国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2020年度の桃(モモ)・ネクタリン生産量ランキングによると、1位は圧倒的な生産量を誇る中国(15,000,000トン)、2位はスペイン(1,306,020トン)、3位はイタリア(1,015,350トン)でした。一方で日本は98,900トンで22位となり、中規模の生産国として位置付けられました。このランキングでは、上位を占める国々においては、適切な気候条件や農業技術の活用が共通して見られました。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 15,000,000 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 1,306,020 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 1,015,350 |
| 4 |
|
アジア | 892,048 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 890,580 |
| 6 |
|
北アメリカ | 703,300 |
| 7 |
|
アジア | 604,718 |
| 8 |
|
南アメリカ | 309,445 |
| 9 |
|
アフリカ | 273,500 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 234,100 |
| 11 |
|
南アメリカ | 201,856 |
| 12 |
|
アジア | 189,058 |
| 13 |
|
アフリカ | 186,444 |
| 14 |
|
アジア | 184,265 |
| 15 |
|
アフリカ | 175,374 |
| 16 |
|
南アメリカ | 172,950 |
| 17 |
|
アフリカ | 159,531 |
| 18 |
|
アフリカ | 147,000 |
| 19 |
|
アジア | 121,985 |
| 20 |
|
アジア | 110,764 |
| 21 |
|
南アメリカ | 101,000 |
| 22 |
|
アジア | 98,900 |
| 23 |
|
アジア | 87,569 |
| 24 |
|
オセアニア | 81,380 |
| 25 |
|
アジア | 70,012 |
| 26 |
|
南アメリカ | 59,435 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 58,692 |
| 28 |
|
アジア | 58,120 |
| 29 |
|
アジア | 53,662 |
| 30 |
|
アジア | 53,471 |
| 31 |
|
南アメリカ | 46,752 |
| 32 |
|
南アメリカ | 40,827 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 40,000 |
| 34 |
|
アジア | 39,180 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 34,770 |
| 36 |
|
南アメリカ | 31,386 |
| 37 |
|
アジア | 30,634 |
| 38 |
|
南アメリカ | 29,819 |
| 39 |
|
アジア | 29,383 |
| 40 |
|
アジア | 29,160 |
| 41 |
|
アジア | 28,200 |
| 42 |
|
アジア | 22,241 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 20,740 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 20,392 |
| 45 |
|
北アメリカ | 19,505 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 18,702 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 17,430 |
| 48 |
|
アジア | 16,103 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 15,900 |
| 50 |
|
アフリカ | 14,616 |
| 51 |
|
アフリカ | 14,211 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 12,765 |
| 53 |
|
ヨーロッパ | 12,670 |
| 54 |
|
アジア | 11,463 |
| 55 |
|
アジア | 11,453 |
| 56 |
|
アジア | 11,347 |
| 57 |
|
アフリカ | 11,275 |
| 58 |
|
南アメリカ | 11,165 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 6,412 |
| 60 |
|
南アメリカ | 4,563 |
| 61 |
|
ヨーロッパ | 4,210 |
| 62 |
|
アジア | 4,210 |
| 63 |
|
ヨーロッパ | 3,800 |
| 64 |
|
アジア | 3,645 |
| 65 |
|
アジア | 2,290 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 2,060 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 2,020 |
| 68 |
|
アジア | 1,778 |
| 69 |
|
南アメリカ | 1,401 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 1,192 |
| 71 |
|
ヨーロッパ | 1,080 |
| 72 |
|
アジア | 1,061 |
| 73 |
|
アフリカ | 997 |
| 74 |
|
アフリカ | 994 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 430 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 215 |
| 77 |
|
ヨーロッパ | 210 |
| 78 |
|
アフリカ | 161 |
| 79 |
|
アフリカ | 142 |
| 80 |
|
オセアニア | 10 |
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2020年、世界の桃とネクタリンの生産量は、国ごとに大きな格差が見られます。トップとなった中国は、生産量15,000,000トンで、2位のスペインの約11.5倍にも上ります。この圧倒的な差は、中国が広大な農業用地を持つだけでなく、多様な気候条件のもとで桃の栽培が適している点や、大規模な農業施設の整備、生産効率向上を目的とした技術革新が関係しています。スペインやイタリアといった上位国もまた、温暖な気候と伝統的な果物栽培が経済基盤となっており、世界有数の輸出国でもあります。
一方、アメリカ合衆国(703,300トン)は6位、韓国(189,058トン)は12位、日本(98,900トン)は22位と、アジアの中でも国によって生産規模にばらつきがあります。日本の場合、生産量は限定的ですが、日本特有の高品質で甘みの強い桃が特徴であり、国内市場を中心に需要があります。しかし、生産量が低迷している背景には高齢化や農業人口の減少が影響していると考えられます。
世界全体の分布を見ると、気候条件が適しているヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸の一部が生産量の中心地となっています。地中海沿岸地域、特にスペイン、イタリア、トルコ、ギリシャといった国々は、温暖で乾燥した気候が桃やネクタリンの栽培に最適であり、国内消費と輸出の両面で重要な役割を果たしています。
しかし、このデータから生産地域の課題も浮き彫りになります。まず、桃とネクタリンの生産が水需要の多い作物であるため、水資源の利用が重要になります。特に中国の大規模な生産では、過度な地下水利用や土壌の劣化が懸念されています。さらに、気候変動が生産地に及ぼす影響も今後の課題です。例えば、温暖化による干ばつや、高温による果実の品質低下が、農家の収益に打撃を与える可能性があります。
また、地政学的なリスクも無視することはできません。たとえば、トルコやイランの生産量が上位にランクインしていますが、これらの地域はしばしば政治的不安定や紛争の影響を受けることがあります。これが桃の供給チェーンに影響を与えた場合、輸出国として依存する国々への影響も想定されます。
今後、各国がとるべき対策としては、以下のようなポイントが挙げられます。まず、可持続的農業の促進が必要です。具体的には、水資源を効率的に利用する灌漑技術の導入や、土壌保全を目的とした栽培方法の改善が挙げられます。さらに、日本のように生産量が比較的少ない国においては、高付加価値の桃のブランド化や輸出拡大のためのプロモーションが効果的です。一方、中国やトルコのような大規模生産国では、輸出の多角化や物流インフラの整備が課題となるでしょう。
結論として、このランキングは、世界の桃・ネクタリンの生産動向を俯瞰する指標として重要であり、特にアジア・ヨーロッパ・アメリカという主要地域の農業特性や課題を明らかにしています。将来的には、気候変動や地域紛争などへの対応を視野に入れた農業政策の立案が求められ、多国間の協力が生産と流通の安定化に寄与することが期待されます。