国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ボリビア(多民族国家)のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1980年代に急速な増加傾向を見せたものの、2000年代には大幅に減少しました。1980年の生産量70,400トンは1990年代中盤に100,000トンを超えるピークに達しましたが、その後2000年代後半に急激な低下を見せ、2010年代以降は20,000~25,000トン程度で横ばいが続いています。これらの変動は、農業政策、地域経済、気候変動など複数の要因に起因すると考えられます。
ボリビア (多民族国家)のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 24,600 |
0.47% ↑
|
2022年 | 24,484 |
-0.81% ↓
|
2021年 | 24,683 |
0.44% ↑
|
2020年 | 24,574 |
3.51% ↑
|
2019年 | 23,740 |
-3.61% ↓
|
2018年 | 24,629 |
0.13% ↑
|
2017年 | 24,596 |
2.77% ↑
|
2016年 | 23,934 |
-6.77% ↓
|
2015年 | 25,672 |
-6.87% ↓
|
2014年 | 27,565 |
41.07% ↑
|
2013年 | 19,540 |
2% ↑
|
2012年 | 19,156 |
3.25% ↑
|
2011年 | 18,554 |
2.2% ↑
|
2010年 | 18,155 |
-8.57% ↓
|
2009年 | 19,858 |
-2.92% ↓
|
2008年 | 20,455 |
2.13% ↑
|
2007年 | 20,029 |
1.88% ↑
|
2006年 | 19,660 |
-20.23% ↓
|
2005年 | 24,647 |
-20.54% ↓
|
2004年 | 31,019 |
-52.47% ↓
|
2003年 | 65,259 |
-35.81% ↓
|
2002年 | 101,663 |
-4.29% ↓
|
2001年 | 106,219 |
-2.52% ↓
|
2000年 | 108,970 |
2.22% ↑
|
1999年 | 106,608 |
2.21% ↑
|
1998年 | 104,298 |
-0.87% ↓
|
1997年 | 105,215 |
2.15% ↑
|
1996年 | 103,000 |
2.99% ↑
|
1995年 | 100,010 |
24.47% ↑
|
1994年 | 80,350 |
-0.48% ↓
|
1993年 | 80,735 |
0.86% ↑
|
1992年 | 80,048 |
-0.3% ↓
|
1991年 | 80,290 |
8.03% ↑
|
1990年 | 74,320 |
5.27% ↑
|
1989年 | 70,600 |
-7.59% ↓
|
1988年 | 76,400 |
17.18% ↑
|
1987年 | 65,200 |
7.77% ↑
|
1986年 | 60,500 |
6.22% ↑
|
1985年 | 56,955 |
-12.08% ↓
|
1984年 | 64,780 |
54.44% ↑
|
1983年 | 41,945 |
-26.76% ↓
|
1982年 | 57,270 |
-10.14% ↓
|
1981年 | 63,730 |
-9.47% ↓
|
1980年 | 70,400 | - |
ボリビアは、多くの民族が住む地域であり、農業はその生活と経済において重要な役割を担っています。カボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンは主に地元の消費や農村経済に貢献する作物ですが、その生産量の推移を見ると、過去数十年間で大きな変動が見られます。
1980年代から1990年代にかけて、ボリビアのこれらの作物の生産量は順調に増加しました。1995年にはついに100,000トンを超え、その後1999年まで持続的な成長を遂げました。この時期の増加は、農村部における農業支援政策や土地の豊かな肥沃性、さらに地域市場での需要増加が主因と考えられます。しかし、2002年以降、急激な生産量の減少が見られるようになります。特に2004年から2006年にかけては、過去最低の19,660トンという記録を示しました。これには主に気候変動の影響や、農村部での経済的困難が関係していると考えられます。この減少期には、干ばつにより農業生産が大打撃を受け、一部の地域では耕地が放棄されたと報告されています。
2010年代以降、生産量は徐々に安定化しましたが、回復には至らず、20,000~25,000トンの範囲で推移しています。この生産量の低迷は複数の要因によるものです。農業インフラの未整備、農業機械や技術の限界、気候危機の影響、そして近隣諸国との国際競争が挙げられます。例えば、ボリビアより生産規模の大きい中国やインドでは、大規模な農地や高度な技術の導入により、これらの作物の生産量が比較的安定している一方で、ボリビアではインフラ投資の面でまだ課題が残されています。
さらに、この国の農業には地政学的要素も影響を及ぼしています。ボリビアは内陸国であり、輸送コストが高く、国際市場に競争力を持つためには厳しい条件が課されています。また、気候変動による干ばつや洪水、さらには近年のパンデミックの影響も農業生産に深刻な打撃を与えています。
このような背景を考慮すると、ボリビアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産を持続可能な形で復活させるためには、いくつかの解決策が必要です。第一に、気候変動に対応した農業技術、例えば、耐乾性の品種の開発や適切な灌漑システムの導入が急務です。第二に、小規模農家に対するローンや融資制度を強化し、農業設備の近代化と効率化を支援することが求められます。第三に、地域間連携を深め、隣国と協力して気候リスクや市場競争に備える国際的な枠組みを構築することも重要です。
また、農業以外にも農村の経済基盤を多様化させることにより、農業そのものへの依存を軽減するという方法も挙げられます。例えば、観光業や工芸品産業の推進により、収入源を分散することが可能です。これにより、農村部における経済脆弱性を減らし、持続可能な発展を目指すことが期待されます。
結論として、ボリビアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産の長期的な回復と成長には、技術的および経済的な対策を組み合わせた包括的なアプローチが必要です。国際社会や地域での協力を通じて、環境的に持続可能で競争力のある農業を構築することが将来の課題解決の鍵となります。