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FAO「国際連合食糧農業機関」・最新版
FAO(国際連合食糧農業機関)が公表し、2024年7月に更新された最新データによると、2024年のさくらんぼ生産量ランキングの1位はトルコ(726,500トン)、2位はチリ(596,968トン)、3位はアメリカ合衆国(333,120トン)です。上位3か国だけで約165.7万トンとなり、今回提示されたランキング掲載国の合計(約317.5万トン)の約52%を占める構図です。日本は11,500トンで30位に位置し、上位国とは規模に大きな差がある一方、高品質・高単価を軸に戦える余地があることも示唆します。
1961年から2024年までの年度別ランキングを確認できます。
1961年から2024年までの世界のさくらんぼ生産量を、国別ランキングでバーチャートレース化しました。
1961年から2024年までの世界のさくらんぼ生産量を、国別ランキングでバーチャートレース化しました。
FAOがまとめるさくらんぼ生産量は、各国の農業統計を基に「一年間にどれだけ生産されたか」をトンで比較できる指標であり、食料供給力だけでなく、輸出産業としての競争力や気候リスクへの耐性を読み解く目的でも活用されます。2024年はトルコが726,500トンで首位となり、2位チリの596,968トンに対して129,532トン多く、生産基盤の厚さが際立ちます。さらに3位のアメリカ合衆国は333,120トンで、チリとの差は263,848トンと大きく、南北半球の強豪であるトルコ・チリが、量の面で世界市場を強く牽引している姿が見えてきます。
地域分布でみると、上位は地中海・黒海周辺から中央アジア、欧州南東部に厚く、トルコ、ギリシャ(124,010トン)、スペイン(121,060トン)、イタリア(80,670トン)などが目立ちます。これは、乾燥と日照、冬季の低温(休眠に必要な寒さ)といった、さくらんぼの生育に相性のよい気象条件が比較的揃いやすい地域が多いことを反映します。一方で同じ地中海圏でも近年は干ばつや熱波が頻発しており、単年の収量だけでなく、安定生産の難易度が上がる方向にあります。今後は灌漑水の確保、貯水インフラの更新、耐暑性品種への転換、霜害対策(防霜ファンやスプリンクラー防霜)といった「気象の振れ」に備える投資が、国の農業政策の中心課題になりやすいです。
チリが2位に入っていることは、単なる生産量の多さに加えて、輸出産業としての完成度の高さを示します。チリは南半球で北半球の端境期に供給できるため、国際価格の高い時期を狙える利点があります。ここで重要なのは、さくらんぼが鮮度と見た目で価値が大きく変わる品目である点です。つまり、冷蔵・選果・検疫・港湾といったコールドチェーン全体の整備度が国際競争力を左右します。GDP(国内総生産、国の付加価値の合計で経済規模を示す指標)が大きい国ほど投資余力がある面はありますが、実際には「物流と貿易の運用能力」が生産量以上に輸出の成否を決めます。アメリカ合衆国が3位にとどまる背景にも、労働コスト上昇や水資源制約など、生産側の制約が強まりやすい事情が重なります。
地政学的リスクが色濃く表れるのは、黒海周辺と中東です。ウクライナ(55,700トン)とロシア連邦(53,442トン)が近い規模で並ぶ一方、黒海をめぐる地域緊張は、肥料・燃料・海上輸送保険・港湾機能などを通じて農産物のコストと不確実性を押し上げます。これはさくらんぼのような高鮮度品目にとって特に重く、輸出が遅れれば品質劣化が価値の毀損に直結します。またシリア・アラブ共和国(98,449トン)やレバノン(31,100トン)など東地中海の国々は、地域衝突や経済制裁、通貨不安が農業資材の調達や冷蔵設備の維持に影響しやすく、生産量があっても市場に安定供給しにくい局面が生じ得ます。将来的に紛争が長期化した場合、産地の切り替え需要が高まり、トルコや欧州南部、南半球の供給国への依存が強まる可能性があります。
アジア主要国との比較では、中国は36,181トンで15位、インドは10,114トンで34位となり、人口規模の大きさに比べると生産量は限定的です。これは気候適地が山岳地帯などに偏りやすいこと、栽培技術や流通の整備が地域差を伴って進むことが影響します。韓国は今回のランキング掲載国に入っていないため数値比較はできませんが、一般に東アジアは梅雨や高温多湿、台風などが品質安定を難しくし、施設投資や品種選定の重要性が相対的に高くなります。欧州ではフランス(28,350トン)、ドイツ(27,890トン)、イギリス(5,920トン)といった国々が一定量を生産していますが、労働力確保や環境規制の影響が強く、規模拡大よりも高付加価値化や機械化に軸足が移りやすい状況です。
日本は11,500トンで30位であり、首位トルコとの差は715,000トン、2位チリとの差は585,468トン、3位アメリカ合衆国との差は321,620トンに達します。この差は「生産の量」で世界市場を取りにいく戦略が現実的ではないことを示しますが、同時に、国内の強みをどこに置くべきかも明確にします。日本のさくらんぼは贈答需要を中心に品質評価が高く、価格で勝負するのではなく、等級・糖度・外観・トレーサビリティで差別化する余地が大きい品目です。今後の課題は、気候変動で増えやすい高温障害や降雨による裂果、春先の遅霜といったリスクに対し、産地単位で再現性のある対策を組み込むことです。具体策としては、雨よけ施設や防霜設備の共同利用を進めて初期投資の負担を下げること、収穫・選果の省力化機器を導入して人手不足に備えること、品種更新と栽培暦の分散で一時期への収穫集中を緩和することが有効です。加えて、輸出を狙う場合は、検疫条件に適合する低温物流の標準化と、空輸依存を下げるための高鮮度保持技術の導入が重要になります。
疫病・災害との関係では、新型コロナが示したように、国境手続きの遅延や航空便の減少は高鮮度果実の国際取引を直撃します。今後も感染症や大規模災害、港湾ストなどによる物流途絶は起こり得るため、輸出国・輸入国ともに、通関のデジタル化、代替ルートの確保、国内向けの販売先多様化がリスク分散として現実的です。特にチリやトルコのような大量供給国に供給が偏るほど、ひとたび主要港の混乱や地域緊張が起きた際の価格変動が大きくなり、消費国側のインフレ要因にもなり得ます。
