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ドイツのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、ドイツのトウモロコシ生産量は、1961年の26,151トンから2022年の3,837,400トンまで、大きく増加してきました。特に1980年代以降に急速に生産量が拡大し、2008年には過去最高の5,105,861トンを記録しました。しかし、2015年以降は生産量の変動が激しく、近年は増加傾向の停滞が見られます。これは気候変動や農業政策の影響を受けた可能性が高いと考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 3,837,400
2021年 4,462,400
2020年 4,020,000
2019年 3,664,800
2018年 3,344,300
2017年 4,547,600
2016年 4,017,800
2015年 3,973,000
2014年 5,142,100
2013年 4,387,300
2012年 5,514,700
2011年 5,183,600
2010年 4,211,501
2009年 4,527,228
2008年 5,105,861
2007年 3,809,320
2006年 3,220,300
2005年 4,082,700
2004年 4,199,857
2003年 3,421,642
2002年 3,738,448
2001年 3,504,514
2000年 3,324,018
1999年 3,256,916
1998年 2,781,464
1997年 3,188,356
1996年 2,912,620
1995年 2,394,565
1994年 2,445,993
1993年 2,656,450
1992年 2,139,031
1991年 1,936,987
1990年 1,551,758
1989年 1,573,476
1988年 1,537,410
1987年 1,217,263
1986年 1,303,751
1985年 1,204,552
1984年 1,026,425
1983年 933,853
1982年 1,055,271
1981年 835,360
1980年 675,807
1979年 746,481
1978年 619,416
1977年 581,311
1976年 479,726
1975年 532,412
1974年 523,800
1973年 586,399
1972年 591,044
1971年 602,993
1970年 521,057
1969年 403,522
1968年 288,989
1967年 197,485
1966年 128,441
1965年 99,002
1964年 65,010
1963年 50,249
1962年 45,259
1961年 26,151

ドイツにおけるトウモロコシ生産量の推移を見ると、1960年代には極めて低い水準からスタートしていることがわかります。この当時、トウモロコシは他の穀物作物、特に小麦や大麦に比べて重要度が低く、生産量も限られていました。しかし、1970年代以降、農業技術の向上や家畜飼料としての需要の増加、さらにはヨーロッパの共同農業政策(CAP)の影響を受け、生産量が計画的かつ持続的に増加しました。

特に1980年代に入ると、気候条件の安定や生産技術の発展、さらに新しい品種の導入により、トウモロコシ栽培が本格化しました。1988年に1,537,410トンという大台を突破し、1990年代にはさらなる成長を遂げ、2000年台になると年間約3百万トンを記録するレベルに達しています。2008年には肥沃な土壌と優れた気候条件が重なり、生産量は5,105,861トンに達しました。

一方で、近年の生産量には顕著な変動が見られます。特に2015年以降、生産量が4百万トンを下回る年も現れ、2018年には3,344,300トンまで低下しました。この変動要因として、気候変動による異常気象、降水量や気温パターンの変化、さらには土壌の劣化が挙げられます。2020年以降は再び生産量が増加傾向を見せたものの、2022年の3,837,400トンという数字は、依然として過去のピークとは程遠い水準です。

このような背景には、ドイツが直面する独自の課題が存在します。一つ目は、気候変動です。ドイツでは年々気温が上昇し、一部の地域では干ばつや高温により農作物の生育が困難になる問題が頻発しています。特にトウモロコシは水を多く必要とする作物であるため、十分な灌漑設備のない地域では、生産量の安定が難しくなっています。また、農地の利用法やトウモロコシ品種の選択の適切性が、収穫量に与える影響も無視できません。

さらには、EUの農業政策との関連性も重要です。近年、環境意識の高まりを背景に、化学肥料や農薬の使用削減が推進されており、その結果、収量が制限される可能性があります。さらに、トウモロコシを利用したバイオマス燃料の需要増加も見られていますが、これが穀物としてのトウモロコシ供給に圧力をかけている現状があります。

今後の対策としては、まず気候条件に耐性のある新品種の導入と灌漑技術の進化が必須とされます。また、農家への支援策の強化や安定的な収益を確保する市場構造の整備も急務です。EUレベルでの政策調整を行い、環境対策と生産効率向上を両立させる新たなフレームワークが必要です。また、地政学的リスクが穀物市場に与える影響も見過ごすことはできません。ウクライナ危機を背景とした農業資材の価格高騰が波及し、ドイツのトウモロコシ生産にも中長期的な影響を与える可能性があります。

結論として、ドイツのトウモロコシ生産は過去数十年で飛躍的な成長を遂げましたが、近年は気候変動が新たな課題として浮上しています。この問題に対応するためには、技術革新や政策策定を通じて持続可能性を高める努力が求められます。ドイツだけでなく、EU全体での連携とグローバルな気候対策が、安定的なトウモロコシ供給を確保する鍵となるでしょう。