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ジャマイカのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新した最新データによれば、ジャマイカのココナッツ生産量は1961年から2023年にかけて大きな変動を見せており、最盛期の2008年には329,730トンに達したものの、2023年には75,981トンと60年以上の観測期間で最も低い水準に落ち込みました。これらの変動は、自然災害や市場需要、農業政策の変化など、複数の要因が交錯した結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 75,981
-31.67% ↓
2022年 111,196
9.4% ↑
2021年 101,640
12.14% ↑
2020年 90,636
-12.17% ↓
2019年 103,200
-0.35% ↓
2018年 103,566
2.5% ↑
2017年 101,040
26.17% ↑
2016年 80,080
-2.74% ↓
2015年 82,336
3.09% ↑
2014年 79,868
4.27% ↑
2013年 76,600 -
2012年 76,600
0.26% ↑
2011年 76,400
0.26% ↑
2010年 76,200
-71.13% ↓
2009年 263,900
-19.96% ↓
2008年 329,730
6.02% ↑
2007年 311,000
0.16% ↑
2006年 310,500
16.91% ↑
2005年 265,600 -
2004年 265,600 -
2003年 265,600 -
2002年 265,600
47.56% ↑
2001年 180,000
5.88% ↑
2000年 170,000 -
1999年 170,000
1.77% ↑
1998年 167,040
-5.46% ↓
1997年 176,690
-3.27% ↓
1996年 182,672
11.39% ↑
1995年 163,999
-3.38% ↓
1994年 169,732
4.81% ↑
1993年 161,937
20.07% ↑
1992年 134,870
40.02% ↑
1991年 96,324
23.98% ↑
1990年 77,694
-10.41% ↓
1989年 86,724
-57.77% ↓
1988年 205,370
7.24% ↑
1987年 191,513
7.42% ↑
1986年 178,289
36.9% ↑
1985年 130,235
5.53% ↑
1984年 123,406
10.48% ↑
1983年 111,701
-3.61% ↓
1982年 115,885
-28% ↓
1981年 160,952
-16.39% ↓
1980年 192,498
17.79% ↑
1979年 163,431
14.66% ↑
1978年 142,539
2.51% ↑
1977年 139,048
36.7% ↑
1976年 101,721
-3.66% ↓
1975年 105,584
-12.77% ↓
1974年 121,036
4.09% ↑
1973年 116,278
-16.29% ↓
1972年 138,908
-18.6% ↓
1971年 170,658
20.22% ↑
1970年 141,954
3.44% ↑
1969年 137,234
-13.77% ↓
1968年 159,158
-3.9% ↓
1967年 165,613
4.82% ↑
1966年 158,002
-2.83% ↓
1965年 162,604
5.79% ↑
1964年 153,709
15.28% ↑
1963年 133,340
-9.6% ↓
1962年 147,500
-2.18% ↓
1961年 150,785 -

ジャマイカのココナッツ生産量は、1960年代から1970年代にかけて安定して約15万トン以上を維持していました。この間、生産量のゆるやかな成長が見られた年もありましたが、急激な減少を示す年も見られます。1980年代に一時的な増加を記録したものの、1989年には86,724トンと急激に減少しました。この年を境として、生産量は大幅な変動の時代に突入しました。特に2006年以降、ココナッツ生産は再び急成長し、2008年には記録的な329,730トンを達成しました。しかし、その後再び減少に転じ、2010年以降は10万トンを下回る年も続けて見られるようになりました。2023年には75,981トンと著しく落ち込み、過去最低記録を更新しました。

ジャマイカのココナッツ生産を考える上で、自然環境と地政学的な影響を無視することはできません。2023年の著しい低下の背景には、気候変動に伴う台風や干ばつの頻発が大きく影響していると考えられます。また、2010年代以降、ココナッツの重要な輸出相手国であるアメリカやイギリス市場が他の供給国に依存しはじめたことも需要減少の一因です。このような市場環境の変化に加え、ジャマイカ国内での農業支援政策の不十分さや農業設備の老朽化も、生産量の減少に寄与しているでしょう。

課題として、ココナッツの供給チェーン上での脆弱性が挙げられます。特に農家の高齢化や農業労働者不足が深刻であり、これは今後の持続可能な農業の実現には大きく影響を与えると想定されます。また、病害や害虫といった生物的影響も、生産性の低下を招いているようです。このため、農業分野の生産性向上だけでなく、災害時のリスク管理システムの導入も急務と言えるでしょう。

ほかのココナッツ生産を行う国々と比較すると、例えばフィリピンやインドネシアのように、世界の主要生産国では生産性向上のために政府支援が積極的に行われており、ジャマイカとの生産効率の格差が広がりつつあります。これらの国々では、品種改良やデジタル技術の導入、農業インフラへの投資に力が入っており、ジャマイカもこれらの対策を取り入れることで国際市場での競争力を取り戻すことが期待されます。

さらに、地政学的なリスクも無視できません。天然資源であるココナッツが需要の高い輸出作物である以上、国際的な経済状況や輸入国の貿易政策の影響を強く受けます。ジャマイカが主要市場である欧米諸国との貿易関係を維持しつつ、新興市場の開拓を行うことは、生産量の安定確保に資するものとなるでしょう。

今後、具体的な対策として、ジャマイカ国内の農地改良や災害耐性に優れたココナッツ品種の普及、それに加え農業従事者向けの教育プログラムやインセンティブの提供が求められます。また、公共・民間の協力による輸出促進キャンペーンの実施も必要です。このような施策により、ジャマイカ全体の農業基盤を強化し、ココナッツ産業の持続可能性を高めることができるでしょう。

結論として、ジャマイカのココナッツ生産量の推移には、多くの経済的、環境的、社会的要因が絡み合っています。生産量を回復し、安定的な成長へ繋げるためには、国として長期的視野に立った政策を実行に移す必要があります。そして、国際機関や他国との協力により、技術支援や貿易関係の強化を図ることが肝要です。このような具体策を講じることで、ジャマイカはココナッツ生産の再生という目標を達成できるでしょう。

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