ラトビアのキュウリ類生産量は、1992年の15,000トンをピークに、以降は変動を伴いながら減少傾向にあります。2000年代に一時的な増加が見られたものの、2018年以降はさらに生産量が落ち込み、2023年には過去最低水準の5,930トンとなっています。全体を通じて、気候変化や農業政策、経済状況の影響が伺える結果となっています。
ラトビアのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 5,930 |
-27.15% ↓
|
2022年 | 8,140 |
7.11% ↑
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2021年 | 7,600 |
-3.8% ↓
|
2020年 | 7,900 |
8.97% ↑
|
2019年 | 7,250 |
15.08% ↑
|
2018年 | 6,300 |
-13.95% ↓
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2017年 | 7,321 |
-13.58% ↓
|
2016年 | 8,471 |
14.01% ↑
|
2015年 | 7,430 |
-9.69% ↓
|
2014年 | 8,227 |
-12.63% ↓
|
2013年 | 9,416 |
-3.38% ↓
|
2012年 | 9,745 |
-0.45% ↓
|
2011年 | 9,789 |
22.22% ↑
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2010年 | 8,009 |
3.17% ↑
|
2009年 | 7,763 |
0.31% ↑
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2008年 | 7,739 |
-34.15% ↓
|
2007年 | 11,753 |
-17.82% ↓
|
2006年 | 14,302 |
16.21% ↑
|
2005年 | 12,307 |
1.97% ↑
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2004年 | 12,069 |
-31.03% ↓
|
2003年 | 17,498 |
24.77% ↑
|
2002年 | 14,024 |
51.92% ↑
|
2001年 | 9,231 |
59.65% ↑
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2000年 | 5,782 |
-44.16% ↓
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1999年 | 10,355 |
26.84% ↑
|
1998年 | 8,164 |
-14.63% ↓
|
1997年 | 9,563 |
-20.31% ↓
|
1996年 | 12,000 |
-14.29% ↓
|
1995年 | 14,000 |
-6.67% ↓
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1994年 | 15,000 |
-16.67% ↓
|
1993年 | 18,000 |
20% ↑
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1992年 | 15,000 | - |
Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、2023年のラトビアのキュウリ類生産量は5,930トンとなり、過去最低を記録しました。このデータは、国内生産の動向を示す重要な指標であり、特に農業部門の変遷や課題を明らかにしています。
ラトビアのキュウリ生産量の推移を詳細に見ると、1992年の15,000トンをピークに年々減少しており、2000年までには10,000トンを下回る年度が続きました。その後、2003年には17,498トンまで一時的に持ち直しましたが、全体的な減少傾向は続いています。2018年以降の数年間では、ほぼ毎年8,000トンを下回る低水準が見られ、2023年には再び大幅な低下が確認されました。このように、生産量の変動は、安定的な生産基盤の確保が難しいことを示唆しています。
この長期的な減少傾向の背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、気候変動が農作物の生育に影響を与え、特に寒冷地域に属するラトビアでは霜害や降雨不足の影響を受けやすいとされています。第二に、農業政策や経済的背景の変化も重要な要因です。特に1990年代から2000年代初頭にかけての市場経済移行期には、農業インフラの整備が遅れたことで、持続可能な農業が損なわれた可能性があります。また、EU加盟後(2004年以降)に欧州内での農産品市場が拡大したものの、他国との競争が激化し、比較的規模の小さなラトビアの農業が圧迫される場面があったと考えられます。
さらに、新型コロナウイルスの影響も最近の動向に影を落としています。物流網の混乱や労働力不足が続く中、生産と流通の両方が停滞し、特に2020年以降における回復の難しさがデータに反映されています。そのほか、2020年代における世界的な肥料価格の高騰やエネルギーコストの上昇も、生産コストを押し上げる要因となっています。
今後の課題は、農業セクター全体の構造改革を進めることです。一例として、耐寒性や病害虫抵抗性を持つ品種の導入が挙げられます。また、循環型農業の促進や省エネルギー型施設栽培の展開は、生産の安定化に向けた一歩となるでしょう。EU農業政策の支援を活用し、国内の小規模農家が競争に打ち勝つための共同体形成も有力な手段です。
加えて、地域間や国際間での協力が重要です。ラトビアは、同様の気候条件を持つバルト三国やスカンジナビア諸国と技術やノウハウを共有し、気候変動への適応策を共同で開発できる可能性があります。また、農業分野におけるデジタル技術の導入が、より効率的な生産体制を実現する鍵となるでしょう。
結論として、ラトビアのキュウリ類生産量に見られる減少傾向は、気候変動や経済的課題が複雑に絡み合った結果であると考えられます。これからの取り組みとして、持続可能な農業基盤の整備や地域間連携の強化が求められます。気候変動に対応する先進的な手法や市場競争力を強化する政策が進むことで、生産量の回復だけではなく、地域全体の農業の安定化に貢献することが期待されます。