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ノルウェーのさくらんぼ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)のデータによると、ノルウェーのさくらんぼ生産量は過去数十年間で大きく変動しており、全体的に減少傾向にあることが分かります。特に1980年代から1990年代初頭にかけて大きな落ち込みが見られ、近年では以前ほどの生産量を維持できていません。ただし、2022年と2023年には1,100トンを超え、短期的には生産量の回復が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,117
-0.71% ↓
2022年 1,125
25.14% ↑
2021年 899
39.81% ↑
2020年 643
-7.22% ↓
2019年 693
-27.51% ↓
2018年 956
53.45% ↑
2017年 623
-9.18% ↓
2016年 686
12.09% ↑
2015年 612
-28.59% ↓
2014年 857
25.29% ↑
2013年 684
19.58% ↑
2012年 572
4.19% ↑
2011年 549
-38.52% ↓
2010年 893
-28.39% ↓
2009年 1,247
39.33% ↑
2008年 895
35.2% ↑
2007年 662
-51.92% ↓
2006年 1,377
63.54% ↑
2005年 842
-28.83% ↓
2004年 1,183
54.84% ↑
2003年 764
-28.33% ↓
2002年 1,066
71.94% ↑
2001年 620
-38.37% ↓
2000年 1,006
34.85% ↑
1999年 746
-11.61% ↓
1998年 844
30.45% ↑
1997年 647
-32.32% ↓
1996年 956
-19.66% ↓
1995年 1,190
16.32% ↑
1994年 1,023
-30.97% ↓
1993年 1,482
45.01% ↑
1992年 1,022
-26.05% ↓
1991年 1,382
18.7% ↑
1990年 1,164
-84.75% ↓
1989年 7,636
-19.3% ↓
1988年 9,462
17.39% ↑
1987年 8,060
0.51% ↑
1986年 8,019
-19.51% ↓
1985年 9,963
-1.61% ↓
1984年 10,126
65.86% ↑
1983年 6,105
-22.36% ↓
1982年 7,863
14.16% ↑
1981年 6,888
-0.82% ↓
1980年 6,945
29.23% ↑
1979年 5,374
-5.35% ↓
1978年 5,678
21.9% ↑
1977年 4,658
-18.85% ↓
1976年 5,740
22.89% ↑
1975年 4,671
-13.42% ↓
1974年 5,395
94.41% ↑
1973年 2,775
-40.63% ↓
1972年 4,674
-2.77% ↓
1971年 4,807
7.59% ↑
1970年 4,468
-0.6% ↓
1969年 4,495
-7.34% ↓
1968年 4,851
118.81% ↑
1967年 2,217
-18.55% ↓
1966年 2,722
-9.66% ↓
1965年 3,013
-26.51% ↓
1964年 4,100
-6.07% ↓
1963年 4,365
6.46% ↑
1962年 4,100
10.81% ↑
1961年 3,700 -

ノルウェーのさくらんぼ生産量のデータを分析すると、1961年から1980年代半ばまでは緩やかな増加傾向にあり、1984年には10,126トンというピークを迎えました。しかしその後、1985年以降急激に減少し、1990年からは1,000トン未満が続くという低迷期に突入しています。この長期的な減少傾向から、栽培面積の縮小、気候条件の変化、あるいは産業構造の転換など、さくらんぼ生産に影響を与える複合的な要因が作用していると考えられます。

1980年代中盤の最高値から1990年代初頭への大幅な減少は注目すべき事象です。この背景には気候変動が大きな要因として挙げられると共に、ノルウェー国内で農業における経済的な優先順位が変わった可能性があります。この時期は輸入果物の増加も進み、多様な果物を手に入れられるようになったことで、さくらんぼの需要が影響を受けたとも考えられます。

また、2020年代のデータを詳しく見ると、2022年および2023年に1,100トンを超える生産が確認されており、短期的には回復の兆しがあります。この回復の背景には、新たな栽培技術の導入や高品質品種への転換、さらにはノルウェーの厳しい気候でも耐えられる品種の開発などが寄与していると考えられます。

地域ごとの状況を考慮すると、ノルウェーでは厳しい寒冷気候がしばしば農業に挑戦を与えます。特にさくらんぼは気候条件に敏感な作物であり、降水量や気温の不安定さが生産量に強く影響を及ぼします。そのため、気候変動に対応できる農業政策の導入が鍵となります。センサーベースの栽培技術や温室利用の拡大により、収穫量の安定化を図ることが重要です。

加えて、地政学的背景や疫病の影響も無視できません。ノルウェーは比較的安定した政治基盤を持つものの、他国との比較において輸入品への依存度が高いため、世界的な物流の混乱や物価上昇が間接的に国内生産の構造に影響を与える可能性があります。特に2020年以降、新型コロナウイルスの影響で物流が制約された期間は、その重要性が顕著となりました。

将来的な課題として、ノルウェー国内だけでなく地域間や国際的な協力が求められます。例えば、近隣のスウェーデンやデンマークなどとの連携を強化し、北欧全体でのさくらんぼ市場の振興を目指すことが考えられます。また、農業支援政策においては、若い世代の農業参加を促進し、地域での生産基盤を維持・拡大させることが必要です。

結論として、ノルウェーのさくらんぼ生産量が長期的な低迷から完全に復活するためには、技術革新や気候変動への対応策が重要です。同時に、輸入品との競争環境下で、国内生産量の価値をどのように高めるかという経済的な視点も欠かせません。国や国際機関の支援のもとで、環境対策と農業技術の発展を両立させる取り組みが求められます。