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ウルグアイの豚飼育数推移(1961年~2023年)

2024年7月に更新された国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ウルグアイの豚飼育数は、1961年以降大きな変動を見せています。最も高かったのは1974年の435,000頭で、以降は総じて減少傾向が続いています。2022年には161,000頭と低い水準となり、特に2020年代初頭の急激な減少が目立ちます。このデータは、畜産業の動向やウルグアイの農業政策、また経済・環境問題を理解するうえで重要な指標です。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 153,000
-4.97% ↓
2022年 161,000
25.01% ↑
2021年 128,793
-20.5% ↓
2020年 162,000
-1.82% ↓
2019年 165,000
-3.51% ↓
2018年 171,000
-2.29% ↓
2017年 175,000
-6.42% ↓
2016年 187,000
-13.43% ↓
2015年 216,000
3.85% ↑
2014年 208,000
-0.95% ↓
2013年 210,000
1.45% ↑
2012年 207,000
-5.91% ↓
2011年 220,000
4.76% ↑
2010年 210,000
5% ↑
2009年 200,000
-14.89% ↓
2008年 235,000
-4.08% ↓
2007年 245,000
2.08% ↑
2006年 240,000
-5.88% ↓
2005年 255,000
8.51% ↑
2004年 235,000
-2.08% ↓
2003年 240,000
-11.11% ↓
2002年 270,000
-4.26% ↓
2001年 282,000
-4.08% ↓
2000年 294,000
-18.33% ↓
1999年 360,000
9.09% ↑
1998年 330,000
22.22% ↑
1997年 270,000 -
1996年 270,000 -
1995年 270,000
-3.57% ↓
1994年 280,000
7.69% ↑
1993年 260,000
8.33% ↑
1992年 240,000
9.09% ↑
1991年 220,000
2.33% ↑
1990年 215,000 -
1989年 215,000 -
1988年 215,000
-2.27% ↓
1987年 220,000
12.82% ↑
1986年 195,000
-2.5% ↓
1985年 200,000
-14.89% ↓
1984年 235,000
-12.96% ↓
1983年 270,000
-3.57% ↓
1982年 280,000
-5.08% ↓
1981年 295,000
2.1% ↑
1980年 288,944
-15.02% ↓
1979年 340,000
-10.53% ↓
1978年 380,000
-6.17% ↓
1977年 405,000
-1.22% ↓
1976年 410,000
-3.3% ↓
1975年 424,000
-2.53% ↓
1974年 435,000
16% ↑
1973年 375,000
5.63% ↑
1972年 355,000
-13.41% ↓
1971年 410,000
-2.08% ↓
1970年 418,709
2.37% ↑
1969年 409,000
5.14% ↑
1968年 389,000
-2.26% ↓
1967年 398,000
3.92% ↑
1966年 382,987
5.22% ↑
1965年 364,000
-10.78% ↓
1964年 408,000
-1.21% ↓
1963年 413,000
1.72% ↑
1962年 406,000
5.91% ↑
1961年 383,357 -

ウルグアイにおける豚飼育数の推移を見ると、1960年代から1970年代中頃にかけて比較的安定し、1974年には435,000頭と過去最高を記録しました。しかし、1980年代以降は急激な縮小が見られ、1980年には288,944頭、1985年には200,000頭と、わずか数年の間に約半減する大きな変化が起こっています。この減少は、国の農業政策の転換や経済環境の悪化、さらに輸出競争力の低下によるものと推測されます。

1990年代には多少の回復が見られ、1998年には330,000頭まで増加しましたが、その後2000年代に入ると再び減少基調に転じました。特にリーマンショック以降の2008年以降は200,000頭前後での推移が続き、2020年代に入ると再び急激な減少を記録。2021年には128,793頭まで落ち込みますが、2022年には161,000頭にやや持ち直しました。このように飼育数の減少とその後の停滞は、ウルグアイの豚肉市場や家畜飼育の構造的な問題を反映しています。

この減少の背景としては、いくつかの要因が挙げられます。経済的な要因としては、ウルグアイ国内の食肉消費の多様化により豚への需要が減少しているほか、農産物輸出の変化や豚肉販売価格の低迷が影響しています。また、地政学的背景として、隣国ブラジルやアルゼンチンからの輸入豚肉との競争が強まり、国内市場でのシェアを奪われる状況も進んでいると考えられます。

さらに、2020年以降の新型コロナウイルスの世界的流行も豚飼育数に大きく影響を与えたとされています。パンデミック中の国際的な食肉市場の混乱、輸出入の制限、供給網の断絶が、飼育や市場への供給に負の影響を及ぼしました。それに加えて、近年の気候変動の影響による餌料作物の価格高騰や自然災害も、畜産業の持続可能性を脅かしている重要な課題です。

このような課題に対処するためには、いくつかの具体的な施策が提案できます。まず、地域間協力の強化が挙げられます。南米貿易諸国(MERCOSUR)の枠組みを活用し、ブラジルやアルゼンチンとの市場調整を行いながら、国内生産を保護する仕組みの構築が必要です。また、豚肉の付加価値を高めるために、生産性向上や品質基準の国際化を進めることも重要です。さらに、環境に配慮した飼育技術の開発や、小規模農家への資金援助プログラムを導入することで、業界全体を活性化する取り組みが求められています。

結論として、ウルグアイの豚飼育数の変動は、国内外の経済情勢や農業政策、環境問題の影響を色濃く反映しています。このデータは、家畜飼育の将来的な方向性を再検討し、安定した持続可能な畜産業の形成を進めるための貴重な指標です。国および国際機関は、地域間の協力体制を強化し、技術革新と市場ニーズの調整を通じて、ウルグアイの畜産業が再び成長軌道に乗るための具体的な支援を提供することが求められます。