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ボリビア (多民族国家)のブドウ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、多民族国家であるボリビアのブドウ生産量は、1961年の9,000トンから2023年の23,066トンに至るまで、変動を伴いながらも長期的な増加傾向を示しています。特に2000年代初頭以降は安定した成長が見られたものの、近年は経済や環境的要因の影響で生産量が減少傾向にあります。このデータは、国内農業の変遷や気候変動の影響、地域的な政策の成果を示す指標として重要です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 23,066
-16.2% ↓
2022年 27,524
-1.66% ↓
2021年 27,990
25.88% ↑
2020年 22,235
-5.58% ↓
2019年 23,549
3.86% ↑
2018年 22,674
2.76% ↑
2017年 22,066
4.25% ↑
2016年 21,167
3.24% ↑
2015年 20,502
2.74% ↑
2014年 19,956
-37.44% ↓
2013年 31,897
21.86% ↑
2012年 26,176
1.32% ↑
2011年 25,836
0.52% ↑
2010年 25,702
5.79% ↑
2009年 24,296
-25.78% ↓
2008年 32,737
-0.57% ↓
2007年 32,924
-1.87% ↓
2006年 33,552
0.72% ↑
2005年 33,313
3.31% ↑
2004年 32,246
4.75% ↑
2003年 30,783
4.85% ↑
2002年 29,358
5.75% ↑
2001年 27,761
5.02% ↑
2000年 26,435
11% ↑
1999年 23,815
11.18% ↑
1998年 21,421
-9.68% ↓
1997年 23,718
9.11% ↑
1996年 21,738
7.9% ↑
1995年 20,146
-4.19% ↓
1994年 21,028
3.98% ↑
1993年 20,223
7.6% ↑
1992年 18,795
6.26% ↑
1991年 17,688
-6.04% ↓
1990年 18,825
-0.16% ↓
1989年 18,855
4.75% ↑
1988年 18,000
-2.7% ↓
1987年 18,500
-4.23% ↓
1986年 19,317
7.71% ↑
1985年 17,935
-10.14% ↓
1984年 19,958
-12.48% ↓
1983年 22,805
-2.19% ↓
1982年 23,315
-1.08% ↓
1981年 23,570
-2.5% ↓
1980年 24,175
-1.55% ↓
1979年 24,555
-2.23% ↓
1978年 25,115
19.6% ↑
1977年 21,000
1.18% ↑
1976年 20,755
17.26% ↑
1975年 17,700
4.92% ↑
1974年 16,870
2.24% ↑
1973年 16,500
-8.33% ↓
1972年 18,000
36.36% ↑
1971年 13,200
9.09% ↑
1970年 12,100
4.31% ↑
1969年 11,600
6.42% ↑
1968年 10,900
-0.91% ↓
1967年 11,000
10% ↑
1966年 10,000 -
1965年 10,000 -
1964年 10,000 -
1963年 10,000
11.11% ↑
1962年 9,000 -
1961年 9,000 -

ボリビアはその多様な風土と、アンデス山脈をはじめとする多様な地形により、農業生産において多様性が生まれやすい国です。ブドウ栽培は、その中でも地域経済に貢献する重要な作物の一つとなっています。1961年から2023年の間のデータを観察すると、長期的には生産量が増加していますが、いくつか興味深い点が見られます。

初期の1960年代から1970年代にかけては、ブドウ生産量が徐々に増加しました。この増加は国内での農業技術の発展、農地拡大などが寄与したと考えられます。特に1972年には18,000トンに達し、それまでの伸び率が高かった時期です。また、1976年以降、2万トン台にも突入し、1978年には急激に25,115トンと顕著な成長が示されています。

1980年代に入ると、生産量には減少の傾向が見られました。この原因として、世界的な経済不安定性やボリビアに固有のインフラ整備不足、国際市場へのアクセスの制限などが影響を与えた可能性があります。さらに、この時期の多くの農耕地が土壌劣化や気候要因により生産力を低下させたことも一因と考えられます。

2000年代に入ると、再び増加傾向が顕著になり、2001年から2006年にかけては、国内外での需要増加にも支えられ、年平均成長率は約2%から3%に達しました。この成長の背景には、農業従事者への技術支援プログラムや、特定地域での農産物市場へのアクセス改善が挙げられます。特に2004年から2006年にかけては3万トン以上の生産を継続的に記録しました。

ただし、2009年以降は再び急激な減少が起こり、24,296トンにまで落ち込みました。このタイミングでは、大規模な自然災害、気候変動に由来する干ばつや洪水が生産量に大きな影響を与えたことが分かっています。ボリビアの農業インフラは非常に脆弱であり、これが回復を遅らせた一因です。

2013年以降のデータを見ると、生産量は安定的に回復傾向にありましたが、2014年の急激な減少や、2020年以降の新型コロナウイルス感染症による物流や市場への影響を背景に一部の年で大幅な低下が記録されました。特に2023年には23,066トンと過去数年のピークを下回りました。

この長期的なデータから幾つかの課題が浮かび上がります。まず、ボリビアでは国内市場の需要に対し供給量が安定しておらず、価格の不安定化が問題視されています。次に、農地の土壌劣化や気候変動が今後の生産継続を脅かす可能性があります。2023年の生産量減少も、こうした農環境の弱体化に関連していると考えられます。

将来的には、持続可能な農業の推進が欠かせません。例えば、灌漑技術の導入や効率的な肥料使用、土壌改良技術などを広範囲に普及させることで、自然条件の影響を最小化することができます。また、ボリビア政府の支援の枠組みだけでなく、近隣の農産主要国であるアルゼンチンやチリとの協力も重要です。地域市場の需要に合わせた輸出戦略を作り上げることで、ブドウ生産を更なる成長産業として確立することが可能になります。

地政学的な観点からも言及すると、ボリビアは内陸国であり、輸出経路が限られています。これがブドウ産業の国際競争力を制限する大きなリスクです。これに対して、近年の物流インフラの改良や貿易協議の強化を通じて、輸出への道をより広げる努力が求められます。さらに、気候変動による地元農業への影響を軽減するためには、地域ごとの災害対応計画や早期警戒システムの導入が効果的です。

こうした対策を講じることにより、ボリビアのブドウ生産の長期的な安定と成長が期待されます。農業はこの国の多民族文化を支える基盤でもあり、持続可能な発展の確保は次世代のためにも重要な課題です。国際的な機関や支援団体の協力も得ながら、ボリビアの農業全体を含めた戦略的な成長を目指す必要があります。