国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年の最新データによると、ボリビアにおけるサワーチェリーの生産量は、1990年代に安定した増減を繰り返した後、2000年代中頃にピークを迎えました。しかし、2009年以降、大幅な減少が見られ、2023年時点の生産量は72トンで横ばいとなっています。この減少には複数の要因が推測され、これに伴う課題や対策を考える必要があります。
ボリビア (多民族国家)のサワーチェリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 72 |
0.04% ↑
|
2022年 | 72 |
2.24% ↑
|
2021年 | 70 |
0.17% ↑
|
2020年 | 70 |
-4.11% ↓
|
2019年 | 73 |
3.17% ↑
|
2018年 | 71 |
-4.38% ↓
|
2017年 | 74 |
8.82% ↑
|
2016年 | 68 |
6.25% ↑
|
2015年 | 64 |
4.92% ↑
|
2014年 | 61 |
-71.31% ↓
|
2013年 | 213 |
-12.81% ↓
|
2012年 | 244 |
10.84% ↑
|
2011年 | 220 |
-0.45% ↓
|
2010年 | 221 |
-5.15% ↓
|
2009年 | 233 |
-59.34% ↓
|
2008年 | 573 |
0.35% ↑
|
2007年 | 571 |
0.71% ↑
|
2006年 | 567 |
2.16% ↑
|
2005年 | 555 |
2.21% ↑
|
2004年 | 543 |
2.07% ↑
|
2003年 | 532 |
-0.56% ↓
|
2002年 | 535 |
-0.93% ↓
|
2001年 | 540 |
-0.92% ↓
|
2000年 | 545 |
0.93% ↑
|
1999年 | 540 |
0.93% ↑
|
1998年 | 535 |
0.94% ↑
|
1997年 | 530 |
-0.93% ↓
|
1996年 | 535 |
-0.93% ↓
|
1995年 | 540 |
-0.92% ↓
|
1994年 | 545 |
-0.91% ↓
|
1993年 | 550 |
0.92% ↑
|
1992年 | 545 |
0.93% ↑
|
1991年 | 540 |
0.93% ↑
|
1990年 | 535 | - |
ボリビアのサワーチェリー生産量の推移を見ると、1990年代から2008年にかけておおむね安定的な生産が続いており、1990年の535トンから2008年の573トンにわずかながら成長を記録しました。この時期は、ボリビアの農業における他の果実への依存も低く、地域的な需要増加や国内での供給網の整備が背景にあったと考えられます。
しかしながら、2009年に生産量が233トンまで急落し、その後2010年以降も減少傾向が継続しました。2014年にはわずか61トンという過去最低レベルに達し、その後ほぼ横ばいの状態が続いています。この劇的な落ち込みの背景には、幾つかの要因が考えられます。まず、気候変動による天候不順や農業用水の枯渇が大きな影響を及ぼした可能性があります。ボリビアは地形的に多様な気候を持ちますが、高地では雨量が減少し、地球温暖化の影響を強く受けています。このため、チェリーを始めとする果物生産には深刻な影響を及ぼすことになります。
加えて、経済的な課題も見逃せません。他国への輸出減少や国内での価格競争の激化は、農家にとってサワーチェリー栽培をあまり魅力的な選択肢として残さない要因となりました。その結果、他の作物への転作が進み、さらなる生産低迷につながっているとみられます。国際市場においても、サワーチェリーの主要生産国であるトルコやポーランドといった安定的に大規模な生産を行なう国々との競争において、ボリビアはその競争力を失いつつあります。
さらに、地域政策やインフラ不足も一役買っています。農業の近代化が遅れた地域では、高品質な種子や効率的灌漑技術へのアクセスが限定されており、生産量低下を抑えるための対策が十分に実施されていないのが現状です。このような背景は、国内だけにとどまらず、アメリカやヨーロッパなど他国の農業政策と比較すると顕著であるといえます。
ボリビアがこの低迷を脱し、サワーチェリー生産量を回復させるためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず第一に、気候変動への適応策を強化することが挙げられます。灌漑技術の導入や新たな耐候性品種の開発により、変化する気候条件下でも安定的な生産を目指すべきです。これに関連して、政府や国際機関が農業インフラへの投資を加速させることも重要です。
次に、国内外における需要拡大のためのマーケティング戦略が必要です。品質改善と共に「ボリビア産」というブランド価値を高める努力が、競争力を高める鍵となります。さらに、農業従事者への技術支援や教育プログラムを拡充し、生産効率を最大化するための知識やリソースを提供することが急務です。
また、地域の安定を確保するため、農業災害や疫病のリスクを軽減するための早期警戒システムの導入も検討すべきです。そして、地域の協力体制の強化や国際機関との連携が、長期的な農業発展において不可欠な要素として機能します。
結論として、ボリビアにおけるサワーチェリーの生産低迷は、気候変動や経済的リスクによる複合的な影響を受けていることがわかります。これらの課題に対して、具体的かつ持続可能な対策を講じることで、将来的には生産量を再び安定成長へと導く可能性があります。このためには、政府、農家、そして国際機関が協力して行動する必要があります。