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トルコのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新に公表したデータによると、2022年におけるトルコのオリーブ生産量は2,976,000トンに達し、過去の記録と比較しても際立つ増産となっています。1961年以降の60年以上にわたるデータを見ると、トルコのオリーブ生産量は周期的な変動を続けながら、近年にかけて着実に増加傾向を見せています。ただし、生産量の振幅が大きく、一部の年には大幅に落ち込む特徴もあります。これらのデータは、気候条件、生産技術の発展、地政学的な影響など、多くの要因が絡み合っていることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,520,000
-48.92% ↓
2022年 2,976,000
71.16% ↑
2021年 1,738,680
32.06% ↑
2020年 1,316,626
-13.66% ↓
2019年 1,525,000
1.64% ↑
2018年 1,500,467
-28.55% ↓
2017年 2,100,000
21.39% ↑
2016年 1,730,000
1.76% ↑
2015年 1,700,000
-3.85% ↓
2014年 1,768,000
5.49% ↑
2013年 1,676,000
-7.91% ↓
2012年 1,820,000
4% ↑
2011年 1,750,000
23.67% ↑
2010年 1,415,000
9.63% ↑
2009年 1,290,654
-11.86% ↓
2008年 1,464,248
36.1% ↑
2007年 1,075,854
-39.11% ↓
2006年 1,766,749
47.23% ↑
2005年 1,200,000
-25% ↓
2004年 1,600,000
88.24% ↑
2003年 850,000
-52.78% ↓
2002年 1,800,000
200% ↑
2001年 600,000
-66.67% ↓
2000年 1,800,000
200% ↑
1999年 600,000
-63.64% ↓
1998年 1,650,000
223.53% ↑
1997年 510,000
-71.67% ↓
1996年 1,800,000
249.51% ↑
1995年 515,000
-63.21% ↓
1994年 1,400,000
154.55% ↑
1993年 550,000
-26.67% ↓
1992年 750,000
17.19% ↑
1991年 640,000
-41.82% ↓
1990年 1,100,000
120% ↑
1989年 500,000
-54.55% ↓
1988年 1,100,000
83.33% ↑
1987年 600,000
-40.59% ↓
1986年 1,010,000
68.33% ↑
1985年 600,000
-25% ↓
1984年 800,000
100% ↑
1983年 400,000
-69.7% ↓
1982年 1,320,000
230% ↑
1981年 400,000
-70.37% ↓
1980年 1,350,000
213.95% ↑
1979年 430,000
-60.91% ↓
1978年 1,100,000
175% ↑
1977年 400,000
-63.54% ↓
1976年 1,097,000
95.54% ↑
1975年 561,000
-33.21% ↓
1974年 840,000
152.63% ↑
1973年 332,500
-67.37% ↓
1972年 1,019,000
212.58% ↑
1971年 326,000
-52.13% ↓
1970年 681,000
121.25% ↑
1969年 307,800
-62.55% ↓
1968年 822,000
66.06% ↑
1967年 495,000
-41.11% ↓
1966年 840,600
113.27% ↑
1965年 394,146
-43.25% ↓
1964年 694,486
12.22% ↑
1963年 618,857
113.26% ↑
1962年 290,190
-57.9% ↓
1961年 689,324 -

トルコは、オリーブの生産および輸出において世界的に重要な位置を占める国であり、地中海地域特有の豊かな土壌と気候を活かして古くからオリーブ栽培を行ってきました。FAOのデータに基づくと、トルコのオリーブ生産量は周期的な変動を伴いながら長期的には増加しており、特に2000年代以降は単年あたり1,500,000トン以上の生産を安定的に記録するようになっています。しかし、年間ごとの生産量には大きな変動が見られるため、これがオリーブ採取や輸出業者にとって課題となっています。

生産量の変動の背景には、主に気候条件の大小年現象(隔年結果性)があります。これはオリーブの木が激しい収穫年と少ない収穫年を交互に繰り返す性質で、トルコのデータでもその影響が顕著に現れています。さらに、近年は地球温暖化による異常気象や降水パターンの変化も加わり、オリーブ生産量の不安定化を助長しています。2017年の2,100,000トンから2018年の1,500,467トンへの急激な減少や、その後2022年の顕著な増加は、まさにこの変動を象徴しているといえます。

加えて、地域衝突や貿易制限、そして地政学的リスクもトルコのオリーブ産業に影響を与えています。トルコは地中海南部の主要生産地を有しており、近隣国シリアやイラクの政治不安定化が一部地域の輸送や生産工程に影響を及ぼしている可能性があります。また、輸出面ではEU諸国(特にスペイン、イタリア、ギリシャ)との競争が激化しており、国際市場におけるシェア拡大には新たな戦略が求められます。

未来の課題として、まず必要なのは、生産の安定性を高めるための技術的対策の導入です。例えば、新品種の開発や栽培法の改良、灌漑技術の近代化が挙げられます。さらに、鉱物肥料や農薬の使用の最適化、オーガニック農法の普及を進めることで、環境負荷の軽減とともに高品質な製品を提供する基盤を整備することが重要です。特に、輸出対象国での健康志向の高まりを反映し、オリーブオイルの付加価値を高めるマーケティング戦略の強化が急務といえるでしょう。

また、地政学的リスクに対処するために、地域的な安定性を向上させる国際的な協議の継続や、国内のインフラ整備の促進も重要です。鉄道や港湾設備の近代化は、農作物の輸送効率を大幅に高めると考えられます。同時にデジタルトレーサビリティ技術を導入することで国際市場における信頼性を向上させ、長期的な民間投資を呼び込むことが期待されます。

結論として、2022年に記録された2,976,000トンのオリーブ生産量は明るいニュースであり、トルコが世界的なオリーブ生産国としての地位をさらに確立する可能性を示しています。しかし、気候変動への適応力を高めるとともに、技術革新や地域安定化を推進することが、今後の安定的成長には必須といえるでしょう。このような取り組みは、トルコ経済全体の強化のみならず、世界の食品と農業のサステナビリティにも寄与するものと考えられます。