Skip to main content

ボリビア (多民族国家)の大麦生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、ボリビアの大麦生産量は1960年代初頭には年間約6万トンで安定していましたが、1975年から1980年にかけては波乱のある推移を示しました。その後も増減を繰り返しながら、2009年以降は顕著な減少傾向が見られ、最近では年間約4.8万トン前後で推移しています。同時に、生産量の不安定さは気候や生産技術の限界、政策上の問題が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 47,485
0.69% ↑
2022年 47,159
-2.12% ↓
2021年 48,180
1.29% ↑
2020年 47,567
-0.8% ↓
2019年 47,951
2.86% ↑
2018年 46,620
2.5% ↑
2017年 45,483
-1.12% ↓
2016年 45,996
-10.52% ↓
2015年 51,405
14.75% ↑
2014年 44,798
-1.62% ↓
2013年 45,535
-12.23% ↓
2012年 51,877
2.56% ↑
2011年 50,580
2.57% ↑
2010年 49,314
3.58% ↑
2009年 47,608
-34.99% ↓
2008年 73,228
0.88% ↑
2007年 72,589
-3.51% ↓
2006年 75,226
1.66% ↑
2005年 73,996
1.87% ↑
2004年 72,636
3.83% ↑
2003年 69,955
12.46% ↑
2002年 62,204
-8.93% ↓
2001年 68,300
2.63% ↑
2000年 66,550
1.03% ↑
1999年 65,869
9.66% ↑
1998年 60,069
5.19% ↑
1997年 57,105
-11.04% ↓
1996年 64,189
9.09% ↑
1995年 58,843
-0.78% ↓
1994年 59,308
-7.85% ↓
1993年 64,359
6.03% ↑
1992年 60,700
19.29% ↑
1991年 50,886
-21.79% ↓
1990年 65,064
12.86% ↑
1989年 57,652
-16.46% ↓
1988年 69,010
-12.48% ↓
1987年 78,850
1% ↑
1986年 78,070
3.46% ↑
1985年 75,460
22.88% ↑
1984年 61,410
107% ↑
1983年 29,666
-51.61% ↓
1982年 61,300
8.25% ↑
1981年 56,630
16.63% ↑
1980年 48,555
-7.22% ↓
1979年 52,335
-11.51% ↓
1978年 59,145
-1.25% ↓
1977年 59,895
-34.73% ↓
1976年 91,770
15.29% ↑
1975年 79,600
5.96% ↑
1974年 75,121
3.76% ↑
1973年 72,400
3.28% ↑
1972年 70,100
6.7% ↑
1971年 65,700
6.83% ↑
1970年 61,500
-0.16% ↓
1969年 61,600
2.5% ↑
1968年 60,100
7.32% ↑
1967年 56,000
-6.67% ↓
1966年 60,000 -
1965年 60,000
-2.6% ↓
1964年 61,600
-2.22% ↓
1963年 63,000
4.13% ↑
1962年 60,500
1% ↑
1961年 59,900 -

ボリビアの大麦生産量は長い歴史の中でその変動幅が大きいことが特徴です。FAOのデータによれば、1961年には59,900トンの生産量が記録され、1970年代を通じて安定的な増加が見られました。1976年には91,770トンとピークに達しましたが、その後数年間で生産量が急落し、1983年には29,666トンまで落ち込んでいます。これは、当時の社会的および気候的な混乱が影響している可能性があります。

1980年代中盤になると再び回復し、75,460トンに達するといった復調の時期もありましたが、1990年代以降はこれらの上昇と下降のサイクルが繰り返されています。2006年には75,226トンを記録し、一定の回復を見せたものの、その後の生産量は安定を欠き、2009年には再び47,608トンまで減少しました。これ以降は、年間生産量が5万トン未満で推移しています。

このような推移にはいくつかの要因が関与しています。まず第一に、ボリビアの地理的条件や気候の変動が挙げられます。大麦の生育に適した地域は限られており、さらにはエルニーニョ現象や洪水、干ばつといった異常気象が農作物全体に大きな打撃を与えていると考えられます。特に気候変動による影響が近年強調されており、収穫の安定性を欠く重要な要因となっています。

第二に、農業技術の限界やインフラの弱さがさらなる課題です。ボリビアにおける農業は主に小規模農家による生産に依存しており、近代化された農業機械や効率的な灌漑設備が十分に普及していないことが、収量と品質の向上を妨げています。このことは、他国の例と比較すると明白です。例えば、アメリカやドイツのような農業先進国では、現代的な技術と高い農業効率により、大麦生産の持続可能性が強化されています。

さらに、政策的視点からの分析も重要です。ボリビアの農業政策は、輸出志向よりも国内消費の確保を優先する傾向が強く、これが市場機会の制限につながる可能性があります。加えて、隣国との地域間協力が必ずしも十分ではなく、大麦の流通や価格安定化に影響を与えています。

未来を見据えた対策としては、まず気候変動への対応が不可欠です。これは、耐干ばつ性の高い大麦品種の研究開発や、適切な灌漑システムの導入によって実現可能です。また、農業技術やインフラの近代化を進めることも必要であり、政府主導での資金投入や国際的な支援の確保が重要です。国際機関や他国との協力を強化し、技術移転の枠組みを構築することも有用です。さらに、農業従事者への教育プログラムの充実も、持続可能な農業の確立に寄与することでしょう。

結論として、ボリビアの大麦生産の安定化と増加を目指すには、気候変動の影響に対応する簡便で持続可能な農業手法の導入や、地域間協力の強化が必須です。これらの取り組みが進めば、ボリビア農業の発展のみならず、国内の食糧安定や地域経済の向上にも寄与するでしょう。国や国際機関が政策と資源を投入するタイミングは、今が最適だといえます。