国際連合食糧農業機関(FAO)による2024年最新データによると、ウルグアイの鶏卵生産量は過去数十年で大きな変動を見せながらも、近年は安定した増加傾向が見られます。1960年代の年間生産量が1万トン台だったのに対し、2023年には56,394トンに達しています。特に2000年代後半以降は生産量が急増し、ピーク時に6万トン近く到達した記録があります。この流れの背景には、人口増加の需要、農業技術の進歩、また国内経済の成長が挙げられます。
ウルグアイの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 56,394 |
-2.82% ↓
|
2022年 | 58,032 |
3.33% ↑
|
2021年 | 56,160 |
-3.23% ↓
|
2020年 | 58,032 |
3.33% ↑
|
2019年 | 56,160 |
14.83% ↑
|
2018年 | 48,906 |
-0.48% ↓
|
2017年 | 49,140 |
5% ↑
|
2016年 | 46,800 |
5.26% ↑
|
2015年 | 44,460 |
-7.28% ↓
|
2014年 | 47,952 |
-14.21% ↓
|
2013年 | 55,896 |
11.3% ↑
|
2012年 | 50,219 |
-8.02% ↓
|
2011年 | 54,600 |
4.02% ↑
|
2010年 | 52,488 |
-0.01% ↓
|
2009年 | 52,495 |
-10% ↓
|
2008年 | 58,327 |
22.61% ↑
|
2007年 | 47,572 |
12.48% ↑
|
2006年 | 42,295 |
1.77% ↑
|
2005年 | 41,558 |
14.65% ↑
|
2004年 | 36,248 |
4.95% ↑
|
2003年 | 34,537 |
-10.68% ↓
|
2002年 | 38,667 |
22.36% ↑
|
2001年 | 31,600 |
-14.59% ↓
|
2000年 | 37,000 | - |
1999年 | 37,000 |
13.85% ↑
|
1998年 | 32,500 |
1.91% ↑
|
1997年 | 31,890 |
0.13% ↑
|
1996年 | 31,850 |
0.33% ↑
|
1995年 | 31,744 |
2.4% ↑
|
1994年 | 31,000 |
17.87% ↑
|
1993年 | 26,300 |
1.94% ↑
|
1992年 | 25,800 | - |
1991年 | 25,800 |
0.78% ↑
|
1990年 | 25,600 |
0.79% ↑
|
1989年 | 25,400 |
1.2% ↑
|
1988年 | 25,100 |
1.41% ↑
|
1987年 | 24,750 |
17.86% ↑
|
1986年 | 21,000 |
-0.22% ↓
|
1985年 | 21,047 |
14.95% ↑
|
1984年 | 18,310 |
-15.89% ↓
|
1983年 | 21,770 |
-7.84% ↓
|
1982年 | 23,622 |
29.26% ↑
|
1981年 | 18,275 |
1.9% ↑
|
1980年 | 17,935 |
23.69% ↑
|
1979年 | 14,500 |
-2.16% ↓
|
1978年 | 14,820 |
10.12% ↑
|
1977年 | 13,458 |
1.28% ↑
|
1976年 | 13,288 |
5.88% ↑
|
1975年 | 12,550 |
-6.13% ↓
|
1974年 | 13,370 |
-17.98% ↓
|
1973年 | 16,300 |
-13.3% ↓
|
1972年 | 18,800 |
6.64% ↑
|
1971年 | 17,630 |
13.74% ↑
|
1970年 | 15,500 | - |
1969年 | 15,500 |
9.93% ↑
|
1968年 | 14,100 |
-14.29% ↓
|
1967年 | 16,450 |
-7.58% ↓
|
1966年 | 17,800 |
2.3% ↑
|
1965年 | 17,400 |
2.96% ↑
|
1964年 | 16,900 |
-7.14% ↓
|
1963年 | 18,200 |
-5.99% ↓
|
1962年 | 19,360 |
15.06% ↑
|
1961年 | 16,826 | - |
ウルグアイの鶏卵生産量の推移データは、国内農畜産業の変遷や経済活動の影響を明確に示しています。1960年代には年間約1から2万トンの低水準で推移しており、1970年代にかけても増減を繰り返す不安定な状態が続きました。この時代は、世界的にも経済不安が影響し、多くの国で畜産業への投資が停滞していました。
1980年代以降、ウルグアイの鶏卵生産は緩やかな増加傾向を見せはじめます。特筆すべきは1980年以降で、18,275トンから1988年には25,100トン、1994年には31,000トンと10年間で大きく成長しています。この成長は、国内消費需要の増加と、輸出市場の拡大が主な要因と考えられます。また、国際的な飼料市場価格の安定や、農業技術の改良が生産効率を後押ししたことも背景にあります。
2000年代に入ると、ウルグアイは一気に生産量を伸ばし、2008年には58,327トンと過去最大を記録しました。この急増は、インフラ整備や大規模農場の展開、鶏舎の自動化など、設備投資による生産力向上の成果と考えられます。一方で、2010年代以降にはやや減少傾向を示し、特に2015年には44,460トンまで下落しています。この時期の減少は気候変動の影響や市場の変動、さらには飼料価格の高騰によるコスト増加が影響した可能性があります。
直近では、2020年に58,032トンに再び増加し、2023年には56,394トンと安定した生産量を維持しています。この安定は、ウルグアイ政府による畜産業への支援政策や、国内消費の堅調な需要が背景にあると考えられます。しかし、2022年および2023年のデータを比較すると横ばいの傾向が見られ、さらなる伸びを期待するためには新しい施策が求められる段階です。
将来的な課題としては、まず気候変動による農業環境への影響が挙げられます。鶏卵生産は飼料の品質や量に大きく依存しており、気象条件が悪化すれば飼育コストが上昇するリスクがあります。また、国際市場での競争力を保つためには、品質向上とコスト削減の両立が必要となります。特に、隣国であるブラジルやアルゼンチンの畜産業は大規模化が進んでおり、これらの競合国に対抗する戦略が重要になります。さらに、動物福祉の観点から、エシカルな生産方式への移行も国際的な販売網を開拓するためには考慮すべきポイントです。
具体的な対策として、まず生産技術のさらなる革新が必要です。例えば、家畜管理のICT化やデータ分析を導入することで、効率的な生産環境を構築するプロセスが挙げられます。また、地元の農家や企業間で協力し、国内外市場への輸出ネットワークを構築することも、競争力を強化する上で効果的です。さらには、政府の役割として、自然災害や疫病時に対応できる支援体制の整備や、新型鶏インフルエンザ流行リスクに対応する防疫措置も不可欠となるでしょう。
結論として、ウルグアイの鶏卵生産は長期的な成長基調を示し、2024年においても安定した生産量を維持しています。しかし、外的環境の変化や市場競争力の観点からは、技術革新や持続可能な農業体制の確立が重要です。FAOが報告するデータが示すこの成長の軌跡を活用し、ウルグアイ政府と生産者が協力して新たな発展につなげることが求められます。