国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ベトナムのキャベツ生産量は1961年から着実な増加を続け、特に1990年代以降に急成長を示しています。1961年には30,000トンであった生産量が2022年には1,174,615トンに達しており、約39倍の増加を記録しました。キャベツの生産は一時的な減少を見せる年もありましたが、長期的な視点で見ると右肩上がりの成長トレンドが続いています。
ベトナムのキャベツ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 1,174,615 |
2021年 | 1,157,989 |
2020年 | 1,027,592 |
2019年 | 1,043,299 |
2018年 | 872,767 |
2017年 | 976,210 |
2016年 | 898,283 |
2015年 | 868,387 |
2014年 | 906,705 |
2013年 | 862,598 |
2012年 | 853,452 |
2011年 | 797,840 |
2010年 | 807,991 |
2009年 | 800,000 |
2008年 | 775,124 |
2007年 | 745,718 |
2006年 | 717,585 |
2005年 | 700,000 |
2004年 | 650,000 |
2003年 | 606,226 |
2002年 | 499,185 |
2001年 | 453,891 |
2000年 | 400,000 |
1999年 | 370,000 |
1998年 | 340,000 |
1997年 | 320,000 |
1996年 | 275,000 |
1995年 | 235,000 |
1994年 | 190,000 |
1993年 | 160,000 |
1992年 | 140,000 |
1991年 | 100,000 |
1990年 | 95,000 |
1989年 | 93,000 |
1988年 | 90,000 |
1987年 | 86,000 |
1986年 | 90,000 |
1985年 | 80,000 |
1984年 | 75,000 |
1983年 | 71,000 |
1982年 | 69,000 |
1981年 | 67,000 |
1980年 | 65,000 |
1979年 | 63,000 |
1978年 | 60,000 |
1977年 | 57,000 |
1976年 | 55,000 |
1975年 | 53,000 |
1974年 | 52,000 |
1973年 | 51,000 |
1972年 | 50,000 |
1971年 | 49,000 |
1970年 | 48,000 |
1969年 | 47,000 |
1968年 | 45,000 |
1967年 | 43,000 |
1966年 | 42,000 |
1965年 | 40,000 |
1964年 | 35,000 |
1963年 | 32,000 |
1962年 | 32,000 |
1961年 | 30,000 |
ベトナムのキャベツ生産の推移を振り返ると、まず1961年から1980年代前半にかけてはゆっくりとした増加が見られます。年間の生産量は数千トンから数万トン単位で増加しており、1975年で53,000トン、1980年には65,000トンとほぼ一貫して成長が見受けられます。この時期、ベトナムは戦争の影響から復興を進める中で、農業生産基盤の立て直しを行っていた時期でした。そのため、農作物の生産量の増加は徐々にしか進まなかったものと考えられます。
一方で、1990年代に入ると、キャベツの生産量は目覚ましい増加を記録しています。例えば、1991年には100,000トンだった生産量が1995年には235,000トン、2000年には400,000トンと急速に拡大しています。この劇的な増加には、ベトナム政府が1986年から開始した「ドイモイ政策」が大きく関与しています。ドイモイ政策は、計画経済から市場経済への移行を目指した政策であり、農業部門にも積極的な投資や技術導入が行われたことが、キャベツのような野菜の生産拡大を後押ししました。
2000年代からは、生産量の伸びがさらに顕著になります。2003年には606,226トンと突破的な成長を記録し、2022年には1,174,615トンに達しました。この大幅な成長には、農業技術の向上、肥沃な土壌を用いた効率的な栽培、さらには国内外におけるキャベツの需要増加が背景にあります。特に、近年の国際市場での野菜需要の高まりが生産拡大の追い風となっています。
しかし、時折生産量が減少した年も見られます。例えば、2011年と2018年の生産量はそれぞれ797,840トン、872,767トンと減少しました。これには、天候不順や自然災害による被害が大きく関与していると考えられます。ベトナムの農業は依然として気候変動の影響を強く受けやすいため、この問題への対策が重要になります。
また、地域間での生産拡大には課題もあります。都市化の進展により耕地面積が減少傾向にある一方、輸出市場向けの集約的な農業が増加しています。そのため、農業の近代化に加え、輸出先の多様化や国内消費市場の拡大も課題として浮上しています。
今後の対策として、持続可能な農業技術の普及や災害に強いインフラ整備が求められます。特に、灌漑設備の強化や気候変動によるリスク管理を進化させることで、安定的な農業生産基盤を築くことが重要です。また、農家への教育を強化し、輸出市場の競争力を高めるために有機農業や高度な品質管理手法の導入を進める必要があります。さらには、地域間の農業協力の枠組みを構築し、効率的な資源分配や収益向上を目指すことも有効です。
以上により、ベトナムのキャベツ生産は将来的にも競争力を維持しつつ、さらなる規模の拡大が期待できるでしょう。ただし、その鍵を握るのは持続可能性と公共政策のバランスです。気候や市場変動への耐性を高め、効率性と環境保護を両立させた農業の推進が必要不可欠です。