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チュニジアのさくらんぼ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、チュニジアのさくらんぼ生産量は、1990年から2023年までの33年間で着実な増加傾向を示してきましたが、2000年代中期をピークに、2020年代に入ってからは微減傾向を示しています。特に2011年には過去最高の7,000トンを記録しましたが、その後は例年4,000~5,000トン台で推移しています。近年の生産量減少には、気候変動や農業技術の進展不足などが影響している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,431
0.28% ↑
2022年 4,419
-0.98% ↓
2021年 4,463
-0.98% ↓
2020年 4,507
-3.45% ↓
2019年 4,668
2.9% ↑
2018年 4,536
4.18% ↑
2017年 4,354
-5.15% ↓
2016年 4,591
2.66% ↑
2015年 4,472
11.8% ↑
2014年 4,000
-24.53% ↓
2013年 5,300
0.95% ↑
2012年 5,250
-25% ↓
2011年 7,000
27.27% ↑
2010年 5,500
12.24% ↑
2009年 4,900
16.67% ↑
2008年 4,200
-6.67% ↓
2007年 4,500
-1.1% ↓
2006年 4,550
30% ↑
2005年 3,500
12.9% ↑
2004年 3,100
-22.5% ↓
2003年 4,000
29.03% ↑
2002年 3,100
6.9% ↑
2001年 2,900
11.54% ↑
2000年 2,600
13.04% ↑
1999年 2,300
9.52% ↑
1998年 2,100
10.53% ↑
1997年 1,900
11.76% ↑
1996年 1,700
13.33% ↑
1995年 1,500
7.14% ↑
1994年 1,400
7.69% ↑
1993年 1,300
8.33% ↑
1992年 1,200
9.09% ↑
1991年 1,100
10% ↑
1990年 1,000 -

1990年から2023年までのチュニジアのさくらんぼ生産量の長期的な推移を振り返ると、初期は毎年徐々に生産量を増加させていました。1990年の1,000トンから2000年の2,600トンまで、農業技術の向上や農地の拡張による生産効率の向上が背景であったと考えられます。特に2003年には4,000トンに達し、以降、年間3,000トン以上の生産量を維持してきました。

2006年から2011年にかけては生産が大きく増加する黄金期であり、2011年には7,000トンという過去最高を記録しました。この急増の要因としては、国内でさくらんぼ栽培を奨励する政策の導入や気候条件の安定化が挙げられるでしょう。しかし2012年以降、生産量は再び減少傾向に転じています。直近10年間(2014年から2023年)では年4,000トン台で推移しており、2011年のピークには遠く及ばない状況です。

気候変動がもたらす不安定な降雨量や平均気温の上昇が、生産成績に影響を及ぼしている可能性があります。さくらんぼの栽培には寒冷な冬と適度な降雨が必要であるため、温暖化傾向や雨量の減少は生育環境に悪影響を与えるかもしれません。また、近年の農業人口の減少や若年層離農の傾向も生産量に影響を与えていると分析されます。このため、持続可能な農業技術の導入や高齢化する農業従事者への支援が欠かせません。

また、チュニジアのさくらんぼ生産量は日本、中国、アメリカなど主要な生産国と比較すると依然として限定的な規模です。日本では長野県を中心に高品質で有名なさくらんぼの生産が進んでおり、中国では広大な土地と多様な気候条件を活かして世界最大の生産量を誇ります。このように主要国に対抗するためには、チュニジアは品質向上や輸出市場の拡大を目指すことで競争力を高めるべきです。

将来に向けては、気候変動への対応策として灌漑インフラの整備や乾燥耐性のある品種の研究が重要です。また、若年層や女性の参入を促進するため、農地の無償貸与や専門的な農業教育プログラムの導入も有用でしょう。さらに、近隣のアルジェリアやモロッコなど地域間での協力や技術共有を進めることで、北アフリカ全体でのさくらんぼ産業の発展を目指す必要があります。

結論として、チュニジアのさくらんぼ生産は長期的な成長を遂げつつも一時的なピークを越え、現在は停滞期に入っています。しかし、適切な政策と技術革新を組み合わせることで、生産量の回復・成長が期待されます。政府、農業団体、国際社会が協力し、地域や地球規模の課題に対応していくことが重要です。