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ボリビア (多民族国家)の羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ボリビア(多民族国家)の羊肉生産量は、1961年の11,930トンから2023年の32,826トンへと大幅に増加しています。特に近年の増加は顕著で、2015年以降急速に生産量が拡大しています。一方で、一部の時期には大幅な減少も見られ、これらの変動には地政学的リスクや経済的背景、自然災害など多様な要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 32,826
4.62% ↑
2022年 31,376
3.3% ↑
2021年 30,374
2.27% ↑
2020年 29,700
2.89% ↑
2019年 28,867
10.56% ↑
2018年 26,109
18.68% ↑
2017年 22,000
22.22% ↑
2016年 18,000
20% ↑
2015年 15,000
17.78% ↑
2014年 12,735
0.95% ↑
2013年 12,615
-4.09% ↓
2012年 13,154
1.07% ↑
2011年 13,015
4.13% ↑
2010年 12,499
4.26% ↑
2009年 11,988
4.92% ↑
2008年 11,426
0.39% ↑
2007年 11,382
0.05% ↑
2006年 11,376
0.51% ↑
2005年 11,318
-37.12% ↓
2004年 18,000
2.15% ↑
2003年 17,621
4.24% ↑
2002年 16,904
4.01% ↑
2001年 16,253
3.35% ↑
2000年 15,726
3.07% ↑
1999年 15,257
2.87% ↑
1998年 14,832
1.32% ↑
1997年 14,639
3.16% ↑
1996年 14,190
2.87% ↑
1995年 13,794
1.26% ↑
1994年 13,622
10.07% ↑
1993年 12,376
-3.69% ↓
1992年 12,850
0.79% ↑
1991年 12,749
-13.46% ↓
1990年 14,732
-5.16% ↓
1989年 15,533
-0.86% ↓
1988年 15,667
8.51% ↑
1987年 14,438
9.35% ↑
1986年 13,204
11.97% ↑
1985年 11,792
4.69% ↑
1984年 11,264
-40.56% ↓
1983年 18,949
-8.46% ↓
1982年 20,700
3.61% ↑
1981年 19,978
1.93% ↑
1980年 19,600
2.08% ↑
1979年 19,200
1.53% ↑
1978年 18,910
3.01% ↑
1977年 18,357
0.72% ↑
1976年 18,225
8.01% ↑
1975年 16,874
0.68% ↑
1974年 16,760
2.51% ↑
1973年 16,350
2.51% ↑
1972年 15,950
2.9% ↑
1971年 15,500
13.22% ↑
1970年 13,690
-0.07% ↓
1969年 13,700
1.48% ↑
1968年 13,500
3.85% ↑
1967年 13,000
4% ↑
1966年 12,500
1.71% ↑
1965年 12,290
0.82% ↑
1964年 12,190
-3.25% ↓
1963年 12,600
2.02% ↑
1962年 12,350
3.52% ↑
1961年 11,930 -

ボリビアの羊肉生産量の推移について、1961年から2023年までのデータを見ると、大きな変動を伴いつつも全体的には増加傾向にあります。1960年代から1970年代初頭にかけて、羊肉生産量は緩やかに伸びていましたが、1980年代中盤から90年代前半にかけては急激な落ち込みが見られました。その後、2000年代に入るとゆるやかな回復が始まり、2015年以降は特に急速な増加傾向にあります。

このような生産量の変化には、いくつかの背景が影響していると考えられます。経済的要因としては、ボリビアの長期にわたるインフレや農業部門への投資不足が特定の期間の生産低下に寄与している可能性があります。また、ボリビアは標高の高いアンデス山脈地帯を含み、農業に困難な地形や気象条件に直面しています。1980年代中盤における大きな減少については、同時期に発生した経済危機や、気候変動による干ばつや冷害などの自然環境の影響が考えられます。

近年の生産量急増は、国家政策や技術の進歩が大きく寄与している可能性があります。ボリビア政府は農業分野への支援を強化し、羊肉生産を重要産業として位置づけています。さらに、国内需要の増加と海外市場の拡大が、生産意欲を刺激していると考えられます。特に2015年以降の急速な増加は、世界的な食肉需要の高まりに応じた生産の効率化や、輸送インフラの整備による地域間流通の活発化が影響していると推察されます。

一方で、課題も少なくありません。まず、生産量の急激な増加が生態系に与える影響が懸念されています。過放牧や不適切な資源管理によって土地の劣化が進むリスクがあります。また、国際市場での競争力強化のためには、品質基準の向上や食品衛生管理のさらなる改善が求められます。ボリビアは周辺諸国と比べても技術水準で後れを取っている側面があり、例えば南米の主要な羊肉輸出国であるアルゼンチンやウルグアイなどと比較すると、生産効率や品質管理の面で明確な差が見られます。

さらに、地政学的リスクについても考慮が必要です。例えば、隣接するブラジルやアルゼンチンなど地域内での紛争や農地争奪の問題は、羊肉生産にも間接的な影響を及ぼしかねません。また気候変動の影響が進む中、洪水、干ばつ、そして気温の上昇が家畜の飼育に与える影響を最小限に抑えるための適応策が必要となります。

今後の持続可能な成長の鍵となるのは、環境負荷を抑えるための持続可能な牧畜手法の導入と、国際市場で競争力を持つための品質向上への投資です。また、災害や疫病のリスク管理体制の整備も急がれます。他国では、例えばデジタル技術を活用した家畜管理システムの導入や再生可能エネルギーを利用した施設運営などの革新的な取り組みが進んでおり、これらをモデルにした政策がボリビアでも期待されます。

結論として、羊肉生産はボリビアの農業と食料供給の重要な柱をなす産業であり、今後も成長が見込まれる分野です。しかし、同時に取り組むべき課題も多いのが現状です。政府、地元コミュニティ、そして国際機関が協力することで、ボリビアの羊肉産業はさらに持続可能かつ収益性の高い形へと成長する道筋が見えてくるでしょう。