Food and Agriculture Organization(FAO:国際連合食糧農業機関)が発表した2022年度の最新データによると、世界での茶葉生産量トップは中国で、14,530,800トンを記録しました。次いでインドが5,969,000トン、ケニアが2,326,000トンで2位と3位を占めています。これら上位3か国は、圧倒的な規模で世界の茶葉供給を支えています。日本は304,000トンで11位に入り、独自の高品質な茶葉生産で重要な地位を保っています。総じて、アジアが茶葉生産の中心となっている一方で、ケニアやアルゼンチンなど特定のアフリカおよび南米諸国も注目される存在となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 14,530,800 |
| 2 |
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アジア | 5,969,000 |
| 3 |
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アフリカ | 2,326,000 |
| 4 |
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アジア | 1,400,000 |
| 5 |
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アジア | 1,300,000 |
| 6 |
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アジア | 1,116,746 |
| 7 |
|
アジア | 595,000 |
| 8 |
|
アジア | 440,000 |
| 9 |
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南アメリカ | 355,144 |
| 10 |
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アフリカ | 326,000 |
| 11 |
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アジア | 304,000 |
| 12 |
|
アフリカ | 207,600 |
| 13 |
|
アフリカ | 160,420 |
| 14 |
|
アフリカ | 110,000 |
| 15 |
|
アジア | 109,194 |
| 16 |
|
アジア | 107,400 |
| 17 |
|
アジア | 98,766 |
| 18 |
|
アジア | 93,479 |
| 19 |
|
アフリカ | 63,000 |
| 20 |
|
アフリカ | 50,400 |
| 21 |
|
アジア | 16,800 |
| 22 |
|
アジア | 15,883 |
| 23 |
|
アジア | 11,800 |
| 24 |
|
アフリカ | 10,406 |
| 25 |
|
アフリカ | 6,351 |
| 26 |
|
オセアニア | 5,522 |
| 27 |
|
アフリカ | 5,506 |
| 28 |
|
アフリカ | 5,119 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,981 |
| 30 |
|
アジア | 2,500 |
| 31 |
|
アジア | 2,376 |
| 32 |
|
南アメリカ | 2,013 |
| 33 |
|
アフリカ | 1,806 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,799 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,568 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,199 |
| 37 |
|
アジア | 1,001 |
| 38 |
|
アフリカ | 948 |
| 39 |
|
南アメリカ | 684 |
| 40 |
|
南アメリカ | 551 |
| 41 |
|
アフリカ | 397 |
| 42 |
|
南アメリカ | 226 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 100 |
| 44 |
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アフリカ | 93 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 81 |
| 46 |
|
アフリカ | 7 |
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2022年の茶葉生産量ランキングを見ると、世界の生産動向が鮮明に現れています。中国が断トツの生産量を誇り、世界一の座を維持しているのは、その多様な地理環境と茶文化の深い歴史に根差しています。広大な土地がもたらす生産能力に加え、近年は技術革新や自動化設備の導入により、さらなる効率化が推進されています。また、中国は緑茶や烏龍茶など多種類の茶葉を生産しており、これが輸出と国内消費を均衡させる優位性ともなっています。
インドは中国に次ぐ位置にあり、その多くがアッサム地方やダージリン地方の茶園で仕立てられています。特に紅茶の輸出では安定した需要を誇り、国内での消費も年々拡大しています。ここで特筆すべきは、インド政府が茶産業を重要な輸出産業と捉え、一貫した政策支援を行っている点です。例えば、農業の近代化を推進することで競争力を維持しつつ、就労機会の創出にも寄与しています。
ケニアが第3位にランクインしているのも非常に注目すべきことです。アフリカ諸国では最大規模の茶葉輸出国であり、そのほとんどはCTC製法(細かく刻んだ茶葉を使用して抽出しやすくする製茶方法)による紅茶の生産に特化しています。ケニアは英国などの旧宗主国との強い経済的な結びつきから輸出市場を築いてきましたが、最近では中東諸国やアジア市場にも進出し、多角的なマーケットを形成しています。
一方、日本はランキングで11位に位置していますが、特に注目すべきはその質の高さです。抹茶や玉露といった高級茶の代名詞となる製品群は、国内外の愛好家に高く評価されています。ただし、日本の課題として、生産量全体が他の主要輸出国に比べて少なく、気候変動による作物の安定供給のリスクも抱えています。近年、高齢化などの社会要因も農業生産に影響を及ぼしており、持続可能な農業モデルの構築が不可欠です。
他方、アルゼンチンやトルコといった非アジア諸国が茶葉生産で名を連ねている点も特徴です。トルコではチャイ文化が根強く、国内需要が生産を支えています。一方、アルゼンチンは南米での茶葉輸出の重要な地位を占め、特に中東諸国への市場拡大が貢献しています。
現代の茶葉生産動態を考える際には、地政学的な要因も無視できません。スリランカが1,400,000トンで4位に位置していますが、同国の政治的不安定や経済危機により、茶産業が影響を受けつつあります。輸出産業としての茶の重要性が高い国内で、これを乗り越え持続的な生産を確保するには、国際協力や収入多様化のための戦略的なマーケティングが必要です。
また、ケニアやウガンダなどのアフリカ諸国は、気候変動の深刻な影響を受けています。茶葉は降雨量や気温に敏感であるため、生産の安定性が課題です。アフリカで持続可能な農業を推進するためには、灌漑システムの整備や耐性のある品種の研究開発が必要とされます。
最後に、今後の課題として、世界的な茶葉の需給の不均衡に対応するための国際協力が求められる点があります。特に、過剰供給による価格競争が一部地域の生産者に打撃を与える現状を考慮すると、公平な取引体制の構築は急務です。さらに、消費市場が拡大しているアジアや中東に向けた新たな輸出戦略が、各主要生産国にとって重要となるでしょう。
全体として、茶葉生産の未来は複合的な課題と機会の中にあります。これを収益や生産の持続可能性向上のために活かすには、地域ごとの現状に即した政策対応と技術的な革新を広げていくことが欠かせません。