国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トルコのオクラ生産量は近年、不安定な推移を見せています。1961年の10,000トンから始まり、2000年代に急増する一方、2010年代以降は緩やかに減少しています。2020年には一時的に40,654トンを記録しましたが、その後は再び減少に転じ、2023年には29,120トンという水準にまで下がっています。この変動には、気候変動、農業政策、農地面積の変化などの影響が複雑に絡み合っていると考えられます。
トルコのオクラ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 29,120 |
-4.47% ↓
|
2022年 | 30,484 |
-5.98% ↓
|
2021年 | 32,423 |
-20.25% ↓
|
2020年 | 40,654 |
29.36% ↑
|
2019年 | 31,428 |
7.96% ↑
|
2018年 | 29,111 |
2.01% ↑
|
2017年 | 28,536 |
-3.36% ↓
|
2016年 | 29,529 |
-3.42% ↓
|
2015年 | 30,574 |
-7.64% ↓
|
2014年 | 33,103 |
-1.32% ↓
|
2013年 | 33,545 |
-6.82% ↓
|
2012年 | 36,001 |
-1.8% ↓
|
2011年 | 36,662 |
-0.23% ↓
|
2010年 | 36,748 |
-4.38% ↓
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2009年 | 38,432 |
2.37% ↑
|
2008年 | 37,543 |
1.49% ↑
|
2007年 | 36,992 |
0.4% ↑
|
2006年 | 36,843 |
2.34% ↑
|
2005年 | 36,000 |
-16.28% ↓
|
2004年 | 43,000 |
21.13% ↑
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2003年 | 35,500 |
14.52% ↑
|
2002年 | 31,000 |
3.33% ↑
|
2001年 | 30,000 |
9.09% ↑
|
2000年 | 27,500 |
12.24% ↑
|
1999年 | 24,500 | - |
1998年 | 24,500 |
-2% ↓
|
1997年 | 25,000 |
-3.85% ↓
|
1996年 | 26,000 |
13.04% ↑
|
1995年 | 23,000 |
-9.8% ↓
|
1994年 | 25,500 |
15.91% ↑
|
1993年 | 22,000 |
10% ↑
|
1992年 | 20,000 |
-4.76% ↓
|
1991年 | 21,000 |
-4.55% ↓
|
1990年 | 22,000 |
4.76% ↑
|
1989年 | 21,000 | - |
1988年 | 21,000 |
-8.7% ↓
|
1987年 | 23,000 |
9.52% ↑
|
1986年 | 21,000 |
-12.5% ↓
|
1985年 | 24,000 |
-4% ↓
|
1984年 | 25,000 |
6.38% ↑
|
1983年 | 23,500 |
2.17% ↑
|
1982年 | 23,000 |
4.55% ↑
|
1981年 | 22,000 |
4.76% ↑
|
1980年 | 21,000 |
5% ↑
|
1979年 | 20,000 |
5.82% ↑
|
1978年 | 18,900 |
5% ↑
|
1977年 | 18,000 |
1.41% ↑
|
1976年 | 17,750 |
1.43% ↑
|
1975年 | 17,500 |
9.38% ↑
|
1974年 | 16,000 |
6.67% ↑
|
1973年 | 15,000 |
7.14% ↑
|
1972年 | 14,000 |
-6.67% ↓
|
1971年 | 15,000 | - |
1970年 | 15,000 |
19.87% ↑
|
1969年 | 12,514 |
3.64% ↑
|
1968年 | 12,075 |
0.63% ↑
|
1967年 | 12,000 | - |
1966年 | 12,000 | - |
1965年 | 12,000 |
9.09% ↑
|
1964年 | 11,000 | - |
1963年 | 11,000 |
10% ↑
|
1962年 | 10,000 | - |
1961年 | 10,000 | - |
トルコにおけるオクラ生産は1960年代から安定して成長を続け、1980年代には21,000トンを超えました。この時期の増加は主に国内市場での需要増加や農業技術の進歩、農村部のインフラ整備が寄与したと考えられます。しかし1980年代後半に入ると23,500トンから21,000トン付近で停滞が見られ、その後、1990年代中盤まで増加と減少を繰り返しました。1994年の25,500トンという高水準の後も変動は続きますが、2000年代に入り、トルコの農業部門の近代化や輸出促進による恩恵を受け大幅に成長しました。この急成長のピークは2004年の43,000トンでした。
しかし、これ以降は減少傾向が見られます。2010年代には生産量が再び30,000トン前後にとどまり、2015年から2023年までの間には29,111トンから30,484トン前後の推移となっています。特筆すべきは2020年の40,654トンという異例の高水準ですが、その背景には奇跡的な気候条件や市場需要の急増が関係していると考えられます。この一時的な増加を除き、2021年以降は再び低下傾向に復帰しています。
この生産量の変動には、いくつかの背景要因があると推測されます。まず、気候変動による降水パターンの不安定化や平均気温の上昇がオクラの生産に影響を与えています。オクラは高温多湿の気候を好みますが、異常気象による干ばつや洪水で農地が被害を受けるリスクが増しています。また、農地の都市化や農業従事者の高齢化、若年層の農業離れも生産の減少要因として挙げられます。さらに、トルコの経済事情や農家への補助金政策の施策不足が、農家の生産意欲を削いでいる可能性もあります。
地政学的背景も無視できません。トルコは中東や欧州への重要な輸出ルートを持っていますが、近年の地域衝突や貿易制限の影響で、輸出先の変動や一時的な市場縮小が見られることがあります。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響で、人手不足や物流の停滞も生産量の安定化を妨げました。
この現状を踏まえ、トルコのオクラ生産を持続可能にするためには、いくつかの対策が必要となります。まず、気候変動適応型農業技術の導入を強化し、干ばつ耐性のある品種や効率的な灌漑技術を普及させることが急務です。また、国内外市場の需要に応じた生産計画を立て、農家への経済的インセンティブを増やすことが求められます。こうした施策は、オクラだけでなくトルコ全体の農業分野に利益をもたらす可能性があります。
国際的なレベルでも、トルコは近隣諸国との農業協力を強化するべきです。特にEUや中東諸国との協定を活用し、オクラを含む農産物の輸出枠拡大に努めるべきでしょう。さらに、教育やプロモーション活動を通じて若者に農業参入を促し、国内の生産力を底上げすることが望ましいです。
結論として、トルコのオクラ生産量の変動は多岐にわたる要因が絡み合っていますが、正しい政策と対策を講じることで、安定的で持続可能な生産を実現することが可能です。国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するようなデータ分析をもとに、科学的かつ戦略的なアプローチが今後の鍵となるでしょう。