国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ジャマイカのサツマイモ生産量は2022年に60,466トンに達し、過去数十年で最も高い数値を記録しました。20世紀半ばでは生産量が1万トン前後にとどまっていましたが、21世紀に入り安定した増加傾向を示しています。特に2010年代以降、飛躍的な伸びが見られ、2010年の34,512トンから2022年には約1.8倍に拡大しました。
ジャマイカのサツマイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 60,466 |
2021年 | 57,485 |
2020年 | 49,972 |
2019年 | 43,188 |
2018年 | 45,410 |
2017年 | 41,996 |
2016年 | 48,006 |
2015年 | 40,535 |
2014年 | 39,412 |
2013年 | 44,224 |
2012年 | 42,165 |
2011年 | 42,091 |
2010年 | 34,512 |
2009年 | 34,229 |
2008年 | 25,797 |
2007年 | 26,055 |
2006年 | 27,468 |
2005年 | 25,237 |
2004年 | 18,639 |
2003年 | 23,595 |
2002年 | 20,012 |
2001年 | 24,870 |
2000年 | 21,139 |
1999年 | 24,970 |
1998年 | 27,132 |
1997年 | 23,314 |
1996年 | 33,218 |
1995年 | 30,560 |
1994年 | 28,823 |
1993年 | 26,763 |
1992年 | 23,791 |
1991年 | 17,459 |
1990年 | 21,462 |
1989年 | 21,817 |
1988年 | 19,797 |
1987年 | 24,321 |
1986年 | 26,978 |
1985年 | 31,676 |
1984年 | 35,897 |
1983年 | 24,089 |
1982年 | 17,019 |
1981年 | 24,182 |
1980年 | 21,007 |
1979年 | 21,162 |
1978年 | 39,223 |
1977年 | 21,556 |
1976年 | 16,347 |
1975年 | 15,086 |
1974年 | 20,702 |
1973年 | 16,125 |
1972年 | 19,947 |
1971年 | 19,584 |
1970年 | 12,679 |
1969年 | 15,322 |
1968年 | 12,310 |
1967年 | 11,085 |
1966年 | 20,373 |
1965年 | 14,602 |
1964年 | 15,241 |
1963年 | 10,886 |
1962年 | 8,165 |
1961年 | 8,797 |
ジャマイカのサツマイモ生産量は、1961年の8,797トンに始まり、その後数十年にわたり変動を繰り返してきました。特に1978年の39,223トンを皮切りに、時折の減少を挟みつつも増加傾向が続いています。2010年代以降はほぼ右肩上がりであり、2022年の60,466トンという高水準は、主に農業技術の改良や市場需要の拡大の結果であると考えられます。
この増加には複数の要因が絡んでいます。まず、サツマイモ自体が乾燥や荒れた土壌にも強い作物であり、気候変動に直面する中でその栽培が有利であるという点が挙げられます。また、輸出市場の需要が伸びていることも重要な要素です。ジャマイカ国内では加工食品や機能性食品としての利用拡大も顕著であり、農家にとっての収益性が向上しています。このような背景から、同国の農業政策が作物の生産支援に重点を置き始めたことが考えられます。
一方で、生産量の増加には地域課題やリスクも伴います。たとえば、2014年は39,412トンと、それ以前と比較すれば高い水準にあるものの、2013年の44,224トンや2015年の40,535トンと比較すると減少が目立ちます。このような変動には、ハリケーンなどの自然災害が生産量に与える影響が大きく関与していると考えられます。さらに、輸送インフラや保存技術が十分でない場合、市場拡大が妨げられる可能性もあります。
地政学的な背景を考えると、ジャマイカは観光・農業に基づく経済構造を有しており、特定企業や国際市場に依存するリスクが懸念されます。特に新型コロナウイルスの影響を受けた時期には、物流の停滞や観光客減少が経済全体に波及しましたが、基本的な国内需要が支えとなり、生産量そのものへの衝撃は比較的軽度でした。ただし、今後も輸出相手国の経済状況や間断なく改善される技術的インフラが求められることは明らかです。
将来的には、さらに持続可能な農業生産体制の構築が必要です。具体的には、気候変動への適応能力を高めるための耐候性品種の開発、土壌改良技術の導入、農家への教育プログラムの提供が挙げられます。また、地域市場だけでなく、輸出ハブとしての地位を高めるため、冷凍技術や輸送網の発展にも投資が求められるでしょう。周辺諸国との協力枠組みの構築も、安定的な供給に寄与するはずです。
結論として、ジャマイカのサツマイモ生産は順調な増加を遂げていますが、この流れを持続させるためには天候リスクを克服し、輸出市場を確保する戦略的な取り組みが重要です。また、国内外を含む多様な市場に対応する生産形態を確立することで、同国の農業セクター全体がさらに成長することが期待されます。国際的な支援機関との連携を強化し、地域的な共同組織の形成も実現可能な選択肢の一つです。