Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が提供した2020年度のさくらんぼ生産量データによると、1位はトルコ(724,944トン)、2位はアメリカ(合衆国)(294,930トン)、3位はチリ(276,000トン)でした。日本は21位で、17,200トンの生産量を記録しました。世界的には、南欧や中東の温暖な地域、アメリカ大陸が主要生産地となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 724,944 |
| 2 |
|
北アメリカ | 294,930 |
| 3 |
|
南アメリカ | 276,000 |
| 4 |
|
アジア | 185,068 |
| 5 |
|
アジア | 147,909 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 104,380 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 93,740 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 82,130 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 63,550 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 52,330 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 51,300 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 51,000 |
| 13 |
|
アジア | 42,206 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 37,640 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 36,800 |
| 16 |
|
アジア | 35,891 |
| 17 |
|
アジア | 32,533 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 31,840 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 20,471 |
| 20 |
|
北アメリカ | 19,355 |
| 21 |
|
アジア | 17,200 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 14,961 |
| 23 |
|
オセアニア | 14,475 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 11,406 |
| 25 |
|
アジア | 11,232 |
| 26 |
|
アフリカ | 11,207 |
| 27 |
|
アジア | 10,927 |
| 28 |
|
アジア | 10,918 |
| 29 |
|
アフリカ | 10,767 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 10,362 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 9,240 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 8,780 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 8,610 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 8,200 |
| 35 |
|
南アメリカ | 7,318 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 6,610 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 6,258 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 5,647 |
| 39 |
|
アジア | 5,400 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 5,374 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 5,350 |
| 42 |
|
アジア | 4,647 |
| 43 |
|
アフリカ | 4,507 |
| 44 |
|
アジア | 3,702 |
| 45 |
|
オセアニア | 3,206 |
| 46 |
|
アジア | 2,442 |
| 47 |
|
南アメリカ | 2,175 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 2,080 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 1,970 |
| 50 |
|
南アメリカ | 1,347 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 1,090 |
| 52 |
|
アジア | 1,086 |
| 53 |
|
南アメリカ | 896 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 880 |
| 55 |
|
アフリカ | 836 |
| 56 |
|
アジア | 770 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 730 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 643 |
| 59 |
|
アジア | 497 |
| 60 |
|
アジア | 375 |
| 61 |
|
南アメリカ | 144 |
| 62 |
|
ヨーロッパ | 10 |
| 63 |
|
ヨーロッパ | 10 |
| 64 |
|
南アメリカ | 3 |
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2020年度のさくらんぼ生産量ランキングでは、世界のさくらんぼ市場を支える主要国が明確に示されています。トルコが他国を大きく引き離してトップに立っており、その生産量は約72万トンを超えました。トルコは気候条件がさくらんぼ栽培に適しており、生産効率と輸出力の両方で優位性を持っています。次いでアメリカ、特にワシントン州やオレゴン州が中心地として、約30万トンの生産量を記録しました。3位のチリは、南アメリカの中心的な果物生産国として、特に輸出指向の生産が特徴的です。
日本は21位であり、他のアジア主要国である中国(16位、35,891トン)やインド(28位、10,918トン)と比較しても生産量がやや少ない状況です。生産の規模が他国と比べて小さい理由として、地理的制約や国内市場向け生産が主体となっていることなどが挙げられます。他国の多くが大規模農業により生産効率を高めているのに対し、日本は高品質を重視した収穫方法が主流であり、国内での需要を満たすための生産が中心です。
国別生産量の比較を見てみると、1位のトルコの生産量は21位の日本の約42倍の規模を誇ります。一方で、品質の面では、日本のさくらんぼは「佐藤錦」などのブランドで知られるように、高い評価を受けています。しかしながら、国際市場における競争力は依然として低く、輸出は限られた量にとどまっています。これに対し、世界市場の競争は激化しており、特に有力な輸出国であるチリやアメリカは、新興市場でのシェアを確保するための積極的な戦略を取っています。
地域ごとの課題として、中東諸国やウズベキスタンなどは気候変動の影響にさらされやすく、干ばつや気温上昇が生産量に影響を及ぼすリスクがあります。また、ヨーロッパでは国々による農業政策の差異が顕著で、一部の国ではさくらんぼの栽培が難しくなる傾向が出始めています。一方で、中国や日本などのアジア圏では、都市化の進展や労働力の減少など、農業全般に共通する課題がさくらんぼ栽培にも影響を及ぼしています。
地政学的には、ウクライナ(9位、63,550トン)やロシア(12位、51,000トン)のさくらんぼ生産は、特に近年の地域紛争による影響を受けやすい状況です。長期的には、このような地域紛争が輸出入にも影響を与え、それが世界マーケットでの供給不足や価格変動を引き起こす可能性があります。一方で、パンデミックの時期であった2020年には、コロナ禍による物流の混乱や需要変動にも直面しており、これが特に中小規模の生産者にとって課題として浮上しました。
未来に向けた具体的な提言としては、まず日本においては、高品質なさくらんぼを国際市場で販売するための「ブランド化」戦略が必要です。これは輸出拡大のため輸送技術の改善や効果的なマーケティングなどを含みます。同時に、国内においては次世代の農業従事者を育成するための教育体制の強化が欠かせません。世界的には、気候変動の影響を軽減するための持続可能な農業技術の導入が求められます。また、地政学的なリスクの緩和のためには、国際的な協力体制を確立し、主要生産国間での貿易ルールの安定化を目指すべきです。
結論として、2020年のデータは、世界的なさくらんぼ産業の状況、国ごとの強みと弱み、そして直面している課題を明確に示しています。特に日本を含む各国が、それぞれの地域の特徴や強みを活かしつつ、直面する問題を乗り越えるための戦略を構築することが、今後の競争力向上と持続可能な農業の実現につながると考えられます。