ラトビアのニンジンおよびカブ類の生産量は、1992年から2023年までに大幅な変動を経験しており、特に1990年代後半と2010年代後半以降に顕著な減少傾向が見られます。1997年に50,700トンと最高水準を記録しましたが、2023年には8,180トンにまで減少しています。この減少は、国内農業の構造変化や気候変動、経済的な要因が影響を与えていると考えられます。
ラトビアのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 8,180 |
-33.66% ↓
|
2022年 | 12,330 |
7.22% ↑
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2021年 | 11,500 |
-32.35% ↓
|
2020年 | 17,000 |
21.86% ↑
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2019年 | 13,950 |
45.31% ↑
|
2018年 | 9,600 |
-69.14% ↓
|
2017年 | 31,105 |
-28.07% ↓
|
2016年 | 43,246 |
70.05% ↑
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2015年 | 25,431 |
-46.06% ↓
|
2014年 | 47,150 |
47.16% ↑
|
2013年 | 32,041 |
14.1% ↑
|
2012年 | 28,082 |
-27.31% ↓
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2011年 | 38,632 |
12.61% ↑
|
2010年 | 34,307 |
-20.8% ↓
|
2009年 | 43,317 |
18.85% ↑
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2008年 | 36,446 |
19.86% ↑
|
2007年 | 30,408 |
-3.89% ↓
|
2006年 | 31,640 |
-8.88% ↓
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2005年 | 34,725 |
4.21% ↑
|
2004年 | 33,322 |
-20.09% ↓
|
2003年 | 41,701 |
81.49% ↑
|
2002年 | 22,977 |
-46.32% ↓
|
2001年 | 42,803 |
102.73% ↑
|
2000年 | 21,113 |
0.88% ↑
|
1999年 | 20,928 |
-15.27% ↓
|
1998年 | 24,700 |
-51.28% ↓
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1997年 | 50,700 |
153.5% ↑
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1996年 | 20,000 |
-28.57% ↓
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1995年 | 28,000 |
-6.67% ↓
|
1994年 | 30,000 |
-21.05% ↓
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1993年 | 38,000 |
11.11% ↑
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1992年 | 34,200 | - |
国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ラトビアのニンジン・カブ類の生産量は、この30年間で大きな変動を示しています。1992年当初の34,200トンという水準は、1997年には50,700トンまで増加しましたが、それ以降は大幅に変動を繰り返しつつも全体として減少傾向にあります。特に2018年以降、10,000トン台を大きく割り込む事態が続いており、2023年には8,180トンに落ち込みました。
ラトビアにおける農業生産の低下には複数の要因が絡んでいます。一つは気候変動による影響です。冬の厳しい冷え込みや夏の干ばつの頻度増加が、収穫高のばらつきや不作を引き起こしている可能性があると指摘されています。また、肥沃な土地と適切な農業技術の重要性が十分に認識されつつも、小規模農家を中心に技術導入が遅れていることも課題とされています。
生産量の急激な低下が目立つ2018年以降については、特に労働力の減少や国際市場の競争激化が大きな要因と考えられます。ラトビア独特の小規模な農業構造では、競争力を持たせることが難しい背景もあります。また、新型コロナウイルスのパンデミックによる物流の制限や供給網の混乱も、農業生産に影響を及ぼしている可能性があります。
隣国エストニアやリトアニアでも似たような課題が観察されているものの、ラトビアの場合は特に過疎化と都市への人口集中が影響しており、多くの労働力が都市部や国外に流出しています。これは、農業分野での持続的な発展をさらに難しくしている状況です。一方で、ドイツやフランスといったEUの主要農業国は、補助金や先進的な農業技術の導入によって競争力を維持しています。こうした国々との比較でも、ラトビアは明らかに農業政策の強化が求められているといえます。
このデータから導き出される結論として、ラトビアが自国の農業セクターを復興・強化するためには、いくつかの具体的施策が必要です。まず、政府および国際機関による中小規模農家への資金援助を強化し、気候に適応した新しい農法や技術の普及支援を図るべきです。また、若年層を農業分野に惹きつけるための法的枠組みや教育プログラムを整備することも急務です。さらに、地域間協力を通じた労働力の共有や共同研究の促進が、コスト削減と効率向上に寄与すると思われます。
ラトビアの地政学的な位置関係を考慮すると、今後はEU域内での協調体制がさらに重要となるでしょう。特に、ロシアやウクライナを含む東欧地域の不安定な状況が、食料供給と輸出入に与える影響は無視できません。将来的には、外部依存度を減らし、自給率を高めるための政策実施が不可欠です。
総じて、ラトビアのニンジン・カブ類生産量の減少は、気候変動や経済状況、国際市場動向といった多面的な要因が絡んでおり、単一の解決策では対応できない複雑な問題です。しかし、多国間協力や国内農業の基盤強化によって、持続可能な生産基盤を再構築することが可能であり、そのための措置が早急に求められます。