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ボリビア (多民族国家)のニンニク生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の最新データによると、ボリビアのニンニク生産量は1961年の625トンから2023年の2,355トンまで推移してきました。この期間に大幅な増減が見られ、特に1970年代から1990年代後半までは生産量の急激な成長期がありましたが、その後は減少と停滞の傾向が続いています。近年の生産量は横ばいの状態を示しており、1961年当時の量と比較すると約3.8倍に増加していますが、過去の最盛期である2000年代の水準には遠く及んでいません。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,355
-7.91% ↓
2022年 2,558
1.53% ↑
2021年 2,519
1.74% ↑
2020年 2,476
11.03% ↑
2019年 2,230
-13.21% ↓
2018年 2,569
-7.46% ↓
2017年 2,777
-25.57% ↓
2016年 3,731
73.92% ↑
2015年 2,145
-0.88% ↓
2014年 2,164
-69.95% ↓
2013年 7,202
2.59% ↑
2012年 7,020
0.96% ↑
2011年 6,954
1.21% ↑
2010年 6,870
-7.41% ↓
2009年 7,420
42.72% ↑
2008年 5,199
0.42% ↑
2007年 5,177
3.69% ↑
2006年 4,993
5.14% ↑
2005年 4,749
2.57% ↑
2004年 4,630
4.51% ↑
2003年 4,430
-46.23% ↓
2002年 8,239
2.65% ↑
2001年 8,026
0.07% ↑
2000年 8,020
0.82% ↑
1999年 7,955
13.64% ↑
1998年 7,000
-5.28% ↓
1997年 7,390
11.56% ↑
1996年 6,624
6.36% ↑
1995年 6,228
-4.04% ↓
1994年 6,490
16.94% ↑
1993年 5,550
17.09% ↑
1992年 4,740
-22.13% ↓
1991年 6,087
28.44% ↑
1990年 4,739
7.83% ↑
1989年 4,395
7.85% ↑
1988年 4,075
12.1% ↑
1987年 3,635
34.63% ↑
1986年 2,700
73.97% ↑
1985年 1,552
-9.77% ↓
1984年 1,720
-12.91% ↓
1983年 1,975
-9.61% ↓
1982年 2,185
-20.55% ↓
1981年 2,750
-2.14% ↓
1980年 2,810
5.44% ↑
1979年 2,665
-32.53% ↓
1978年 3,950
9.87% ↑
1977年 3,595
0.84% ↑
1976年 3,565
3.33% ↑
1975年 3,450
-8.73% ↓
1974年 3,780
8% ↑
1973年 3,500
70.73% ↑
1972年 2,050
10.81% ↑
1971年 1,850
85% ↑
1970年 1,000 -
1969年 1,000
11.11% ↑
1968年 900
12.5% ↑
1967年 800 -
1966年 800
14.29% ↑
1965年 700 -
1964年 700 -
1963年 700 -
1962年 700
12% ↑
1961年 625 -

ボリビアのニンニク生産の動向を振り返ると、1961年から1970年代前半まではゆるやかな成長が見られ、特に1973年には生産量が3,500トン、1974年には3,780トンと大幅に成長しました。この急増期はおそらく農業技術や栽培面積の拡大、そして輸出需要の増加が背景にあると考えられます。しかし、1975年以降はやや不安定な状態が続きました。1980年代には再度減少傾向が目立ち、1985年には1,552トンと低迷しました。

1990年代に入ると再び上昇傾向を見せ、1991年には6,087トン、1994年には6,490トンとなり、安定した増加が進みました。特に1999年に7,955トン、2000年に8,020トンを記録して、これらの年代はニンニク生産のピーク期を形成しています。この時期の背景には、国内需要の増加に加えて、輸出先の市場拡大があった可能性があります。しかし2003年以降、生産量は急激に減少し、長期的な減少トレンドが続いています。近年(2023年)の数値は2,355トンであり、ピーク時のわずか3割程度にとどまっています。

生産量の推移から考えられる課題として、気候変動やそれに伴う農業の効率低下が挙げられます。ボリビアはアンデス山脈を背景に多様な気候を持つ国ですが、洪水や干ばつなどの自然災害が作物生産に影響を及ぼしている可能性があります。また、農業支援の不足やインフラの老朽化が生産性の低下を招いている点も見逃せません。さらに、国際市場での競争力を持つ他国の生産者、中国やインドといった大規模生産国の影響も国内農家に圧力を与えていることが考えられます。

ニンニク生産の停滞はまた、地域経済や農村部の生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。ニンニクは輸出品としてのポテンシャルを有するだけでなく、地元雇用や食糧供給の観点からも重要な役割を担っています。生産減少が続くことで、特に農村部での貧困問題が深刻化するリスクが懸念されます。

こうした課題に取り組むために、いくつかの具体的な対策を提案できます。一つ目は、気候に強いニンニクの品種の開発や導入を推進することです。この点について、国際機関や他国の成功事例を参考にしつつ、現地の気候条件に適した農業技術を普及させるべきです。二つ目として、農地の灌漑設備や物流インフラの整備も急務です。これにより、生産性の向上と生産物の輸送効率化が期待できます。さらに、国内外のマーケットリサーチを強化し、高品質な商品の貿易ルートを見つけることで、農産品の付加価値を高める必要があります。

地政学的な見地からすると、ボリビアの隣国であるブラジルやアルゼンチンとの地域協力を強化することが重要といえます。特に農業分野での技術共有や市場連携は、持続的な収益基盤を構築するための基盤となり得ます。また、新型コロナウイルスによる物流の混乱や需給バランスの変化が近年の生産量の停滞に拍車をかけた可能性があるため、それへの対応策として分散型の物流網を構築することも考慮すべきでしょう。

総じて、ボリビアのニンニク生産量は過去の成長を回復し、長期的に安定した増加基調に乗ることが求められます。そのためには、政策的支援、地域協力、農業技術の革新が不可欠です。これらの取り組みを通じて、ニンニクの生産を地域農村の経済的基盤として再構築するとともに、世界市場へとつながる持続可能な農業の未来を切り開くことが期待されます。

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