国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、2023年のアーモンド生産量ランキングで1位を占めたのはアメリカ合衆国で、約1,791,690トンと圧倒的な生産量を誇ります。2位にはスペインが297,660トンで続き、オーストラリアが260,000トンで3位となっています。これら上位3カ国で世界全体のアーモンド生産量の約85%を占めており、集中的な生産構造が見られます。また、上位には中東や地中海地域の国々も多く、アーモンド生産が気候や地域に依存していることが示されています。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 |
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北アメリカ | 1,791,690 |
2 |
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ヨーロッパ | 297,660 |
3 |
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オセアニア | 260,000 |
4 |
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アジア | 170,000 |
5 |
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アフリカ | 146,059 |
6 |
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アジア | 135,433 |
7 |
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アジア | 102,414 |
8 |
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ヨーロッパ | 77,680 |
9 |
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アフリカ | 70,939 |
10 |
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アフリカ | 69,638 |
11 |
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ヨーロッパ | 69,510 |
12 |
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アジア | 67,000 |
13 |
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南アメリカ | 45,891 |
14 |
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ヨーロッパ | 36,730 |
15 |
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アフリカ | 35,824 |
16 |
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アジア | 29,309 |
17 |
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アジア | 28,262 |
18 |
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アジア | 17,380 |
19 |
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アジア | 13,405 |
20 |
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アジア | 10,503 |
21 |
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アジア | 10,000 |
22 |
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アジア | 4,236 |
23 |
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アジア | 3,512 |
24 |
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アジア | 3,182 |
25 |
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アジア | 2,652 |
26 |
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ヨーロッパ | 2,130 |
27 |
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アフリカ | 1,937 |
28 |
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アジア | 1,719 |
29 |
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アフリカ | 1,681 |
30 |
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アフリカ | 1,063 |
31 |
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アジア | 1,037 |
32 |
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アジア | 949 |
33 |
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南アメリカ | 720 |
34 |
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ヨーロッパ | 652 |
35 |
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ヨーロッパ | 620 |
36 |
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アジア | 430 |
37 |
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アジア | 420 |
38 |
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ヨーロッパ | 411 |
39 |
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アジア | 385 |
40 |
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ヨーロッパ | 350 |
41 |
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ヨーロッパ | 130 |
42 |
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アジア | 118 |
43 |
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アジア | 118 |
44 |
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アジア | 102 |
45 |
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南アメリカ | 48 |
46 |
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ヨーロッパ | 36 |
47 |
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アジア | 8 |
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2023年のアーモンド生産量ランキングからは、アーモンド生産がいかに特定地域に集中しているかが明らかです。アメリカ合衆国が全世界の生産量の約60%を占めており、特にカリフォルニア州が世界最大のアーモンド生産地として突出した存在です。カリフォルニア州の成功の要因には、広大な農地、専用の灌漑設備、最適な地中海性気候、そして高度な農業技術が挙げられます。しかし、この一極集中にはいくつかの課題も存在します。頻発する干ばつや水資源の枯渇が現地の農業持続性に影響を及ぼしており、近い将来のアーモンド生産計画にはこれらの問題への対策が求められます。
2位のスペインは地中海性気候を活かした生産で、ヨーロッパ最大のアーモンド輸出国でもあります。同時に、農業政策の変更や持続可能な栽培手法の導入が進められており、将来的にはオーガニックアーモンドの市場で大きな存在感を持つことが期待されます。3位のオーストラリアは、一年を通じて安定した気温と生育条件が整った生産環境から、急速に生産量を拡大しています。特に近年、中国やインドを中心としたアジア市場への輸出需要が増えており、この成長は今後も続くと予測されます。
中位層としてはトルコやモロッコ、シリア、イランなど中東および北アフリカ地域がランクインしています。これらの国々は地中海性気候を活用した生産を行っていますが、地域の政治的、経済的な不安定要因によって一部の国では生産量が年々変動しています。特にシリアやイランでは、紛争や制裁による経済的な打撃が農業全般に影響を与えており、安定した生産を支えるためには国内インフラの再構築や、国際協力による支援が必要です。
一方で、日本や中国を含む東アジアでは、生産量が非常に少ないことが特徴です。中国が10,000トンで21位にランクインしているものの、中国国内の需要に比して供給量はごくわずかで、大半を輸入に依存しています。この背景には、アーモンドが主に乾燥地帯で栽培される作物であることが影響しています。日本もまた、アーモンド生産はほぼない状態であり、輸入品に全面的に頼っている状況です。この依存構造を補完するためには、高品質の輸入元の選定や食料供給チェーンの安定化が求められます。
アーモンド生産を巡る今後の課題として、気候変動への対応が重要です。アーモンドは非常に多くの水を必要とする作物であり、地球規模での水資源の有効活用が問題となっています。また、世界的な需給バランスの変化や、過剰栽培による生態系への影響も懸念されています。このため、生産国同士の協力や、新たな農業技術の開発、持続可能性を重視した政策の導入が必要となるでしょう。特に、カリフォルニア州に依存する形を緩和するために、新興市場への生産拡大や、多様な気候条件でも育成可能な品種改良の推進が重要です。
全体を見ると、アーモンドは地中海性気候を持つ国々がその生産の中心として役割を果たしている一方、国ごとの課題や地理的特徴を反映した状況が確認できます。将来的には、気候変動への適応、地域間協力の強化、資源の適切な管理を通して、持続可能なアーモンド生産が求められることは明白です。この目標を達成するためには、政府機関や国際組織が中心となり、具体的な政策フレームワークを策定していくことが必要です。