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ボリビア (多民族国家)の茶葉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、ボリビアの茶葉生産量は、1960年代に少量の生産から始まり、1970年代後半に急増した後に大きな波を伴いながらも、2000年代以降は比較的安定した推移を見せています。特に近年では、2020年には1,212トン、2022年には1,199トンとやや伸び悩む傾向も見られています。このような生産量の変遷には、国内の農業政策、国際市場の需要、自然環境の変化などが影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,206
0.66% ↑
2022年 1,199
-0.85% ↓
2021年 1,209
-0.25% ↓
2020年 1,212
0.75% ↑
2019年 1,203
0.89% ↑
2018年 1,192
1.31% ↑
2017年 1,177
-5.92% ↓
2016年 1,251
0.64% ↑
2015年 1,243
3.93% ↑
2014年 1,196
-10.71% ↓
2013年 1,339
-1.35% ↓
2012年 1,358
0.13% ↑
2011年 1,356
1.28% ↑
2010年 1,339
7.53% ↑
2009年 1,245
37.72% ↑
2008年 904
1.69% ↑
2007年 889
1.95% ↑
2006年 872
0.69% ↑
2005年 866
2.24% ↑
2004年 847
-0.35% ↓
2003年 850 -
2002年 850
1.19% ↑
2001年 840 -
2000年 840
3.7% ↑
1999年 810
10.2% ↑
1998年 735 -
1997年 735
3.52% ↑
1996年 710
2.9% ↑
1995年 690
2.22% ↑
1994年 675
14.41% ↑
1993年 590
7.27% ↑
1992年 550
1.85% ↑
1991年 540
8% ↑
1990年 500
13.64% ↑
1989年 440
2.33% ↑
1988年 430
10.26% ↑
1987年 390
16.42% ↑
1986年 335
4.69% ↑
1985年 320
10.34% ↑
1984年 290
45% ↑
1983年 200
-58.33% ↓
1982年 480
-25% ↓
1981年 640
-55.56% ↓
1980年 1,440
-8.05% ↓
1979年 1,566
7.63% ↑
1978年 1,455
32.27% ↑
1977年 1,100
-2.65% ↓
1976年 1,130
73.85% ↑
1975年 650
14.04% ↑
1974年 570 -
1973年 570
-1.72% ↓
1972年 580
-7.5% ↓
1971年 627
25.4% ↑
1970年 500
122.22% ↑
1969年 225
27.84% ↑
1968年 176
37.5% ↑
1967年 128
-1.54% ↓
1966年 130
8.33% ↑
1965年 120
4.35% ↑
1964年 115
4.55% ↑
1963年 110
10% ↑
1962年 100 -
1961年 100 -

ボリビアの茶葉生産量は、1960年代初期にはわずか100トン程度と極めて小規模でしたが、1970年代に大幅に増加し、特に1976年に1,130トンの大台に乗り、翌1977年には1,455トンを記録しました。この急成長には、国の農業拡充政策や新たな栽培地の開拓による影響が考えられます。しかし、その後の1981年には一転して大幅に縮小し640トン、最悪時の1983年には200トンを記録するなど、生産量が不安定でした。この時期の生産量の低迷は、社会的・政治的な不安定さや気候条件の影響の可能性が示唆されます。

1990年代以降、茶葉生産量は徐々に持ち直し、2000年代半ばには800トンを超え、特に2009年以降は1,000トン台を維持しています。しかしながら、2014以降は再び伸び悩み、2022年には1,199トンとわずかな減少傾向が見られます。これは、気候変動や市場競争の激化が影響している可能性があります。また、国内農業の近代化が他の農産物へシフトしていることも要因として考えられます。

他国と比較すると、中国やインドのような主要生産国が数万~数百万トン単位に達しているのに対し、ボリビアの茶葉生産は依然として規模が小さく、国内消費およびローカル市場への供給が主であると考えられます。このため、輸出市場において存在感を示すにはさらなる品質向上や生産体制の整備が必要です。

課題として、ボリビアでは灌漑技術不足やインフラの未整備が生産性向上のボトルネックとなっています。また、急激な気候変動により雨量などの条件が変化し、農業全般に不確実性が生じています。これに対しては、新しい耐気候性茶葉品種の導入や、設備投資による灌漑技術の向上が有効です。さらに、国際市場での競争力を高めるためには、有機農法を取り入れたり、持続可能性を強調したブランド戦略を採用することが考えられます。

地政学的な視点から見ても、ボリビアは地理的にペルーやブラジルといった近隣国の協力を得やすい位置にあります。生産体制を強化するためには、これらの近隣諸国との技術共有や共同マーケティング戦略などの連携が重要です。特に南米地域全体の輸出力を高めるためには、地域内でのFFA(自由貿易協定)の利用や、茶葉の供給チェーンの効率化が必要です。

新型コロナウイルス感染症の影響により、茶葉需要が家庭内消費用途で増加した一方、生産現場への物流制約や労働力不足が蔓延し、生産活動への影響が限定的ではありませんでした。今後もこのような外的要因に備えたリスク分散戦略が求められます。

総じて、ボリビアの茶葉生産は過去の変動を経ながらも近年は安定した傾向にあります。ただし、将来的な生産拡大には技術革新、政策支援、市場開拓が必要です。国際連合食糧農業機関や国際開発機関との連携を深め、技術指導や資金援助を受けつつ、持続可能で競争力のある産業としての発展を目指すべきでしょう。