国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ジャマイカのショウガ生産量は長期的な増減を経て、2022年には1,232トンとピークに達し、2023年は若干減少して941トンとなっています。20世紀中盤以降、安定的でない変動が続きましたが、2010年代以降に一貫した回復傾向が見られます。このデータは、ジャマイカの農業政策と世界的な需要、および環境変化の影響を反映しています。
ジャマイカのショウガ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 941 |
-23.62% ↓
|
2022年 | 1,232 |
25.84% ↑
|
2021年 | 979 |
12.66% ↑
|
2020年 | 869 |
22.05% ↑
|
2019年 | 712 |
10.4% ↑
|
2018年 | 645 |
7.48% ↑
|
2017年 | 600 |
-24.05% ↓
|
2016年 | 790 |
-38.57% ↓
|
2015年 | 1,286 |
0.94% ↑
|
2014年 | 1,274 |
6.34% ↑
|
2013年 | 1,198 |
10.72% ↑
|
2012年 | 1,082 |
143.69% ↑
|
2011年 | 444 |
-8.64% ↓
|
2010年 | 486 |
5.88% ↑
|
2009年 | 459 |
54.03% ↑
|
2008年 | 298 |
23.65% ↑
|
2007年 | 241 |
-6.95% ↓
|
2006年 | 259 |
-63.11% ↓
|
2005年 | 702 |
94.46% ↑
|
2004年 | 361 |
-10.2% ↓
|
2003年 | 402 |
36.27% ↑
|
2002年 | 295 |
18% ↑
|
2001年 | 250 |
9.17% ↑
|
2000年 | 229 |
-17.03% ↓
|
1999年 | 276 |
-26.79% ↓
|
1998年 | 377 |
-26.51% ↓
|
1997年 | 513 |
-16.86% ↓
|
1996年 | 617 |
36.5% ↑
|
1995年 | 452 |
-42.2% ↓
|
1994年 | 782 |
7.12% ↑
|
1993年 | 730 |
-4.07% ↓
|
1992年 | 761 |
-7.98% ↓
|
1991年 | 827 |
-4.39% ↓
|
1990年 | 865 |
31.06% ↑
|
1989年 | 660 |
4.43% ↑
|
1988年 | 632 |
-24.4% ↓
|
1987年 | 836 |
-23.58% ↓
|
1986年 | 1,094 |
78.47% ↑
|
1985年 | 613 |
11.05% ↑
|
1984年 | 552 |
37.31% ↑
|
1983年 | 402 |
-24.86% ↓
|
1982年 | 535 |
19.96% ↑
|
1981年 | 446 |
12.34% ↑
|
1980年 | 397 |
-35.66% ↓
|
1979年 | 617 |
-0.96% ↓
|
1978年 | 623 |
62.24% ↑
|
1977年 | 384 |
-57.43% ↓
|
1976年 | 902 |
6.87% ↑
|
1975年 | 844 |
8.62% ↑
|
1974年 | 777 |
14.43% ↑
|
1973年 | 679 |
13.93% ↑
|
1972年 | 596 |
43.96% ↑
|
1971年 | 414 |
9.81% ↑
|
1970年 | 377 |
26.51% ↑
|
1969年 | 298 |
-60.05% ↓
|
1968年 | 746 |
-15.32% ↓
|
1967年 | 881 |
-13.29% ↓
|
1966年 | 1,016 |
14.29% ↑
|
1965年 | 889 |
30.93% ↑
|
1964年 | 679 |
15.87% ↑
|
1963年 | 586 |
26.57% ↑
|
1962年 | 463 |
-34.14% ↓
|
1961年 | 703 | - |
ジャマイカにおけるショウガ生産量の推移を振り返ると、1960年代には安定した生産量を維持していましたが、その後は著しい変動が見られるようになりました。特に1970年代と1980年代には、400トンを下回る年や1,000トンを超える年が点在するなど、年によって大きなばらつきが特徴的です。この変動の背景には、地政学的要因、天候不良、大規模な天災や疫病、また農業政策や市場需要の変化が影響を与えている可能性が指摘されます。
21世紀初頭、ショウガの生産量は400トン前後で停滞し、2000年にはわずか229トンにまで低下しました。この時期の低迷は、1990年代後半からの生産コスト増加、輸出市場の縮小、農業従事者の減少が要因として考えられています。しかし、2010年代に入ると、再び上昇傾向を取り戻し、2013年には1,000トンを超える生産量を記録しました。そして、2022年には1,232トンと過去最高値を達成しています。この要因は、国内外需要の増加、特に有機食品市場への積極的な参入が大きく寄与していると考えられます。また、政府が農業振興策を打ち出し、ショウガの栽培条件の向上や品種改良を図っている点も一つの成功要因といえます。
しかし、2023年には941トンと前年度に比べ生産量が減少しました。この点は気候変動に関連する干ばつや洪水などの自然災害、農業従事者の高齢化、輸出マーケットでの競争激化といった複合的な課題に直面している可能性を示唆しています。具体例として、2020年代に見られる熱帯性暴風雨の頻発が耕作地に甚大な被害をもたらしたことが、ショウガの収穫量に負の影響を与えたとする分析があります。
将来に向けた提言として、まず、気候変動に対応するための農業技術の導入が挙げられます。例えば、干ばつに強いショウガ品種の研究開発や農業用灌漑システムを強化することで、安定的な生産を目指すべきです。また、輸出市場の多様化も必要です。アメリカやヨーロッパの伝統的な市場だけでなく、アジア、中東など成長著しい地域へのマーケティングを積極的に展開することが、不安定な市場に対応する手段となるでしょう。
さらに、農業従事者の高齢化が進む中では、若年層の農業参入を促進するための教育や補助金制度を整備することが重要です。特に地域コミュニティでのコラボレーションを強化し、小規模農家間でのリソース共有や、協同組合的な仕組みを活用することが提案されます。
結論として、ジャマイカのショウガ生産は歴史的に見ると厳しい局面を多く乗り越えており、現在は再び発展の道を進みつつあります。しかし、気候変動や地政学的リスクが今後の大きな課題であり、それに対応するためには、農業技術の革新、輸出市場の多様化、また農業コミュニティの発展が鍵となると言えます。国際的な協力の枠組みを活用し、国内外でのガバナンスを強化することがますます重要になるでしょう。