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トルコのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、トルコのブドウ生産量は1961年から2023年にかけて長期的に推移していますが、年間毎の変動が目立ちます。1960年代初頭には約318万トンであった生産量は、2022年に約416万トンに達したものの、2023年には340万トンに減少しました。特に2000年代以降の増加傾向は顕著で、一部の年では400万トンを超え、特に2009年には過去最高の426万トンを記録しています。しかしながら、近年、生産量の振れ幅が大きくなっており、持続可能性や安定生産が課題として浮上しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,400,000
-18.37% ↓
2022年 4,165,000
13.49% ↑
2021年 3,670,000
-12.8% ↓
2020年 4,208,908
2.66% ↑
2019年 4,100,000
4.25% ↑
2018年 3,933,000
-6.36% ↓
2017年 4,200,000
5% ↑
2016年 4,000,000
9.59% ↑
2015年 3,650,000
-12.58% ↓
2014年 4,175,356
4.09% ↑
2013年 4,011,409
-5.26% ↓
2012年 4,234,305
-1.44% ↓
2011年 4,296,351
0.97% ↑
2010年 4,255,000
-0.23% ↓
2009年 4,264,720
8.84% ↑
2008年 3,918,442
8.46% ↑
2007年 3,612,781
-9.68% ↓
2006年 4,000,063
3.9% ↑
2005年 3,850,000
10% ↑
2004年 3,500,000
-2.78% ↓
2003年 3,600,000
2.86% ↑
2002年 3,500,000
7.69% ↑
2001年 3,250,000
-9.72% ↓
2000年 3,600,000
5.88% ↑
1999年 3,400,000
-5.56% ↓
1998年 3,600,000
-2.7% ↓
1997年 3,700,000 -
1996年 3,700,000
4.23% ↑
1995年 3,550,000
2.9% ↑
1994年 3,450,000
-6.76% ↓
1993年 3,700,000
7.25% ↑
1992年 3,450,000
-4.17% ↓
1991年 3,600,000
2.86% ↑
1990年 3,500,000
2.04% ↑
1989年 3,430,000
2.39% ↑
1988年 3,350,000
1.52% ↑
1987年 3,300,000
10% ↑
1986年 3,000,000
-9.09% ↓
1985年 3,300,000 -
1984年 3,300,000
-2.94% ↓
1983年 3,400,000
-6.85% ↓
1982年 3,650,000
-1.35% ↓
1981年 3,700,000
2.78% ↑
1980年 3,600,000
2.86% ↑
1979年 3,500,000
0.11% ↑
1978年 3,496,000
9.94% ↑
1977年 3,180,000
3.25% ↑
1976年 3,080,000
-5.14% ↓
1975年 3,247,000
-2.98% ↓
1974年 3,346,800
0.08% ↑
1973年 3,344,000
-2.62% ↓
1972年 3,434,000
-10.87% ↓
1971年 3,853,000
0.08% ↑
1970年 3,850,000
5.91% ↑
1969年 3,635,000
-2.42% ↓
1968年 3,725,000
6.43% ↑
1967年 3,500,000
12.9% ↑
1966年 3,100,000
-7.46% ↓
1965年 3,350,000
20.07% ↑
1964年 2,790,000
3.6% ↑
1963年 2,693,000
-20.37% ↓
1962年 3,382,000
6.05% ↑
1961年 3,189,000 -

トルコは世界有数のブドウ生産国であり、その重要性は国内外の経済において極めて高いです。ブドウはそのままの果実として消費されるだけでなく、特産品であるレーズンやワインの原料としても用いられています。このデータは1961年から2023年まで62年間のブドウ生産量を示しており、年間毎の気候条件や農業技術の進展、政策の影響を反映しています。

1961年時点での生産量は約318万トンでしたが、その後、1970年台に入ると安定して350万トン前後を記録し、2000年代前半では再び増加傾向に転じました。特筆すべきは2009年で、426万トンという過去最高の生産量を達成しました。しかし、この後すぐに400万トンを下回った年もあり、生産量は安定することなく変動しています。

トルコの農業において重要な要因として挙げられるのは、気候変動と農業インフラの影響です。ブドウ栽培には適切な降雨量と気温が求められますが、近年の気候変動が農業収穫量の不安定さを増大させています。2023年の生産量の減少は、水不足や気象災害などによる影響が大きいと考えられます。また、土壌の保全や栽培技術の未整備も一因として挙げられるでしょう。

他国と比較すると、例えば中国やインドなどの新興農業大国では、生産量の向上に向けた現代的な栽培手法や灌漑システムの投入を推進しています。これに対し、トルコでは一部地域での近代化が進む一方で、従来型の農法に頼る農地も多く、増加傾向が急激でないという特徴があります。

また、トルコの地政学的な位置もブドウの生産と輸出に影響を与えています。トルコは地中海地域に位置し、交易路の要所ですが、近年の国際的な紛争や経済摩擦が一部市場への輸出において課題を生じさせています。特にブドウ製品の重要な市場である欧州への輸出ルートが影響を受けることは、トルコの生産者や経済に直接的な打撃を与えています。

将来的な課題として、ブドウ生産量の年ごとの安定性を向上させるための持続可能な農業技術の導入が挙げられます。気候変動への適応策として耐暑性・耐乾性の品種の開発や、効率的な灌漑システムの導入が不可欠です。また、国際市場の競争力を高めるためには、高品質なブドウ製品のブランド化や、輸出インフラの整備も求められます。

コロナ禍以降、世界的に物流の停滞や労働力不足が農業生産に影響を及ぼしています。こうした外的ショックに対するトルコ国内農業の回復力を高めるためにも、地元の農家への金融支援やマーケット情報の提供が重要です。また、農業分野に特化した地域間協力の枠組みを広げることで、隣国との連携を強化し、貿易摩擦のリスクを軽減する必要があります。

結論として、この長期データはトルコのブドウ生産が持続可能な成長へと向かうための指針になります。生産量の維持や向上を実現するためには、灌漑システムの整備、気候変動に対応した品種開発、安定した輸出ルートの確保といった具体的な対策が不可避です。これを実現するためには、政府の政策的支援だけでなく、国際的な枠組みでの協力が必要不可欠です。トルコが引き続き世界的なブドウ生産国としての地位を維持するために、農業技術と輸出戦略の強化が今後の鍵となるでしょう。