国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トルコのヨーグルト生産量は過去数十年間で劇的な変化を遂げ、特に2000年代以降、生産量が急増しました。1980年代から1990年代にかけては生産量が不安定でしたが、2005年以降急激に増加し、近年は安定して年間10,000トン前後を維持しています。この成長には、国内外での需要の高まりや、生産技術の進化が大きく寄与していると考えられます。
トルコのヨーグルト生産量推移(1961年~2021年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2021年 | 10,425 |
-0.5% ↓
|
2020年 | 10,477 |
-4.59% ↓
|
2019年 | 10,981 |
3.99% ↑
|
2018年 | 10,560 |
3.4% ↑
|
2017年 | 10,212 |
16.61% ↑
|
2016年 | 8,758 |
0.12% ↑
|
2015年 | 8,747 |
-9.5% ↓
|
2014年 | 9,665 |
8.21% ↑
|
2013年 | 8,932 |
3.55% ↑
|
2012年 | 8,625 |
-13.75% ↓
|
2011年 | 10,000 |
-14.38% ↓
|
2010年 | 11,680 |
43.14% ↑
|
2009年 | 8,160 |
29.94% ↑
|
2008年 | 6,280 |
9.03% ↑
|
2007年 | 5,760 |
10.77% ↑
|
2006年 | 5,200 |
160% ↑
|
2005年 | 2,000 |
24900% ↑
|
2004年 | 8 | - |
2003年 | 8 | - |
2002年 | 8 |
-95% ↓
|
2001年 | 160 |
33.33% ↑
|
2000年 | 120 |
200% ↑
|
1999年 | 40 |
66.67% ↑
|
1998年 | 24 |
-80% ↓
|
1997年 | 120 | - |
1996年 | 120 |
150% ↑
|
1995年 | 48 |
-14.29% ↓
|
1994年 | 56 |
600% ↑
|
1993年 | 8 | - |
1992年 | 8 | - |
1991年 | 8 |
-95.83% ↓
|
1990年 | 192 |
-31.43% ↓
|
1989年 | 280 |
-22.22% ↓
|
1988年 | 360 |
1400% ↑
|
1987年 | 24 |
-50% ↓
|
1986年 | 48 |
-33.33% ↓
|
1985年 | 72 | - |
トルコのヨーグルト生産量推移を紐解くと、1985年から1990年代初頭は生産量が比較的小規模かつ不安定であったことがわかります。この時期は最大でも1988年の360トンで、それ以外の年度はほとんどが100トン未満という数値でした。この不安定さの要因には、国内市場の需要不足や生産インフラの未発達が挙げられると推測されます。また、政情の不安定さや経済的制約も各地の食品製造業に影響を与えていた可能性があります。
2000年代初頭になると、生産量が安定的に成長を始め、2005年に初めて2,000トンに達しました。その後、2006年には5,200トン、2007年には5,760トン、2009年には8,160トンと急上昇を続け、2010年以降は10,000トン以上の生産量を記録しています。この急成長の背景には、ヨーグルトの健康食品としての認知度の向上があり、特に西洋諸国や国内都市部ではヨーグルトが日常的に消費される食品となりました。また、トルコ産ヨーグルトの輸出の拡大も生産増加に拍車をかけたと考えられます。
2010年代以降、生産量はおおむね10,000トン前後で安定していますが、若干の変動があります。例えば、2011年に10,000トンだった生産量が2012年には8,625トンまで減少しましたが、2017年には10,212トン、翌年2018年には10,560トンへと再び増加しています。これらの変動は国内外の需要動向や、農業政策の変更、生乳(ヨーグルトの主要原料)の価格変動などが影響を及ぼしている可能性があります。
現代の課題を考えると、まず輸出市場における競争力の維持が挙げられます。ヨーグルトはグローバルに需要の高い食品であり、アメリカやヨーロッパなどでも競合ブランドが多いです。特にギリシャヨーグルトなど、他の地域特有のヨーグルトと差別化を図ることがトルコ産ヨーグルトの維持・発展に重要です。また、気候変動が農業に与える影響を考えると、原料供給の安定化のための持続可能な農業政策の拡充が必要です。
さらに将来的には、新興経済国を含むグローバル市場の開拓が必要不可欠です。アジア市場、特に中国やインドなどの人口規模が大きい国々では、乳製品を取り入れるライフスタイルが広がりつつあります。トルコ産ヨーグルトの健康面でのメリットを強調しつつ、現地の味覚に合わせた商品展開を行うことで市場を拡大できる可能性が高いです。国内向けの施策としては、生産者の技術支援や原料コスト削減のための助成金制度の導入を検討する余地があります。
また、地政学的リスクとしては、ヨーグルトの輸出先が限られることが挙げられます。紛争や貿易摩擦が発生した場合、この産業にも大きな打撃が及ぶ可能性があります。そのため、トルコ政府は輸出先の多様化を図るとともに、地域間協力に基づく貿易枠組みの強化を進めるべきです。
ヨーグルト生産量の成長と安定は、トルコ経済の一部を担う重要な産業であることを示しています。政府、企業、そして国際的な協力が引き続き必要であり、トルコ産ヨーグルトが世界的に認知されるための基盤を築くことが求められます。