国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、中国の台湾 中国省におけるレモン・ライムの生産量は、1961年の586トンから2023年の32,912トンまで大きな増加を見せています。この間、生産量には年による波動が見られるものの、1970年代終わりから急成長を遂げ、2018年には41,431トンと過去最高を記録しました。しかし2020年以降、生産量は減少に転じており、2023年にはピーク時から約8,500トン減少しています。
中国、台湾 中国省のレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 32,912 |
-5.03% ↓
|
2022年 | 34,654 |
-10.82% ↓
|
2021年 | 38,859 |
-13.08% ↓
|
2020年 | 44,706 |
-3.04% ↓
|
2019年 | 46,105 |
11.28% ↑
|
2018年 | 41,431 |
13.28% ↑
|
2017年 | 36,575 |
0.79% ↑
|
2016年 | 36,289 |
-6.24% ↓
|
2015年 | 38,705 |
5.98% ↑
|
2014年 | 36,520 |
18.45% ↑
|
2013年 | 30,831 |
35.09% ↑
|
2012年 | 22,822 |
-4.24% ↓
|
2011年 | 23,833 |
31.64% ↑
|
2010年 | 18,105 |
25.33% ↑
|
2009年 | 14,446 |
-22.36% ↓
|
2008年 | 18,606 |
8.39% ↑
|
2007年 | 17,166 |
1.47% ↑
|
2006年 | 16,918 |
2.03% ↑
|
2005年 | 16,581 |
-14.86% ↓
|
2004年 | 19,476 |
7.24% ↑
|
2003年 | 18,161 |
-11.7% ↓
|
2002年 | 20,568 |
1.18% ↑
|
2001年 | 20,328 |
-1.38% ↓
|
2000年 | 20,612 |
12.68% ↑
|
1999年 | 18,292 |
17.75% ↑
|
1998年 | 15,534 |
5.82% ↑
|
1997年 | 14,679 |
25.27% ↑
|
1996年 | 11,718 |
-3% ↓
|
1995年 | 12,081 |
-6.07% ↓
|
1994年 | 12,862 |
0.8% ↑
|
1993年 | 12,760 |
-2.77% ↓
|
1992年 | 13,123 |
9% ↑
|
1991年 | 12,039 |
-9.43% ↓
|
1990年 | 13,292 |
13.13% ↑
|
1989年 | 11,749 |
11.16% ↑
|
1988年 | 10,569 |
18.22% ↑
|
1987年 | 8,940 |
-12.06% ↓
|
1986年 | 10,166 |
-0.97% ↓
|
1985年 | 10,266 |
-3.4% ↓
|
1984年 | 10,627 |
-7.14% ↓
|
1983年 | 11,444 |
-15.55% ↓
|
1982年 | 13,552 |
2.06% ↑
|
1981年 | 13,279 |
35.42% ↑
|
1980年 | 9,806 |
65.03% ↑
|
1979年 | 5,942 |
69.92% ↑
|
1978年 | 3,497 |
-52.74% ↓
|
1977年 | 7,400 |
-3.9% ↓
|
1976年 | 7,700 |
10% ↑
|
1975年 | 7,000 |
-2.78% ↓
|
1974年 | 7,200 |
136.92% ↑
|
1973年 | 3,039 |
-33.99% ↓
|
1972年 | 4,604 |
-7.14% ↓
|
1971年 | 4,958 |
11.57% ↑
|
1970年 | 4,444 |
10.03% ↑
|
1969年 | 4,039 |
16.53% ↑
|
1968年 | 3,466 |
30.94% ↑
|
1967年 | 2,647 |
105.19% ↑
|
1966年 | 1,290 |
19.89% ↑
|
1965年 | 1,076 |
41.02% ↑
|
1964年 | 763 |
8.53% ↑
|
1963年 | 703 |
12.66% ↑
|
1962年 | 624 |
6.48% ↑
|
1961年 | 586 | - |
台湾 中国省におけるレモン・ライム生産量の推移は、多くの要因が複雑に絡み合いながら形成されています。特に20世紀半ばからのデータでは、初期(1960年代初め)の生産量は年間1,000トン未満と非常に小規模でした。しかし、1970年代に入ると生産量が数倍の成長を遂げ、1980年代には10,000トンを超える安定的な生産が実現しました。増加の要因として挙げられるのは、農業技術の進歩、灌漑システムの整備、政府の政策支援が含まれるでしょう。
さらに、1990年代から2000年代にかけて人口増加とともに国内外の需要が拡大し、生産効率の向上や果樹栽培面積の拡大により、レモン・ライムの生産量も右肩上がりで成長しました。この時期、輸出需要が増加したことや、新たな消費市場の開拓がこの成長を促した可能性があります。
ただし、これらの増加傾向にも関わらず、データから一部異常な変動も観察されます。たとえば、1973年の3,039トンから1974年の7,200トンへの急激な増加、さらに翌1975年以降の減少は、気象条件や政策変更、もしくは市場構造の変化が原因と考えられます。また、2020年以降、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックが農作物市場や労働供給に影響を与え、中国国内での輸送コストや物流の混乱が影響している可能性もあります。
2023年時点では、過去のピークであった2018年(41,431トン)に比べて19%の減少を記録しています。この下落の原因としては、気候変動の影響による干ばつや台風、農業従事者の高齢化、土壌の劣化が挙げられます。一方で、国際市場における価格の変動や競争激化も無視できない要因です。特にインドや中南米諸国がレモンおよびライムの生産国として台頭しており、台湾 中国省の競争力が問われる状況にあります。
今後の課題としては、既存農地の土壌改善や生産工程の最適化が必要です。また、気候変動への対応策として、耐寒性・耐熱性の高い新品種の導入やスマート農業技術の活用が求められます。加えて、生産量が安定しない状況を解消するために、長期的な災害リスクマネジメントや灌漑設備のさらなるアップグレードが必要です。
地政学的背景から見れば、中国国内やアジア地域での農産物貿易政策の変化により、台湾 中国省のレモン・ライムが他国産に取って代わられる可能性もあります。台湾は歴史的に農業輸出で一定の地位を築いてきたものの、今後は持続可能な栽培方法と国際市場に適応した価格戦略が重要となります。輸出国としてのポジションを維持するためには、農業関連分野での地域協力の推進や、気候問題を共有課題とする国際的パートナーシップを構築する必要があるでしょう。
結論として、台湾 中国省のレモン・ライム生産は長期間にわたる成長を記録してきましたが、2020年代に入り明確な課題が浮かび上がっています。今後は、農業技術革新、労働力の効率化、気候対策など、多角的な取り組みが安定的な生産量の確保と国際競争力の向上に寄与するでしょう。国際連合や地域機関の協力を得つつ、持続可能で適応力のある農業政策を構築する必要があります。