国連の食糧農業機関(FAO)によると、ウルグアイの大麦生産量は1961年の27,870トンから2023年には897,200トンと、長期にわたって大きく増加してきました。特に2000年代以降、急激な増加が見られ、2017年以降は30万~90万トン台の安定した高水準に達しています。一方で、生産量には顕著な年ごとの変動があり、1980年代や1990年代のピークとそれに続く落ち込みなど、農業収量の安定性に課題が見られます。
ウルグアイの大麦生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 897,200 | - |
2022年 | 897,200 |
0.95% ↑
|
2021年 | 888,800 |
46.5% ↑
|
2020年 | 606,700 |
-4.88% ↓
|
2019年 | 637,800 |
65.66% ↑
|
2018年 | 385,000 |
-43.22% ↓
|
2017年 | 678,000 |
91.09% ↑
|
2016年 | 354,800 |
45.89% ↑
|
2015年 | 243,200 |
-3.65% ↓
|
2014年 | 252,400 |
26.01% ↑
|
2013年 | 200,300 |
-8.95% ↓
|
2012年 | 220,000 |
-32.7% ↓
|
2011年 | 326,900 |
75.38% ↑
|
2010年 | 186,400 |
-59.83% ↓
|
2009年 | 464,071 |
13.33% ↑
|
2008年 | 409,500 |
32.01% ↑
|
2007年 | 310,200 |
-28.21% ↓
|
2006年 | 432,100 |
78.33% ↑
|
2005年 | 242,300 |
-40.39% ↓
|
2004年 | 406,500 |
25.58% ↑
|
2003年 | 323,700 |
48.92% ↑
|
2002年 | 217,360 |
84.67% ↑
|
2001年 | 117,700 |
-44.97% ↓
|
2000年 | 213,900 |
92.7% ↑
|
1999年 | 111,000 |
-43.37% ↓
|
1998年 | 196,000 |
-1.31% ↓
|
1997年 | 198,600 |
-41.69% ↓
|
1996年 | 340,600 |
3.53% ↑
|
1995年 | 329,000 |
85.35% ↑
|
1994年 | 177,500 |
37.17% ↑
|
1993年 | 129,400 |
-57.96% ↓
|
1992年 | 307,800 |
121.6% ↑
|
1991年 | 138,900 |
4.04% ↑
|
1990年 | 133,500 |
-34.1% ↓
|
1989年 | 202,589 |
-0.61% ↓
|
1988年 | 203,826 |
64.64% ↑
|
1987年 | 123,800 |
98.4% ↑
|
1986年 | 62,400 |
-21.74% ↓
|
1985年 | 79,736 |
-29.61% ↓
|
1984年 | 113,270 |
40.12% ↑
|
1983年 | 80,836 |
79.54% ↑
|
1982年 | 45,025 |
-47.2% ↓
|
1981年 | 85,277 |
53.79% ↑
|
1980年 | 55,451 |
-22.1% ↓
|
1979年 | 71,180 |
23.83% ↑
|
1978年 | 57,483 |
51.37% ↑
|
1977年 | 37,974 |
-19.26% ↓
|
1976年 | 47,035 |
40.29% ↑
|
1975年 | 33,526 |
19.88% ↑
|
1974年 | 27,966 |
-11% ↓
|
1973年 | 31,422 |
8.1% ↑
|
1972年 | 29,068 |
-8.39% ↓
|
1971年 | 31,729 |
-30.24% ↓
|
1970年 | 45,481 |
25.86% ↑
|
1969年 | 36,136 |
-24.81% ↓
|
1968年 | 48,058 |
255.46% ↑
|
1967年 | 13,520 |
-51.22% ↓
|
1966年 | 27,718 |
41.38% ↑
|
1965年 | 19,606 |
-50.98% ↓
|
1964年 | 39,992 |
118.58% ↑
|
1963年 | 18,296 |
-47.8% ↓
|
1962年 | 35,053 |
25.77% ↑
|
1961年 | 27,870 | - |
ウルグアイの大麦生産量は、1960年代から現在に至るまで長期的には右肩上がりの成長を遂げています。特に1980年代後半から2000年代初頭にかけての数十年は、飛躍的な増加が顕著でした。これは農業技術の進化、生産効率の向上、そして海外輸出需要の増加による影響が大きいと考えられます。ウルグアイは地理的にも温帯気候に位置しており、農業に適した土壌条件があるため、大麦の栽培が広がりやすい環境といえるでしょう。
しかし、特定の年においては生産量が大きく減少することが見られる点が特徴的です。例えば、1963年、1967年、1999年、2010年などには大幅な生産量の減少が見られました。これらの年次変動の背後には、異常気象や病害虫被害、または市場需要の変化が関与している可能性があります。特に、気候変動による降雨量や気温変化の影響は、農作物収穫に大きな影響を与えるため、今後の対策が必要です。
2023年現在の大麦生産量は897,200トンと、過去20年の中でも歴史的な高水準にあります。これは国際市場におけるウルグアイ産大麦の競争力の高さや品質の評価の向上、さらには政府の適切な農業政策や技術支援が寄与していると考えられます。しかしながら、これほどの生産量が続く中で、急激な拡大に伴う農地の疲弊や、水や肥料の使用の増加による環境負荷が懸念されます。
国際的な視点では、ウルグアイの大麦生産量は主要輸出国の一つであるアメリカや欧州諸国と比較するとまだ低いものの、その成長率の速さは注目に値します。例えば、アメリカでは年間約4,500万トン以上の大麦を生産しており、その規模には及びませんが、ウルグアイは地理的・資源的制約がある中で効率的な農業生産を実現しています。他方、アジア諸国である中国やインドでは大量消費が見込まれており、それらの需要に対する輸出機会を確保することがウルグアイの農業セクターにとって重要です。
将来的に課題となるのは、気候変動や地政学的リスクがこの生産動態にどのような影響を与えるかという点です。干ばつ、洪水、気温の昇降といった気候的な要因が頻発する中で、持続可能な農業の実現が求められます。また、新型コロナウイルス感染症以降の国際貿易の変動や物流の課題も、輸出国としてのウルグアイに影響を与える可能性があります。
対策としては、気候変動への適応策として灌漑設備や耐乾性のある品種の開発を進めることが挙げられます。また、国内外での市場開拓や大麦を原料とした新しい製品の研究開発も重要です。技術革新を支えるための支援策や農業従事者の教育の推進も必要でしょう。さらに、地域間協力として南米地域での農業ネットワークの強化や、安定的な貿易枠組みづくりも欠かせません。
総じて、ウルグアイの大麦生産量は著しい成長を遂げ、国際市場でもその存在感を高めています。一方で、持続可能性を考慮した政策と農業技術の進化が今後の主要な課題であり、国際機関や民間セクターとの連携が一層重要になるでしょう。