結論として、2024年のデータは、世界のさくらんぼ供給がトルコ・チリ・アメリカ合衆国の上位国に集中し、地中海・黒海周辺と南半球の輸出力が市場を形作っていることを示しています。同時に、干ばつや熱波、地域衝突、物流混乱といった外部要因が、量よりも「安定供給」を左右する時代に入っていることも読み取れます。各国政府と国際機関がとるべき具体策としては、産地の水資源管理と灌漑投資への支援、気候適応型の品種・栽培体系への転換支援、コールドチェーンと検疫体制の強化、紛争・制裁・輸送遮断を想定した貿易と物流の冗長化を進めることが重要です。日本は量の拡大よりも、品質優位を守る気候適応投資と省力化、そして輸出を含む販路の多層化を進めることで、国際的な供給変動の中でも持続的に価値を生み出せる立ち位置を固められます。
さくらんぼ生産量の上位国を横棒グラフで比較できます。
順位、国名、さくらんぼ生産量、地域、関連指標を比較できます。
| 順位 | 国・地域 | さくらんぼ生産量 | 地域 |
|---|---|---|---|
| 1 | 726,500トン | アジア | |
| 2 | 596,968トン | 南アメリカ | |
| 3 | 333,120トン | 北アメリカ | |
| 4 | 209,025トン | アジア | |
| 5 | 136,921トン | アジア | |
| 6 | 124,010トン | ヨーロッパ | |
| 7 | 121,060トン | ヨーロッパ | |
| 8 | 98,449トン | アジア | |
| 9 | 80,670トン | ヨーロッパ | |
| 10 | 55,700トン | ヨーロッパ | |
| 11 | 53,442トン | ヨーロッパ | |
| 12 | 51,000トン | ヨーロッパ | |
| 13 | 50,440トン | ヨーロッパ | |
| 14 | 37,790トン | ヨーロッパ | |
| 15 | 36,181トン | アジア | |
| 16 | 34,380トン | ヨーロッパ | |
| 17 | 31,100トン | アジア | |
| 18 | 28,350トン | ヨーロッパ | |
| 19 | 27,890トン | ヨーロッパ | |
| 20 | 22,465トン | ヨーロッパ | |
| 21 | 22,465トン | ヨーロッパ | |
| 22 | 22,465トン | ヨーロッパ | |
| 23 | 19,615トン | ヨーロッパ | |
| 24 | 18,471トン | オセアニア | |
| 25 | 18,471トン | オセアニア | |
| 26 | 13,283トン | ヨーロッパ | |
| 27 | 12,113トン | アフリカ | |
| 28 | 12,113トン | アフリカ | |
| 29 | 12,113トン | アフリカ | |
| 30 | 11,500トン | アジア | |
| 31 | 11,330トン | ヨーロッパ | |
| 32 | 11,126トン | アジア | |
| 33 | 10,419トン | 南アメリカ | |
| 34 | 10,114トン | アジア | |
| 35 | 10,037トン | アジア | |
| 36 | 10,037トン | アジア | |
| 37 | 9,533トン | アフリカ | |
| 38 | 8,290トン | ヨーロッパ | |
| 39 | 8,030トン | ヨーロッパ | |
| 40 | 8,030トン | ヨーロッパ | |
| 41 | 7,610トン | ヨーロッパ | |
| 42 | 7,526トン | 南アメリカ | |
| 43 | 7,526トン | 南アメリカ | |
| 44 | 7,375トン | ヨーロッパ | |
| 45 | 7,008トン | 北アメリカ | |
| 46 | 6,200トン | アジア | |
| 47 | 5,920トン | ヨーロッパ | |
| 48 | 5,537トン | ヨーロッパ | |
| 49 | 4,938トン | アジア | |
| 50 | 4,895トン | ヨーロッパ | |
| 51 | 4,547トン | アフリカ | |
| 52 | 4,530トン | ヨーロッパ | |
| 53 | 4,488トン | オセアニア | |
| 54 | 4,467トン | アジア | |
| 55 | 4,003トン | アジア | |
| 56 | 2,476トン | 南アメリカ | |
| 57 | 2,101トン | ヨーロッパ | |
| 58 | 1,868トン | 南アメリカ | |
| 59 | 1,733トン | アフリカ | |
| 60 | 1,586トン | アジア | |
| 61 | 1,140トン | ヨーロッパ | |
| 62 | 1,100トン | ヨーロッパ | |
| 63 | 909トン | 南アメリカ | |
| 64 | 780トン | ヨーロッパ | |
| 65 | 660トン | ヨーロッパ | |
| 66 | 310トン | ヨーロッパ | |
| 67 | 295トン | アジア | |
| 68 | 148トン | 南アメリカ | |
| 69 | 20トン | ヨーロッパ | |
| 70 | 20トン | ヨーロッパ | |
| 71 | 3トン | 南アメリカ |
ランキング指標の意味と注意点を短く整理します。
現在のさくらんぼ生産量ランキングでは...
1961年から2024年までの年度別ページを比較すると、増加地域や順位変動が見えます。
気になる国の1961年から2024年までの推移がわかります。
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