Skip to main content

トルコのニンニク生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トルコのニンニク生産量は1961年に35,800トンでスタートし、長い期間にわたり増加と減少を繰り返してきました。特に1980年代には安定した生産量を記録し、2003年には125,000トンに達するピークを迎えました。しかし、2017年以降では大幅な減少が見られ、生産量は2021年に46,454トン、2023年には54,127トンと回復傾向にありますが、依然として過去のピークに達していません。この変動は気候条件や政策、都市化の影響、さらには地政学的リスクが複合的に関与している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 54,127
13.98% ↑
2022年 47,487
2.22% ↑
2021年 46,454
62.7% ↑
2020年 28,552
22.27% ↑
2019年 23,351
-8.5% ↓
2018年 25,519
-3.07% ↓
2017年 26,328
-80.52% ↓
2016年 135,148
13.36% ↑
2015年 119,223
2.7% ↑
2014年 116,089
0.98% ↑
2013年 114,967
9.28% ↑
2012年 105,201
4.52% ↑
2011年 100,648
2.52% ↑
2010年 98,170
-6.83% ↓
2009年 105,363
0.37% ↑
2008年 104,970
6.9% ↑
2007年 98,195
2.17% ↑
2006年 96,112
-11.82% ↓
2005年 109,000 -
2004年 109,000
-12.8% ↓
2003年 125,000
30.21% ↑
2002年 96,000
-6.8% ↓
2001年 103,000
0.98% ↑
2000年 102,000
-6.08% ↓
1999年 108,600
2.45% ↑
1998年 106,000
-4.93% ↓
1997年 111,500
6.19% ↑
1996年 105,000
0.48% ↑
1995年 104,500
12.97% ↑
1994年 92,500
0.54% ↑
1993年 92,000
-2.13% ↓
1992年 94,000
-1.05% ↓
1991年 95,000 -
1990年 95,000
7.95% ↑
1989年 88,000
-6.38% ↓
1988年 94,000
2.17% ↑
1987年 92,000
15% ↑
1986年 80,000
-15.79% ↓
1985年 95,000
-3.06% ↓
1984年 98,000
-3.92% ↓
1983年 102,000
-3.77% ↓
1982年 106,000
11.58% ↑
1981年 95,000
-2.56% ↓
1980年 97,500
8.33% ↑
1979年 90,000
9.76% ↑
1978年 82,000
5.81% ↑
1977年 77,500
6.16% ↑
1976年 73,000
1.39% ↑
1975年 72,000
1.41% ↑
1974年 71,000
32.46% ↑
1973年 53,600
-2.9% ↓
1972年 55,200
-9.51% ↓
1971年 61,000
5.9% ↑
1970年 57,600
-1.84% ↓
1969年 58,678
12.97% ↑
1968年 51,943
12.43% ↑
1967年 46,200
5.24% ↑
1966年 43,900
8.66% ↑
1965年 40,400
-7.97% ↓
1964年 43,900
11.7% ↑
1963年 39,300
25.96% ↑
1962年 31,200
-12.85% ↓
1961年 35,800 -

トルコは世界の食料自給率が高い国の一つであり、農業生産地として重要な役割を果たしています。ニンニクはその中でも重要な位置を占める農産物ですが、1961年から2023年までの生産量推移を見ると、一貫した増加というよりは顕著な変動が見られます。

生産量は1960年代から1980年代まで緩やかに増加し、1982年には106,000トンに達しました。この間は主に農業技術の進展や農地拡大が影響していると考えられます。その後の1980年代後半から1990年代にかけて、生産量は概ね90,000~110,000トンの範囲で推移しました。この期間の安定は、農業用地の最適利用と市場需要のバランスが取れていたことを示しています。

2003年に記録された125,000トンというピークは、当時の大幅な農業支援政策や輸出の増加が背景にあります。しかし、それ以降、特に2017年以降に顕著な低下が見られ、2019年には23,351トンまで大幅に減少しました。この急減の要因としては、都市化や農地の縮小、また国内外での需要減少の影響が考えられます。特に気候変動の影響で干ばつや自然災害が頻発し、農家に大きな負担をかけたことも重要な要因です。

また、2020年以降、全世界的に拡大した新型コロナウイルスの感染拡大も農業生産に影響を及ぼしました。ロックダウンや輸送網の混乱が農産物市場に緊張をもたらし、トルコのニンニク生産にもその余波が及んだ可能性があります。しかしながら、2021年以降に見られる生産量の回復は、政府の支援策や農業技術の開発、さらには需要の急回復によるものと考えられます。

地政学的なリスクも無視できません。トルコは中東やヨーロッパ市場への主要な農産物供給国としての役割を担う一方で、周辺地域の政治的緊張や戦争が影響を与えてきています。また、輸出入ルートの混乱や貿易摩擦もニンニク価格や生産量の変動要因となり得ます。

今後の課題としては、まず気候変動に対応した作物育成と効率的な灌漑技術の導入が挙げられます。これに加えて、農業労働者への技術教育の充実や農地の持続可能な管理が重要です。特にトルコ政府は、若い世代の農業従事者を増やす政策や農村地域の生活改善プログラムを推進することで、安定した生産基盤を構築する必要があります。

さらに、輸送インフラや貿易協定を強化し、輸出市場の多様化を図ることで、外部リスクにも柔軟に対応できる仕組みが不可欠です。気候変動の影響を軽減するためには、耐乾性が高い品種の栽培や地域ごとの気象データを活用した精密農業の導入が推奨されます。

結論として、トルコのニンニク生産は様々な影響を受けつつも回復の兆しを見せています。ただし、生産量の安定やさらなる増加には、現状の気候的および経済的リスクを克服し、長期的な農業政策を確立することが欠かせません。トルコが持つ地理的強みを活かし、国内外の需要にきめ細かく応える体制を築くことが今後の鍵と言えるでしょう。

キーワード検索