国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ベトナムのスイカ生産量は、1961年の28,000トンから2023年には1,278,571トンに増加しました。特に2000年代以降、急激な増加が見られ、2012年に1,000,000トンを超えました。ただし、2014年以降、一部の年では生産量が減少していることも確認されています。この生産動向は、国内農業の発展と国際市場への供給の変化を反映しており、近年の地政学的リスクや気候条件も影響している可能性があります。
ベトナムのスイカ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,278,571 |
6.51% ↑
|
2022年 | 1,200,409 |
-0.97% ↓
|
2021年 | 1,212,139 |
-16.75% ↓
|
2020年 | 1,456,088 |
6.75% ↑
|
2019年 | 1,363,972 |
13.65% ↑
|
2018年 | 1,200,104 |
7.04% ↑
|
2017年 | 1,121,163 |
1.68% ↑
|
2016年 | 1,102,657 |
1.68% ↑
|
2015年 | 1,084,462 |
-1.05% ↓
|
2014年 | 1,096,002 |
-5.72% ↓
|
2013年 | 1,162,554 |
4.2% ↑
|
2012年 | 1,115,649 |
64.37% ↑
|
2011年 | 678,732 |
28.85% ↑
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2010年 | 526,768 |
19.72% ↑
|
2009年 | 440,000 |
1.15% ↑
|
2008年 | 435,000 |
1.16% ↑
|
2007年 | 430,000 |
1.18% ↑
|
2006年 | 425,000 |
1.19% ↑
|
2005年 | 420,000 |
2.44% ↑
|
2004年 | 410,000 |
2.2% ↑
|
2003年 | 401,175 |
7.76% ↑
|
2002年 | 372,298 |
52.14% ↑
|
2001年 | 244,714 |
22.36% ↑
|
2000年 | 200,000 | - |
1999年 | 200,000 | - |
1998年 | 200,000 | - |
1997年 | 200,000 | - |
1996年 | 200,000 |
11.11% ↑
|
1995年 | 180,000 |
4.05% ↑
|
1994年 | 173,000 |
3.28% ↑
|
1993年 | 167,500 |
3.4% ↑
|
1992年 | 162,000 |
1.25% ↑
|
1991年 | 160,000 |
3.23% ↑
|
1990年 | 155,000 |
3.33% ↑
|
1989年 | 150,000 |
3.45% ↑
|
1988年 | 145,000 |
2.11% ↑
|
1987年 | 142,000 |
5.19% ↑
|
1986年 | 135,000 |
8% ↑
|
1985年 | 125,000 |
8.7% ↑
|
1984年 | 115,000 |
4.55% ↑
|
1983年 | 110,000 |
10% ↑
|
1982年 | 100,000 |
3.09% ↑
|
1981年 | 97,000 |
2.11% ↑
|
1980年 | 95,000 |
5.56% ↑
|
1979年 | 90,000 |
5.88% ↑
|
1978年 | 85,000 |
3.66% ↑
|
1977年 | 82,000 |
6.22% ↑
|
1976年 | 77,200 |
6.04% ↑
|
1975年 | 72,800 |
6.43% ↑
|
1974年 | 68,400 |
6.88% ↑
|
1973年 | 64,000 |
5.79% ↑
|
1972年 | 60,500 |
-2.42% ↓
|
1971年 | 62,000 |
-1.59% ↓
|
1970年 | 63,000 |
1.61% ↑
|
1969年 | 62,000 |
-6.06% ↓
|
1968年 | 66,000 |
10% ↑
|
1967年 | 60,000 |
9.09% ↑
|
1966年 | 55,000 |
10% ↑
|
1965年 | 50,000 |
11.11% ↑
|
1964年 | 45,000 |
12.5% ↑
|
1963年 | 40,000 |
14.29% ↑
|
1962年 | 35,000 |
25% ↑
|
1961年 | 28,000 | - |
ベトナムはスイカの生産で、近年著しい成長を遂げた国のひとつです。生産量は数十年間にわたり着実に増加しており、特に2000年代に入ってからは急激な拡大が見られます。この背景には、農業技術の進歩や農地の拡張、そして輸出市場の需要増加があると考えられます。例えば、2001年から2004年のわずか4年間で、ベトナムのスイカ生産量は約2倍以上に増加し、国内外の需要を担う大きな生産基盤が構築されました。その後、2012年に1,000,000トンを突破し、以降も1,000,000トンを維持しています。
とりわけ注目すべきは、2000年代前半から中頃に見られた生産量の大幅な伸びです。この急伸は、国内農業政策の転換と市場開放が影響を及ぼしたとされています。農作物の輸出支援政策やインフラ整備、農家への技術支援が進んだ結果、農業生産性が大きく向上しました。また、中国や周辺国への輸出増加も求められる中、ベトナムのスイカはその品質と価格競争力により、輸出市場での地位を確立しました。
一方で、2014年以降には不安定な動向も見られます。生産量が一時的に減少した年もあり、これは気候変動の影響や農業資源の制約、さらには新型コロナウイルス感染症による経済活動停滞などが複合的な要因として挙げられます。特に気候変動による干ばつや洪水、さらには台風の頻発が農業生産に与えた影響は重大です。こうした地政学的背景のもと、農業の安定性と持続可能性が重要な課題となっています。
また、2021年から2022年にかけて生産量が一時的に減少した理由として、新型コロナのパンデミックがもたらした移動制限やサプライチェーンの混乱が考えられます。しかし、2023年には再び1,278,571トンにまで回復しており、適切な農業政策や支援策がその背後にあったことが示唆されます。
今後の課題としては、気候変動や農地利用の持続可能性に加え、輸出先市場の多角化が挙げられます。現在、中国市場への依存度が高いことでリスクが指摘されており、市場の分散が急務となっています。同時に、品質管理や高度な輸送インフラ整備により、競争力をさらに向上させることが重要です。これに関連して、デジタル技術を活用した天候予測システムの導入や、農業従事者への教育プログラムの提供が生産安定化の鍵になると考えられます。
最終的に、ベトナムがこれらの課題に取り組み、新たな政策を適切に遂行することで、より持続可能で競争力のあるスイカ生産国としての地位を確立できるでしょう。国際社会や国際機関との協力も不可欠であり、この取組みが東南アジア地域全体の農業発展にも寄与する可能性を秘めています。