食糧農業機関(FAO)の最新データをもとに、ボリビア(多民族国家)の桃・ネクタリンの生産量を分析した結果、1961年以降、生産量は長期的には増加傾向にあります。特に2010年代以降、収量が飛躍的に伸び、2018年には59,642トン、2019年には最高記録の61,718トンに達しました。一方で、2020年以降はやや減少傾向が見られ、最新の2023年では58,527トンと微減しています。
ボリビア (多民族国家)の桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 58,527 |
-0.84% ↓
|
2022年 | 59,019 |
2.85% ↑
|
2021年 | 57,384 |
-3.45% ↓
|
2020年 | 59,435 |
-3.7% ↓
|
2019年 | 61,718 |
3.48% ↑
|
2018年 | 59,642 |
5.72% ↑
|
2017年 | 56,417 |
1.77% ↑
|
2016年 | 55,434 |
2.02% ↑
|
2015年 | 54,338 |
3.83% ↑
|
2014年 | 52,334 |
36.43% ↑
|
2013年 | 38,360 |
9.82% ↑
|
2012年 | 34,929 |
2.08% ↑
|
2011年 | 34,219 |
2.83% ↑
|
2010年 | 33,278 |
1.42% ↑
|
2009年 | 32,811 |
18.78% ↑
|
2008年 | 27,623 |
24.28% ↑
|
2007年 | 22,227 |
30.75% ↑
|
2006年 | 17,000 |
2.43% ↑
|
2005年 | 16,597 |
4.95% ↑
|
2004年 | 15,814 |
-20.93% ↓
|
2003年 | 20,000 |
-41.18% ↓
|
2002年 | 34,000 |
-6.1% ↓
|
2001年 | 36,209 |
-0.8% ↓
|
2000年 | 36,500 |
1.39% ↑
|
1999年 | 36,000 |
1.15% ↑
|
1998年 | 35,590 | - |
1997年 | 35,590 | - |
1996年 | 35,590 |
0.54% ↑
|
1995年 | 35,400 |
-0.69% ↓
|
1994年 | 35,646 |
6.28% ↑
|
1993年 | 33,540 |
10.26% ↑
|
1992年 | 30,420 |
-8.34% ↓
|
1991年 | 33,188 |
9.41% ↑
|
1990年 | 30,333 |
1.24% ↑
|
1989年 | 29,960 |
1.18% ↑
|
1988年 | 29,610 |
8.22% ↑
|
1987年 | 27,360 |
5.09% ↑
|
1986年 | 26,036 |
25.49% ↑
|
1985年 | 20,747 |
-13.76% ↓
|
1984年 | 24,058 |
0.49% ↑
|
1983年 | 23,940 |
-21.43% ↓
|
1982年 | 30,470 |
-1.34% ↓
|
1981年 | 30,885 |
-0.16% ↓
|
1980年 | 30,935 |
-2.58% ↓
|
1979年 | 31,755 |
15.28% ↑
|
1978年 | 27,545 |
4.54% ↑
|
1977年 | 26,350 |
2.85% ↑
|
1976年 | 25,620 |
2.89% ↑
|
1975年 | 24,900 |
3.23% ↑
|
1974年 | 24,120 |
5.79% ↑
|
1973年 | 22,800 |
1.33% ↑
|
1972年 | 22,500 | - |
1971年 | 22,500 | - |
1970年 | 22,500 |
2.27% ↑
|
1969年 | 22,000 |
-1.79% ↓
|
1968年 | 22,400 |
0.45% ↑
|
1967年 | 22,300 |
0.45% ↑
|
1966年 | 22,200 |
0.45% ↑
|
1965年 | 22,100 |
0.45% ↑
|
1964年 | 22,000 | - |
1963年 | 22,000 |
0.92% ↑
|
1962年 | 21,800 |
0.93% ↑
|
1961年 | 21,600 | - |
ボリビアの桃(モモ)・ネクタリンの生産量は1961年の21,600トンから始まり、断続的な増加を経て、近年では50,000トンを超える水準を維持しています。最初の20年間(1961年から1980年)は年平均約0.5~1%の緩やかな増加を示しましたが、その後、1980年代以降は生産量の変動が激しくなり、一時的に落ち込む年も目立ちました。たとえば1983年には23,940トンまで減少し、さらに1985年には20,747トンに落ち込みました。この減少要因には、気象災害や市場環境の変化、農業技術の限界があったと考えられます。
2000年代初頭までは年ごとの収量変動が続きましたが、2004年から2006年には15,814トンから17,000トンと再び低水準に落ち込みました。しかしその後、2008年以降に復調し、2014年には飛躍的な伸びを見せて52,334トンの記録を達成しました。特に2015年から2019年にかけての4年間は安定成長期に入り、2019年には過去最高の61,718トンを記録しました。この大幅な伸びは、農地改良や品種改良、国内外の需要増加、そして農家の技術的研修の成果と見られます。
一方で、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響や、気候変動による天候不順が生産量に影響を与え始め、2023年は58,527トンと若干ですが減少しています。これは国内外の物流制約、気候変動に伴う降雨不足や高温など、複数の要因が複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。
地政学的背景として、ボリビアの農業は内陸国特有の課題を抱えています。同国の主要な輸出先であるブラジルやアルゼンチンの市場状況や貿易政策が、間接的に果物生産に影響を及ぼしています。また、土地利用の変化や人口増加による農地の競争も、生産量の増減に関係している可能性があります。
将来的にボリビアが持続可能な形で桃・ネクタリンの生産を維持・拡大するためには、いくつかの課題に対処する必要があります。具体的には、気候変動に対応する農業技術の導入や灌漑設備の整備、気象予測データの活用、そして農家の持続的な支援体制が求められます。また、国内外の消費者に向けたマーケティングや輸出戦略を強化することも重要です。特に品質管理や認証制度を導入することで、国際市場における競争力を高めることが期待されます。
気候変動や経済環境の不安定性が続く中でも、地域間での協力や国際的な技術援助を活用することで、同国の果樹栽培はさらに発展の可能性を秘めています。ボリビアは多様な民族文化を持つ国として、桃とネクタリンの生産を通じた持続可能な農業モデルを構築し、地域の貧困削減や経済成長にも寄与していくことができるでしょう。