諸国では国内消費と輸出を両立させた産業規模の大きさから、膨大な生産量を維持しています。これに対し、タンザニアのキャベツ生産は主に国内消費が中心となっており、生産量や効率の面で世界的な競争力を持つには至っていません。また、アフリカ近隣国では、ケニアが一部作物で比較的生産性を高めている一方、タンザニアの農業生産は一部の地方に偏在している可能性があります。

さらに、生産の横ばい状態が続く最近の背景には、新型コロナウイルス感染症の影響による物流の制約や国内外の経済的影響があると考えられます。また、気候変動により過去と同じ農法では持続的な生産性向上が難しくなった点も無視できません。このため、タンザニアの農業セクター全体として、持続可能な気候適応型の農業技術や資源効率化の導入が求められています。

今後、タンザニアがキャベツ生産をさらに発展させるためには、いくつかの具体的な方策が挙げられます。一つ目は、農家に対する技術支援や教育の充実です。例えば、効率的で耐性の高いキャベツの品種開発と普及が有効です。次に、農作物保管・輸送インフラの整備により、生産後のロスを最小化することが重要で、特に冷蔵技術や輸送手段の強化が急務です。また、国際的な市場へアクセスを広げるための輸出インフラの構築や、地域内で協力するフードビジネスの強化も検討すべきです。

さらに、地政学的な視点から見ると、隣接する東アフリカ諸国との連携を強化し、農業技術やノウハウを共有することで、区域全体の生産性向上が期待されます。そして気候変動への対応策として、国際機関や外国からの資金援助を活用し、持続可能な農業モデルの導入が長期的な生産性維持につながります。

結論として、タンザニアのキャベツ生産の伸びは過去数十年間の経済的・技術的な進展を反映している一方、近年の停滞は同国が直面する課題の複雑さを示しています。生産量の横ばいを脱するためには、政府と民間、さらには国際支援が一体となった取り組みが必要です。将来的な方向性として、国際市場を視野に入れた競争力の向上を図りつつ、国内市場での安定供給を両立させることが求められるでしょう。