国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ウルグアイのヨーグルト生産量は1988年から2021年の間で大きな変化を見せています。1990年代から2000年代前半にかけて着実な成長を遂げましたが、2002年以降18,000トンで横ばいとなり、その後2015年から減少に転じました。このような推移は、国内需要、国際市場の影響、および農業や乳製品生産の変化と関連していると考えられます。
ウルグアイのヨーグルト生産量推移(1961年~2021年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2021年 | 13,302 |
-0.63% ↓
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2020年 | 13,386 |
3.08% ↑
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2019年 | 12,986 |
11.59% ↑
|
2018年 | 11,638 |
-6.41% ↓
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2017年 | 12,434 |
16.81% ↑
|
2016年 | 10,645 |
-25.17% ↓
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2015年 | 14,225 |
-20.97% ↓
|
2014年 | 18,000 | - |
2013年 | 18,000 | - |
2012年 | 18,000 | - |
2011年 | 18,000 | - |
2010年 | 18,000 | - |
2009年 | 18,000 | - |
2008年 | 18,000 | - |
2007年 | 18,000 | - |
2006年 | 18,000 | - |
2005年 | 18,000 | - |
2004年 | 18,000 | - |
2003年 | 18,000 | - |
2002年 | 18,000 |
9.09% ↑
|
2001年 | 16,500 | - |
2000年 | 16,500 | - |
1999年 | 16,500 |
-4.1% ↓
|
1998年 | 17,206 |
5.16% ↑
|
1997年 | 16,362 |
3.78% ↑
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1996年 | 15,766 |
8.46% ↑
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1995年 | 14,536 |
-0.59% ↓
|
1994年 | 14,622 |
23.88% ↑
|
1993年 | 11,803 |
25.74% ↑
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1992年 | 9,387 |
41.31% ↑
|
1991年 | 6,643 |
16.85% ↑
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1990年 | 5,685 |
-28.38% ↓
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1989年 | 7,938 |
28.63% ↑
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1988年 | 6,171 | - |
ウルグアイのヨーグルト生産量は、1988年の6,171トンから始まり、1990年代には年間約10,000~14,000トン台への安定的な増加を見せました。この期間の成長は、ウルグアイ国内での乳製品需要が拡大し、それに合わせて製造業の基盤が強化されたことが要因として挙げられます。また、1996年から1998年にかけて記録された15,000~17,000トン台への成長は、国内のみならず輸出市場をターゲットとしたヨーグルト生産の積極的な推進を反映しています。
2002年から2014年までの13年間、ウルグアイのヨーグルト生産量は18,000トンで安定しています。この長期的な一定水準は、乳産業の機械化や最適化、輸出先の拡大などが背景にあります。しかし、一方でこの横ばい傾向は、国内需要や輸出市場の拡大が頭打ちとなった可能性も示唆しています。また、ウルグアイは畜産業が盛んな国ですが、相対的に小規模な国内市場が生産者にとって大きな経済的挑戦であることも指摘されてきました。
2015年以降、ヨーグルト生産量は急激に減少しています。具体的には、2015年の14,225トンを皮切りに、2016年には10,645トン、さらに2018年の11,638トンに至るまで減少傾向が続きました。この変化は、いくつかの要因によると考えられます。第一に、ウルグアイ国内での乳製品消費における嗜好の変化が影響している可能性があります。特に健康志向の高まりとともに、代替食品や低脂肪製品への需要が増加していることが分かります。第二に、輸出競争力の低下や国際市場価格の変動も生産量の減少を助長した可能性があります。第三に、新型コロナウイルスの影響も軽視できません。2020年から2021年にかけてのパンデミックは、生産チェーンや物流に困難をもたらし、ヨーグルト生産にも一定の影響を及ぼした可能性があります。
ウルグアイのヨーグルト生産量の推移を他国と比較すると、日本や韓国では、近年健康志向食品の需要が増加する中で、独自の発酵乳製品の市場が広がっています。一方、中国やインドのような新興市場では人口増加とともに乳製品の需要も上昇し、それが生産拡大の一因となっています。このような他国の状況と比較すると、ウルグアイは地理的条件や市場規模が限られるため、国内需要への依存度が高い傾向が見られます。
今後の課題として挙げられるのは、国内ヨーグルト市場の多様化と国際競争力の向上です。具体的には、新しい消費者ニーズを把握し、プロバイオティクス(健康に良い微生物を含む乳製品)のような付加価値製品に注力する必要があります。また、持続可能な生産技術の導入や乳製品輸出の新規市場開拓も重要です。さらに、生産コストを削減しつつ品質を向上させる技術革新、地元農業との連携強化が求められます。
結論として、ウルグアイのヨーグルト生産量における推移は、国内市場の変化、国際的な競争要因、そして地政学的な条件の影響を強く受けてきました。しかし、こうした課題を克服するためには、グローバルなトレンドに即した柔軟な対応戦略と継続的な革新が必要です。国際連合や地域協力機関とも連携し、乳製品産業を強化することが、持続的な成長を実現する鍵となるでしょう。