Skip to main content

ウルグアイのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新のデータによれば、ウルグアイのオリーブ生産量は近年大きな変動を見せています。1961年には1,692トンの生産量で始まり、その後緩やかに増加を続けていましたが、1990年代以降は不安定な年が目立つようになりました。特に2015年の14,000トン、2019年の20,000トンというピーク年を迎えた一方で、2020年には1,931トンに急減するなど、大規模な上下動が生じています。この変動は気候変動や農業政策、国内外の需要など多くの要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 14,000 -
2022年 14,000
-16.24% ↓
2021年 16,714
765.56% ↑
2020年 1,931
-90.35% ↓
2019年 20,000
700% ↑
2018年 2,500
-63.77% ↓
2017年 6,900
35.29% ↑
2016年 5,100
-63.57% ↓
2015年 14,000
218.18% ↑
2014年 4,400
-29.03% ↓
2013年 6,200
-1.59% ↓
2012年 6,300
16.44% ↑
2011年 5,411
11.27% ↑
2010年 4,863
13.09% ↑
2009年 4,300
13.16% ↑
2008年 3,800
11.76% ↑
2007年 3,400
-19.05% ↓
2006年 4,200
10.53% ↑
2005年 3,800
16.92% ↑
2004年 3,250
-1.52% ↓
2003年 3,300
1.54% ↑
2002年 3,250
1.56% ↑
2001年 3,200 -
2000年 3,200
1.59% ↑
1999年 3,150
-21.25% ↓
1998年 4,000
25% ↑
1997年 3,200
14.29% ↑
1996年 2,800
-6.67% ↓
1995年 3,000
15.38% ↑
1994年 2,600
8.33% ↑
1993年 2,400
-11.11% ↓
1992年 2,700
3.85% ↑
1991年 2,600
18.18% ↑
1990年 2,200
-26.67% ↓
1989年 3,000 -
1988年 3,000 -
1987年 3,000 -
1986年 3,000 -
1985年 3,000 -
1984年 3,000 -
1983年 3,000 -
1982年 3,000
3.45% ↑
1981年 2,900
3.57% ↑
1980年 2,800
3.7% ↑
1979年 2,700
3.85% ↑
1978年 2,600
4% ↑
1977年 2,500 -
1976年 2,500
8.7% ↑
1975年 2,300
2.22% ↑
1974年 2,250
2.27% ↑
1973年 2,200
2.33% ↑
1972年 2,150
2.38% ↑
1971年 2,100
5% ↑
1970年 2,000
11.11% ↑
1969年 1,800
9.09% ↑
1968年 1,650
10% ↑
1967年 1,500
18.58% ↑
1966年 1,265
26.5% ↑
1965年 1,000 -
1964年 1,000 -
1963年 1,000 -
1962年 1,000
-40.9% ↓
1961年 1,692 -

ウルグアイのオリーブ生産量は、1961年の約1,692トンから約60年以上にわたり一定の成長を見せてきました。1980年代には3,000トン台に達し、安定期が訪れたように見えましたが、1990年代以降、年間の生産量が2,200~4,300トンの範囲で大きく変動する時期が続きました。そして2010年以降、特に2015年や2019年などで記録的な高値を記録する一方、2020年などで生産量が急激に減少する不安定なトレンドが際立っています。

このデータの背景には、さまざまな要因が絡んでいます。まず、オリーブ生産は気候条件に大きく依存する作物であり、干ばつや洪水といった自然災害、気温変動などが生産量に直接的な影響を与えています。ウルグアイを含むラテンアメリカ地域では、近年、気候変動の影響がますます顕著となっており、これが生産量の変動に関与していると考えられます。

さらに、農業政策の変化も重要です。2015年の14,000トン、2019年の20,000トンという生産ピークは、ウルグアイ国内での栽培技術の改善や、オリーブオイル需要の高まりを背景にした生産拡大が寄与しています。一方で、2020年の1,931トンへの急減は、可能性として気候要因に加えて国際市場の需要時期との不一致や、パンデミックによる労働力不足が影響したと推測されます。

地政学的な観点では、ウルグアイは輸出市場への依存度が高く、特にヨーロッパ諸国やアジア圏との関係性が重視されます。他国、特にスペインやイタリアといったオリーブ生産大国との競争において、価格や品質をどのように高めていくかがカギとなります。一時的な高収量年だけに頼るのではなく、安定的かつ持続可能な生産体制を構築するためには、灌漑設備の拡充や気候適応種の選定などの取り組みが求められるでしょう。

今後の課題として、これまで述べた気候変動対策や生産効率化に加え、労働力不足への対応も挙げられます。パンデミック以降、農業分野では労働者確保が課題となっており、外国人労働者の受け入れや、農業ロボット技術の導入による労働力の補完が現実的な課題となっています。また、国内外の市場多角化の戦略も必要です。たとえば、アジア市場においてオリーブオイル人気が高まっている傾向は追い風となる可能性があります。

結論として、ウルグアイのオリーブ生産は需要の高まりを背景に成長の可能性を秘めつつも、気候変動や労働力不足といった問題に直面しています。国際連合や地域的な協力を通じた資金支援や技術共有の枠組みを拡充し、生産の安定化を目指すべきです。また、自然災害の影響を軽減する早期警戒システムの導入も有効な対策となるでしょう。この取り組みによって、ウルグアイのオリーブ産業は長期的な地域発展の柱の一つとしてさらなる成長が期待されます。