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トルコの大麦生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、2023年、トルコの大麦生産量は9,200,000トンに達し、これまでの最高値に近づきました。このデータからは、1960年代以降、大麦生産量が大幅に増加してきた一方、1989年、2007年、2021年などの特定の年には低迷が見られることが分かります。また、近年の気候変動や社会経済的な要因が、大麦の生産に対する影響を増大させていることが示唆されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 9,200,000
8.24% ↑
2022年 8,500,000
47.83% ↑
2021年 5,750,000
-30.72% ↓
2020年 8,300,000
9.21% ↑
2019年 7,600,000
8.57% ↑
2018年 7,000,000
-1.41% ↓
2017年 7,100,000
5.97% ↑
2016年 6,700,000
-16.25% ↓
2015年 8,000,000
26.98% ↑
2014年 6,300,000
-20.25% ↓
2013年 7,900,000
11.27% ↑
2012年 7,100,000
-6.58% ↓
2011年 7,600,000
4.83% ↑
2010年 7,250,000
-0.68% ↓
2009年 7,300,000
23.25% ↑
2008年 5,923,000
-18.94% ↓
2007年 7,306,800
-23.5% ↓
2006年 9,551,000
0.54% ↑
2005年 9,500,000
5.56% ↑
2004年 9,000,000
11.11% ↑
2003年 8,100,000
-2.41% ↓
2002年 8,300,000
10.67% ↑
2001年 7,500,000
-6.25% ↓
2000年 8,000,000
3.9% ↑
1999年 7,700,000
-14.44% ↓
1998年 9,000,000
9.76% ↑
1997年 8,200,000
2.5% ↑
1996年 8,000,000
6.67% ↑
1995年 7,500,000
7.14% ↑
1994年 7,000,000
-6.67% ↓
1993年 7,500,000
8.7% ↑
1992年 6,900,000
-11.54% ↓
1991年 7,800,000
6.85% ↑
1990年 7,300,000
62.22% ↑
1989年 4,500,000
-40% ↓
1988年 7,500,000
8.7% ↑
1987年 6,900,000
-1.43% ↓
1986年 7,000,000
7.69% ↑
1985年 6,500,000 -
1984年 6,500,000
19.82% ↑
1983年 5,425,000
-15.23% ↓
1982年 6,400,000
8.47% ↑
1981年 5,900,000
11.32% ↑
1980年 5,300,000
1.15% ↑
1979年 5,240,000
10.32% ↑
1978年 4,750,000 -
1977年 4,750,000
-3.06% ↓
1976年 4,900,000
8.89% ↑
1975年 4,500,000
35.14% ↑
1974年 3,330,000
14.83% ↑
1973年 2,900,000
-22.15% ↓
1972年 3,725,000
-10.67% ↓
1971年 4,170,000
28.31% ↑
1970年 3,250,000
-13.1% ↓
1969年 3,740,000
5.06% ↑
1968年 3,560,000
-6.32% ↓
1967年 3,800,000 -
1966年 3,800,000
15.15% ↑
1965年 3,300,000
3.13% ↑
1964年 3,200,000
-25.37% ↓
1963年 4,288,000
22.51% ↑
1962年 3,500,000
18.72% ↑
1961年 2,948,000 -

1961年から2023年に至るまでのトルコの大麦生産量データを俯瞰すると、長期的には着実な増加傾向が見られます。1961年の2,948,000トンから2023年の9,200,000トンまで、およそ3倍以上の成長を記録しています。ただし、この間にいくつかの年では、生産量に大きな変動が見られました。特に1989年や2007年、そして2021年などの年において、生産量が大幅に減少したことが注目されます。これらの低迷期には、干ばつやその他の気象要因、さらには市場価格の変動や輸送コスト増大など、さまざまな要因が影響を与えたと推測されます。

トルコは、世界で主要な大麦生産国の一つであり、大麦はビールの原料や家畜の飼料として重要な作物です。同地域では、降水量や年間における気温の変動が大麦生産に大きな影響を及ぼすため、気候変動は今後も重要な課題となるでしょう。2007年と2021年のような大幅な生産低下は、異常気象—長期間の干ばつや不規則な降雨パターン—が主因とされており、これは気温上昇や降水量の変化と直接的に関連している可能性があります。

その一方で、国家規模での農業政策や技術革新も、トルコの大麦生産に大きく寄与しています。たとえば、近年の整備された灌漑技術の導入や、高収量品種の普及が2020年代の回復傾向を支えていると言えるでしょう。2022年には8,500,000トン、2023年には9,200,000トンと過去最高に近い生産量を記録したことからも、農業技術の進歩や政府支援の効果が読み取れます。

地政学的観点から見て、トルコは中東・ヨーロッパ間の重要なハブであり、その大麦生産は国内だけでなく近隣地域への輸出においても重要な位置を占めています。ただし、2020年代初頭のコロナウイルスのパンデミックや、ウクライナ・ロシア間の緊張等の国際的な影響により、農業経済全体に遅れや損害が生じました。そのため、外部要因による供給チェーンの混乱や輸送コストの上昇が中期的な不安要素として残ります。

未来を見据えた場合、トルコが持続可能な大麦生産を維持し、さらに拡大するためには、以下の具体的な対策が求められるでしょう。まず、気候変動に対応するためのさらなる灌漑システムの拡充や、今後の気象変動に適応可能な作物品種の研究開発が必要です。また、国内外での輸送インフラの強化や国際市場への確実なアクセスが求められます。さらに、地域間協力を通じて、気候情報共有や農業災害リスク管理を積極的に行うことが有効です。

最後に、トルコの大麦生産の推移を見ると、一貫して成長し続ける基盤があることが理解できます。これを維持するためには、上記のような政策的・技術的対応が必要であり、さらには国際的なパートナーシップを通じて、トルコの農産物市場への信頼を強化することが重要になります。どの国も食料供給の安定が社会発展の基盤であるため、大麦を含む農業分野におけるトルコのさらなる躍進は、地域と世界の両方に利益をもたらすでしょう。