国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データ(2024年更新)によると、ボリビアにおけるトマトの生産量は長期的な推移をみると増加傾向が明確ですが、期間中に幾度か著しい落ち込みを見せています。2022年の生産量は86,837トンで、過去の最低記録である1981年の22,395トンと比較すると大幅に上昇しています。ただし、近年の動向を見ると、生産量が安定化しつつも、依然として変動する傾向が残るため、安定的な成長を目指した対策が必要です。
ボリビア (多民族国家)のトマト生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 86,837 |
2021年 | 77,116 |
2020年 | 73,515 |
2019年 | 70,319 |
2018年 | 64,715 |
2017年 | 63,549 |
2016年 | 61,531 |
2015年 | 63,683 |
2014年 | 61,171 |
2013年 | 52,292 |
2012年 | 51,960 |
2011年 | 65,829 |
2010年 | 63,214 |
2009年 | 53,070 |
2008年 | 122,687 |
2007年 | 124,328 |
2006年 | 126,215 |
2005年 | 127,678 |
2004年 | 122,121 |
2003年 | 117,613 |
2002年 | 112,825 |
2001年 | 102,321 |
2000年 | 97,728 |
1999年 | 95,007 |
1998年 | 80,636 |
1997年 | 90,553 |
1996年 | 77,048 |
1995年 | 63,637 |
1994年 | 48,731 |
1993年 | 43,700 |
1992年 | 47,017 |
1991年 | 50,030 |
1990年 | 40,130 |
1989年 | 39,870 |
1988年 | 39,500 |
1987年 | 36,900 |
1986年 | 38,730 |
1985年 | 28,553 |
1984年 | 36,526 |
1983年 | 24,232 |
1982年 | 32,000 |
1981年 | 22,395 |
1980年 | 30,610 |
1979年 | 32,335 |
1978年 | 47,345 |
1977年 | 42,040 |
1976年 | 40,800 |
1975年 | 62,710 |
1974年 | 60,490 |
1973年 | 59,600 |
1972年 | 51,000 |
1971年 | 51,000 |
1970年 | 50,000 |
1969年 | 49,000 |
1968年 | 77,400 |
1967年 | 71,700 |
1966年 | 66,400 |
1965年 | 62,200 |
1964年 | 50,000 |
1963年 | 51,000 |
1962年 | 50,000 |
1961年 | 51,000 |
ボリビアにおけるトマト生産の歴史は、数度の大きな変動と長期的な成長から成り立っています。1960年代から1980年代までは特に不安定な時期であり、1976年には40,800トン、さらに1981年には22,395トンという最低水準となり、食糧供給や農業経済に大きな課題を抱える状態でした。このような時期の背景には、地域の気候変動やインフラの未発達、さらには社会的・経済的な不安定性といった要因があると考えられます。
1990年代に入ると生産は増加基調に転じ、2000年代初頭には10万トンを超える年が続出しました。この飛躍の要因としては、農業技術の向上、輸送や貯蔵インフラの改善、市場へのアクセス拡大といったポジティブな変化が挙げられます。また、国際機関や各国からの支援も効率的な農業生産を推進する一助となりました。しかし、2009年に生産量が突如53,070トンへ大幅に減少したのは、干ばつなどの気象要因や生産者のコスト増大が影響した可能性があります。
近年では、2021年に77,116トン、2022年には86,837トンと増加を続けています。この成長は主に、ボリビアの農民がより効率的な種子や農法を採用し始めたこと、同国内の需要の高まりに伴う市場拡大が鍵となっています。しかし一方で、国際的な農産物市場の競争激化や、温暖化による気候変動リスクは、今後の生産動向に影を落とす可能性があります。
ボリビアは地理的背景も特徴的で、多様な民族による文化的農業形態が残る一方で、平地地域における集約的農業も進んでいます。この多様性自体は強みとなるものの、十分な政策と支援がなければ、特定地域での生産過剰や不足が生じ、全体的な安定供給の妨げとなる恐れがあります。また、トマトは水資源を多く消費する作物であるため、持続可能な灌漑技術の導入や水資源管理が課題となります。
将来に向けて、ボリビアが取り得る具体的な対策としては、まず持続可能な農業への支援を強化することが挙げられます。特に、小規模農家への資金援助プログラムや技術指導を通じて、生産効率を向上させる取り組みが必要です。また、輸出市場を一層開拓するために品質管理や物流改善を進めることも重要です。さらに温暖化リスクを軽減するため、気候データに基づいた生産計画の構築や、耐乾燥性を持つ新品種の開発・普及を行うべきです。
結論として、ボリビアのトマト生産量は大きな潜在力を秘めており、適切な戦略と施策が実施されれば、さらなる成長が期待できます。同時に、気候変動や国際的な競争環境を念頭においた柔軟かつ持続可能な政策策定が急務です。これにより、ボリビアは国内の需要を安定的に満たすとともに、近隣諸国やグローバル市場に向けた競争力を一層強化することができるでしょう。