FAO(国際連合食糧農業機関)が提供した最新データによると、ボリビア(多民族国家)のマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は、1961年から着実に増加傾向を示してきました。特に1980年代以降に成長が加速し、2000年代後半からは年間1万トンを超える生産量に到達しました。2014年以降、約1万7,000トン前後で推移しており、近年の値は安定しているものの微増の傾向が確認されています。このデータはボリビアの農業政策、気候条件、生産技術に大きく左右されており、さらなる持続可能な発展の可能性があります。
ボリビア (多民族国家)のマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 17,576 |
-1.07% ↓
|
2022年 | 17,766 |
1.26% ↑
|
2021年 | 17,546 |
-0.38% ↓
|
2020年 | 17,613 |
-2.32% ↓
|
2019年 | 18,032 |
2.38% ↑
|
2018年 | 17,613 |
-2.3% ↓
|
2017年 | 18,028 |
4.83% ↑
|
2016年 | 17,198 |
2.48% ↑
|
2015年 | 16,782 |
-3.27% ↓
|
2014年 | 17,349 |
58.37% ↑
|
2013年 | 10,955 |
-0.48% ↓
|
2012年 | 11,008 |
1.24% ↑
|
2011年 | 10,873 |
1.4% ↑
|
2010年 | 10,724 |
-0.27% ↓
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2009年 | 10,753 |
88.81% ↑
|
2008年 | 5,695 |
2.3% ↑
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2007年 | 5,567 |
2.62% ↑
|
2006年 | 5,425 |
2.59% ↑
|
2005年 | 5,288 |
2.68% ↑
|
2004年 | 5,150 |
2.61% ↑
|
2003年 | 5,019 |
-34.94% ↓
|
2002年 | 7,715 |
0.06% ↑
|
2001年 | 7,710 |
0.13% ↑
|
2000年 | 7,700 |
2.67% ↑
|
1999年 | 7,500 |
7.3% ↑
|
1998年 | 6,990 | - |
1997年 | 6,990 |
1.84% ↑
|
1996年 | 6,864 |
2.45% ↑
|
1995年 | 6,700 |
1.06% ↑
|
1994年 | 6,630 |
2.08% ↑
|
1993年 | 6,495 |
6.74% ↑
|
1992年 | 6,085 |
-8.22% ↓
|
1991年 | 6,630 |
8.33% ↑
|
1990年 | 6,120 |
4.79% ↑
|
1989年 | 5,840 |
2.46% ↑
|
1988年 | 5,700 |
5.56% ↑
|
1987年 | 5,400 |
5.88% ↑
|
1986年 | 5,100 |
10.99% ↑
|
1985年 | 4,595 |
4.6% ↑
|
1984年 | 4,393 |
17.46% ↑
|
1983年 | 3,740 |
-5.56% ↓
|
1982年 | 3,960 |
16.47% ↑
|
1981年 | 3,400 |
0.15% ↑
|
1980年 | 3,395 |
15.28% ↑
|
1979年 | 2,945 |
0.17% ↑
|
1978年 | 2,940 |
-6.22% ↓
|
1977年 | 3,135 |
0.48% ↑
|
1976年 | 3,120 |
-0.95% ↓
|
1975年 | 3,150 |
3.28% ↑
|
1974年 | 3,050 |
8.93% ↑
|
1973年 | 2,800 |
6.46% ↑
|
1972年 | 2,630 |
4.37% ↑
|
1971年 | 2,520 |
0.8% ↑
|
1970年 | 2,500 | - |
1969年 | 2,500 |
8.7% ↑
|
1968年 | 2,300 | - |
1967年 | 2,300 |
4.55% ↑
|
1966年 | 2,200 |
4.76% ↑
|
1965年 | 2,100 | - |
1964年 | 2,100 |
5% ↑
|
1963年 | 2,000 |
5.26% ↑
|
1962年 | 1,900 |
5.56% ↑
|
1961年 | 1,800 | - |
ボリビアは地理的に多様性に富んだ国で、マンゴー、マンゴスチン、グアバの生産に適した熱帯気候の地域が点在しています。そのため、同国は1960年代以降、これらの果物の農業生産を段階的に拡大してきました。1961年に1,800トンだった生産量はおおむね上昇を続け、特に1980年代から1990年代にかけて急速に成長を遂げました。例えば、1980年の3,395トンから1990年には6,120トンにまで増加し、この成長は現地の農業拡大とともに進んだと考えられます。
2000年代初頭には一時的に生産量が減少しましたが、2009年以降に1万トンを突破してからは再び安定的な増加基調に転じています。2014年には17,349トンとなり、それ以降は1万7,000トン前後で比較的安定した水準で推移しています。これは植物の病害対策や生産効率の向上を目指した近代化技術が導入されたこと、さらには輸出市場の拡大が背景にあると考えられます。
しかし、この安定した値にも関わらず課題は残っています。近年、ボリビアのマンゴー、マンゴスチン、グアバ農業は気候変動による影響を強く受けつつあります。例えば、異常気象の発生頻度が上昇していること、干ばつや洪水などが生産量のばらつきを引き起こしていることが懸念されます。また、市場依存度の高い果物であるため、国際市場の価格変動がボリビア経済や農家の収入に直接影響を及ぼすリスクもあります。
さらに、地政学的には、同国は他の果物生産国との競争に直面しています。例えば、ブラジルやペルーといった近隣国も同じくマンゴーやグアバの主要生産国として台頭しており、特に輸出市場では競争力が試される局面が続いています。このため、ボリビアがこれらの商品を競争力のある形で生産・輸出するためには、生産コストの削減や品質基準の向上が不可欠です。
今後の対策として、まず農家への技術支援を強化し、持続可能な農業技術の導入と教育を進めることが求められます。特に気候変動への適応策として、灌漑システムの整備や耐乾性作物の開発が優先されるべきです。また、国内消費の拡大や新市場の開拓を進め、輸出依存度の軽減を図ることが安定した経済基盤づくりに寄与します。同時に、品質管理システムの統一やブランド化を推し進めることが、国際市場での競争力を高めるカギとなります。
最後に、地政学的ならびに自然災害や疫病の影響を軽減するため、地域間協力の枠組みづくりや食糧安全保障の拡充も必要不可欠です。ボリビアは気候条件に恵まれている反面、環境面での脆弱性も抱える国です。この機会に、長期的な視野での農業分野への投資と持続可能な発展戦略を進めることで、さらに高い成長ポテンシャルを実現できるでしょう。