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中国、台湾 中国省のサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによれば、中国、台湾省のサツマイモ生産量は1961年の3,233,563トンをピークとし、その後緩やかに減少傾向に入ったことが確認されています。その中でも、1980年代に急激な減少が見られ、2020年には一時的に246,002トンと回復したものの、2022年には再び224,691トンとなりました。このデータは、台湾における農業の動向における重要な指標の一つであり、食料安全保障や地域経済に影響を与えています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 228,256
1.59% ↑
2022年 224,691
5.14% ↑
2021年 213,712
-13.13% ↓
2020年 246,002
24.13% ↑
2019年 198,182
-16.12% ↓
2018年 236,266
-2.25% ↓
2017年 241,694
-0.14% ↓
2016年 242,030
5.01% ↑
2015年 230,481
-1.87% ↓
2014年 234,883
9.2% ↑
2013年 215,093
-2.46% ↓
2012年 220,514
7.11% ↑
2011年 205,868
-1.59% ↓
2010年 209,191
-8.67% ↓
2009年 229,038
7.62% ↑
2008年 212,816
6.36% ↑
2007年 200,087
-14.93% ↓
2006年 235,203
9.91% ↑
2005年 213,991
21.99% ↑
2004年 175,421
-12.2% ↓
2003年 199,800
4.36% ↑
2002年 191,448
1.3% ↑
2001年 189,000
-4.47% ↓
2000年 197,837
-9.49% ↓
1999年 218,584
16.74% ↑
1998年 187,238
-9.88% ↓
1997年 207,773
1.91% ↑
1996年 203,870
4.05% ↑
1995年 195,938
7.97% ↑
1994年 181,478
-3.3% ↓
1993年 187,680
-8.13% ↓
1992年 204,289
-8.91% ↓
1991年 224,272
12.23% ↑
1990年 199,830
-2.99% ↓
1989年 205,979
-19.16% ↓
1988年 254,791
-26.11% ↓
1987年 344,816
6.41% ↑
1986年 324,042
-12.29% ↓
1985年 369,461
-12.94% ↓
1984年 424,353
-24.22% ↓
1983年 559,960
-24.48% ↓
1982年 741,442
-11.08% ↓
1981年 833,800
-20.98% ↓
1980年 1,055,134
-13.85% ↓
1979年 1,224,758
-16.28% ↓
1978年 1,462,999
-13.68% ↓
1977年 1,694,872
-8.43% ↓
1976年 1,850,992
-22.99% ↓
1975年 2,403,440
-13.8% ↓
1974年 2,788,096
-12.97% ↓
1973年 3,203,778
9.43% ↑
1972年 2,927,708
-13.67% ↓
1971年 3,391,354
-1.43% ↓
1970年 3,440,639
-7.05% ↓
1969年 3,701,769
7.47% ↑
1968年 3,444,619
-7.4% ↓
1967年 3,719,945
7.51% ↑
1966年 3,460,106
10.51% ↑
1965年 3,131,103
-6.47% ↓
1964年 3,347,797
55.84% ↑
1963年 2,148,171
-30.24% ↓
1962年 3,079,586
-4.76% ↓
1961年 3,233,563 -

台湾のサツマイモ生産量の推移を見てみると、1960年代から1970年代にかけての数百万トン単位での高い生産量が顕著でしたが、1970年代後半から1980年代には急激な減少が見られます。このような変化の背景には、農業の近代化、消費者ニーズの多様化、都市化の進展に伴う農地利用の変化といった社会経済的な要因が関連していると考えられます。台湾では、農業技術の導入が進んだ一方で、主要作物としてのサツマイモの位置づけが次第に低下してきました。代わりに、別の高収益作物や工業作物が選ばれたことも生産量減少の一因と考えられます。

1980年代以降の急激な減少は、主にサツマイモの需要低下と関係しています。消費者の食習慣の変化や加工業者の減少により、サツマイモの生産が経済的価値を失いつつある状況が作られました。さらに、都市化の進展や労働力不足などの構造的な課題が農家の生産への意欲を削ぐ結果となりました。それでも近年、健康志向の高まりや現代的な製品への加工技術の向上により、一部の市場でサツマイモの価値が再評価されてきています。これは、たとえば2020年の一時的な生産量増加にも表れています。

しかし2022年の生産量を見ると依然として低い水準にとどまっており、これは安定的な農業基盤の構築が未だ進行中であることを示しています。生産者の高齢化や若年層の農業離れも、生産量回復の妨げとなっている主要な課題です。また、気候の変動や自然災害のリスクも無視できない要因です。台湾は台風の影響を強く受ける地域であり、それが農作物全体の収穫量減少に寄与している可能性があります。

今後、台湾がサツマイモ生産の活性化と持続可能性を実現するためには、いくつかの具体的な対策が求められるでしょう。例えば、気候に適応した新品種の開発や、生産現場へのスマート農業技術の導入が挙げられます。また、政府や関係機関は、健康志向を背景とした国内外市場の開拓を支援し、台湾の農産物のブランド価値を高めるためのマーケティング戦略にも注力すべきです。さらに、若者を農業に引き付けるためのインセンティブ制度の導入、農村地域の振興なども重要です。

地政学的背景として、世界的な食料需要の増加や輸送コスト上昇の影響も見逃せません。台湾は輸入依存を軽減し、国内での食料安全保障を強化する必要があります。サツマイモはそのための有望な作物として再度注目される可能性があります。特に、長期保存が可能で災害時に備蓄として活用できる点は、大きな利点です。

結論として、台湾でのサツマイモ生産は、歴史的な減少傾向から回復の兆しを見せつつも、多くの課題に直面しています。これを克服するには、政策、技術、マーケティングといった多方面からのアプローチが必要です。台湾がかつて持っていたサツマイモ生産の顕著な実績を再び達成することは可能であり、それは食料安全保障のみならず、地域経済や環境保護にも寄与するでしょう。