国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月のデータによると、ウルグアイにおけるレモン・ライムの生産量は長期的に増加傾向を示しています。特に2021年には78,123トンと過去最高を記録しましたが、2023年には49,349トンと一時的に生産量が減少しました。全体的に見ると、生産量は1960年代の6,000トンから現在までで大幅な成長を遂げていますが、近年の変動が課題として浮上しています。
ウルグアイのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 49,349 |
-33.33% ↓
|
| 2022年 | 74,015 |
-5.26% ↓
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| 2021年 | 78,123 |
51.34% ↑
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| 2020年 | 51,620 |
8.85% ↑
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| 2019年 | 47,422 |
25.18% ↑
|
| 2018年 | 37,884 |
-0.29% ↓
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| 2017年 | 37,993 |
6.46% ↑
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| 2016年 | 35,688 |
-1.47% ↓
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| 2015年 | 36,222 |
16.46% ↑
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| 2014年 | 31,102 |
-5.22% ↓
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| 2013年 | 32,816 |
-30.02% ↓
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| 2012年 | 46,895 |
22.71% ↑
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| 2011年 | 38,215 |
1.48% ↑
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| 2010年 | 37,656 |
-10.33% ↓
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| 2009年 | 41,993 |
27.22% ↑
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| 2008年 | 33,008 |
-12.42% ↓
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| 2007年 | 37,689 |
-12.07% ↓
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| 2006年 | 42,864 |
-6.82% ↓
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| 2005年 | 46,000 |
37.44% ↑
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| 2004年 | 33,470 |
-8.8% ↓
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| 2003年 | 36,701 |
-4.72% ↓
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| 2002年 | 38,519 |
-17.07% ↓
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| 2001年 | 46,447 |
30.85% ↑
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| 2000年 | 35,496 |
-15% ↓
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| 1999年 | 41,759 |
-21.14% ↓
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| 1998年 | 52,950 |
3.82% ↑
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| 1997年 | 51,003 |
39.86% ↑
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| 1996年 | 36,467 |
-18.96% ↓
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| 1995年 | 45,000 |
4.89% ↑
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| 1994年 | 42,903 |
-0.23% ↓
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| 1993年 | 43,000 |
-10.6% ↓
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| 1992年 | 48,100 |
13.95% ↑
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| 1991年 | 42,210 |
-0.33% ↓
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| 1990年 | 42,351 |
15.08% ↑
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| 1989年 | 36,800 |
-21.27% ↓
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| 1988年 | 46,740 |
-10.38% ↓
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| 1987年 | 52,152 |
10.96% ↑
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| 1986年 | 47,000 |
17.5% ↑
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| 1985年 | 40,000 |
0.76% ↑
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| 1984年 | 39,700 |
98.5% ↑
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| 1983年 | 20,000 |
-18.7% ↓
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| 1982年 | 24,600 |
23.63% ↑
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| 1981年 | 19,898 |
11.64% ↑
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| 1980年 | 17,823 |
18.82% ↑
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| 1979年 | 15,000 |
25% ↑
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| 1978年 | 12,000 |
33.33% ↑
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| 1977年 | 9,000 |
12.5% ↑
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| 1976年 | 8,000 |
6.67% ↑
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| 1975年 | 7,500 |
7.14% ↑
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| 1974年 | 7,000 |
16.67% ↑
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| 1973年 | 6,000 | - |
| 1972年 | 6,000 | - |
| 1971年 | 6,000 |
8.17% ↑
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| 1970年 | 5,547 |
-7.55% ↓
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| 1969年 | 6,000 |
-22.68% ↓
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| 1968年 | 7,760 | - |
| 1967年 | 7,760 |
-15.03% ↓
|
| 1966年 | 9,133 |
52.22% ↑
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| 1965年 | 6,000 | - |
| 1964年 | 6,000 | - |
| 1963年 | 6,000 | - |
| 1962年 | 6,000 | - |
| 1961年 | 6,000 | - |
ウルグアイのレモン・ライム生産は、1961年の6,000トンからスタートし、その後60年以上にわたって成長を続けてきました。特に1980年代から1990年代にかけて大幅な増加が見られ、1984年には39,700トン、1987年には52,152トンと急成長を記録しました。この時期の伸びは、農業技術の導入や市場需要の増加が影響したと考えられます。
しかし、1990年代後半から2000年代初頭にかけては、36,467トン(1996年)や35,496トン(2000年)と生産量が一時的に減少する時期もありました。この変動は、天候不順や国際市場における価格変動が影響した可能性があります。また、他国との競争や農産品の市場グローバル化も生産の不安定化に関与していると考えられます。
近年のデータを見ても依然として生産量の変動は顕著です。2021年には78,123トンと過去最高を記録しましたが、その後2022年に74,015トン、さらに2023年には49,349トンと減少しました。2021年の生産量急増は、気候条件に恵まれたことや、国内外からの需要増加によるものと推測されますが、2023年の減少については、気候変動や農業インフラの不足、地域的な疫病や害虫の発生が原因とされる可能性があります。
ウルグアイのレモン・ライム生産は、地域経済において重要な役割を果たしています。本作物は国内消費だけでなく、輸出産業としての側面も強く、主にアルゼンチン、ブラジル、アメリカを中心とした市場で高い需要があります。他国との比較を行うと、例えばブラジルやメキシコは世界の主要な柑橘類生産国として、市場規模と生産量の両面で圧倒的な地位を持っていますが、ウルグアイは比較的規模が小さいものの品質面で競争力を持っています。
課題としては、国内の農業生産性向上と気候変動への対応が挙げられます。将来的には、極端な気象や長引く干ばつの影響を抑えるため、灌漑システムの改善や持続可能な農業技術の導入が求められます。また、害虫や病害のリスクを管理するための農薬使用の最適化や生物防除技術の拡充も必要とされています。これに加えて、輸出市場の多様化も重要です。現在の主要市場である南米諸国やアメリカに加え、ヨーロッパやアジア市場へのアクセスを広げることで、価格変動リスクを分散させることが可能です。
地政学的背景としては、今後地域間の貿易協定が果たす役割が重要となります。たとえば、メルコスール(南米南部共同市場)加盟国としてのウルグアイは、農産物輸出の優遇措置を享受しており、この枠組みが今後の生産と売上高に与える影響が注目されます。しかし、競争相手となるブラジルやアルゼンチンとの生産量や品質競争は依然として激しく、これらへの備えも欠かせません。
結論として、ウルグアイのレモン・ライム生産は過去のデータを踏まえると着実な成長を遂げていますが、気候変動や市場需要の変化などの課題が浮き彫りとなっています。これらに対処するためには、持続可能な農業技術の開発、輸出戦略の強化、そして気候変動への適応策が主な取り組み内容となるでしょう。国際機関や地域協力の枠組みを活用しながら、生産の安定化と持続可能性の確保に向けた具体的な行動が求められます。