国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データを参照すると、中国台湾省のカリフラワーとブロッコリーの生産量は、1960年代から2000年代にかけて大きな増加と減少の波を繰り返しています。1961年の12,800トンから1978年の100,230トンまで急成長し、その後1990年代にかけて減少しました。2000年代以降はおおむね70,000〜90,000トンの間で推移し、2023年は67,247トンとなっています。
中国、台湾 中国省のカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 67,247 |
-6.34% ↓
|
2022年 | 71,803 |
3.47% ↑
|
2021年 | 69,392 |
-1.84% ↓
|
2020年 | 70,691 |
2.3% ↑
|
2019年 | 69,103 |
0.86% ↑
|
2018年 | 68,515 |
-2.07% ↓
|
2017年 | 69,963 |
-17.8% ↓
|
2016年 | 85,118 |
4.68% ↑
|
2015年 | 81,313 |
2.34% ↑
|
2014年 | 79,451 |
-1.97% ↓
|
2013年 | 81,045 |
4.28% ↑
|
2012年 | 77,722 |
-13.91% ↓
|
2011年 | 90,278 |
2.77% ↑
|
2010年 | 87,842 |
14.72% ↑
|
2009年 | 76,569 |
12.81% ↑
|
2008年 | 67,877 |
-0.06% ↓
|
2007年 | 67,917 |
-10.48% ↓
|
2006年 | 75,871 |
4.58% ↑
|
2005年 | 72,548 |
-8.01% ↓
|
2004年 | 78,864 |
-7.07% ↓
|
2003年 | 84,863 |
-0.75% ↓
|
2002年 | 85,502 |
-4.06% ↓
|
2001年 | 89,118 |
-6.05% ↓
|
2000年 | 94,859 |
-5.33% ↓
|
1999年 | 100,203 |
56.67% ↑
|
1998年 | 63,959 |
-10.78% ↓
|
1997年 | 71,688 |
-12.47% ↓
|
1996年 | 81,900 |
42.04% ↑
|
1995年 | 57,660 |
-2.91% ↓
|
1994年 | 59,391 |
-11.81% ↓
|
1993年 | 67,341 |
-0.24% ↓
|
1992年 | 67,503 |
8.54% ↑
|
1991年 | 62,189 |
-9.29% ↓
|
1990年 | 68,556 |
-21.87% ↓
|
1989年 | 87,748 |
-7.63% ↓
|
1988年 | 94,993 |
-13.82% ↓
|
1987年 | 110,224 |
-3.24% ↓
|
1986年 | 113,920 |
-0.78% ↓
|
1985年 | 114,821 |
-5.59% ↓
|
1984年 | 121,619 |
22.5% ↑
|
1983年 | 99,282 |
-11.39% ↓
|
1982年 | 112,045 |
5.08% ↑
|
1981年 | 106,629 |
-1.87% ↓
|
1980年 | 108,665 |
13.03% ↑
|
1979年 | 96,142 |
-4.08% ↓
|
1978年 | 100,230 |
20.22% ↑
|
1977年 | 83,370 |
15.86% ↑
|
1976年 | 71,958 |
-9.27% ↓
|
1975年 | 79,314 |
15.24% ↑
|
1974年 | 68,823 |
20.89% ↑
|
1973年 | 56,931 |
12.48% ↑
|
1972年 | 50,613 |
11.82% ↑
|
1971年 | 45,262 |
-14.9% ↓
|
1970年 | 53,184 |
-19.29% ↓
|
1969年 | 65,895 |
43.56% ↑
|
1968年 | 45,900 |
18.1% ↑
|
1967年 | 38,867 |
35.88% ↑
|
1966年 | 28,603 |
55.65% ↑
|
1965年 | 18,377 |
36.15% ↑
|
1964年 | 13,498 |
3.04% ↑
|
1963年 | 13,100 |
0.77% ↑
|
1962年 | 13,000 |
1.56% ↑
|
1961年 | 12,800 | - |
中国台湾省のカリフラワーおよびブロッコリー生産に関するデータを分析すると、長期的な変動が見られます。1960年代は生産量が比較的低い水準にありましたが、社会の食生活の改善や農業技術の発展により、生産量は1965年以降急速に拡大しました。この増加は、機械化の導入や品種改良の進展が大きく寄与していたと考えられます。1978年には初めて100,000トンを突破し、台湾省におけるカリフラワーやブロッコリーの需要の拡大、ひいては輸出の可能性を示唆するものでした。
しかしながら、1980年代末から1990年代初頭に生産量は急激に減少しました。この時期の減少要因としては、国内外の市場価格の変動、労働力の都市部への移動による農業従事者の減少、また輸入農産物が増えたことで競争が激化したことが挙げられます。また、台湾省では所得水準の向上に伴い伝統的な野菜の需要が減少し、高付加価値品目や加工食品への関心が高まったことも背景にあると言えます。
2000年代に入ると、台湾省のカリフラワーとブロッコリーの生産量はおおむね70,000〜90,000トンで安定し、外国市場への輸出や国内の高品質製品需要への対応という形で持続的な生産が維持されていることが伺えます。しかし、2023年時点で生産量が67,247トンと近年の平均値より減少し、過去数年との比較から見ても減少傾向にあることがわかります。
この減少の背景としては、地球温暖化による気候変動、特に高温や乾燥の影響が考えられます。カリフラワーとブロッコリーは冷涼な気候を好むため、地球規模の平均気温上昇が生産性に影響を与えている可能性があります。また、COVID-19のパンデミックにともなう物流網の混乱や人手不足が、生産プロセス全体に負担をかけたことも視野に入れる必要があります。
このような状況を改善するためにはいくつかの施策が考えられます。まず、気候変動に強い品種の開発を進めることで環境変化への適応能力を向上させることが重要です。また、スマート農業技術の導入により、農作業の効率化や収量の最大化を図ることができます。具体的には、気温や湿度を正確に監視できるIoT技術を活用し、最適な作付け時期や肥料の使用量を管理することが挙げられます。
さらに、地産地消の推進や農業従事者に対する補助金の提供も、カリフラワーとブロッコリー生産の回復に寄与するでしょう。また、輸出市場の開拓も中期的な対策として効果的です。日本や韓国のような近隣市場では、新鮮で品質の良い農産物に対するニーズが高いため、輸送方法の改善やブランド化により競争力を高めることが求められます。
地政学的な観点から見ると、台湾省は中国本土や世界市場との関係性で地中立的立場をとっており、地域紛争などの影響を受けない安定的な供給が期待されています。一方で、輸出先の選定にあたっては、中国や他国との貿易摩擦がリスク要因となる可能性があるため、多様な取引先を開拓し、依存度の均衡を図ることも求められるでしょう。
今後、このような課題に対応するためには、台湾省の農産物競争力を支える長期的政策が重要です。国際機関や隣国との連携を強化し、持続可能な農業システムの構築を目指すことで、カリフラワーやブロッコリーの安定供給と経済価値の高い農業を維持していく必要があります。