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南アフリカのオート麦生産量推移(1961年~2023年)

最新のFAO(国際連合食糧農業機関)のデータによれば、南アフリカのオート麦生産量は過去数十年にわたり大きな変動を続けており、ピーク時の1967年には生産量が169,000トンに達していました。その後、全体的には減少傾向が見られ、2023年は41,000トンに留まっています。農業技術や気候、政策の影響を受けたこの推移からは、持続可能な農業モデル構築の必要性が浮かび上がります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 41,000
37.12% ↑
2022年 29,900
-49.32% ↓
2021年 59,000
3.51% ↑
2020年 57,000
245.45% ↑
2019年 16,500
-49.54% ↓
2018年 32,700
42.33% ↑
2017年 22,975
-58.67% ↓
2016年 55,589
50.91% ↑
2015年 36,837
75.41% ↑
2014年 21,000
-25% ↓
2013年 28,000
-50.88% ↓
2012年 57,000
-13.64% ↓
2011年 66,000
94.12% ↑
2010年 34,000
-8.11% ↓
2009年 37,000
37.04% ↑
2008年 27,000
-35.71% ↓
2007年 42,000
-3.45% ↓
2006年 43,500
27.94% ↑
2005年 34,000
-8.11% ↓
2004年 37,000
12.12% ↑
2003年 33,000
-43.32% ↓
2002年 58,217
14.96% ↑
2001年 50,640
53.45% ↑
2000年 33,000
47.36% ↑
1999年 22,394
-11.51% ↓
1998年 25,308
-15.64% ↓
1997年 30,000
-9.09% ↓
1996年 33,000
-13.16% ↓
1995年 38,000
2.7% ↑
1994年 37,000
-21.28% ↓
1993年 47,000
4.44% ↑
1992年 45,000
15.38% ↑
1991年 39,000
-7.14% ↓
1990年 42,000 -
1989年 42,000
-2.33% ↓
1988年 43,000
-35.82% ↓
1987年 67,000
55.81% ↑
1986年 43,000
258.33% ↑
1985年 12,000
-85.19% ↓
1984年 81,000
-2.41% ↓
1983年 83,000
-9.78% ↓
1982年 92,000
12.2% ↑
1981年 82,000
26.15% ↑
1980年 65,000
-25.29% ↓
1979年 87,000
26.09% ↑
1978年 69,000
-9.21% ↓
1977年 76,000
-19.15% ↓
1976年 94,000
-12.96% ↓
1975年 108,000
-6.09% ↓
1974年 115,000
3.6% ↑
1973年 111,000
5.71% ↑
1972年 105,000
7.14% ↑
1971年 98,000
-19.01% ↓
1970年 121,000
34.44% ↑
1969年 90,000
-21.74% ↓
1968年 115,000
-31.95% ↓
1967年 169,000
92.05% ↑
1966年 88,000
-5.38% ↓
1965年 93,000
-22.5% ↓
1964年 120,000
15.38% ↑
1963年 104,000
5.05% ↑
1962年 99,000
-16.23% ↓
1961年 118,183 -

南アフリカのオート麦生産量は、過去60年以上にわたり、大きな起伏を伴った変動が見られます。1960年代には高い生産量を誇り、特に1967年には169,000トンというピークを記録しました。しかしそれ以降、生産量は急激に減少し1980年代には40,000トン前後の水準に留まる年が多くなりました。2000年代からは依然として低い水準で推移しながらも、一部の年には回復の兆しが見られるものの、基本的には不安定な生産量が続いています。

この変動の背景には、いくつかの要因があると考えられます。まず、気候変動の影響を指摘する声が強まっています。南アフリカは干ばつや不規則な降雨といった気候変動による影響を大きく受けやすい地域であり、これが農業生産全般に負荷をかけているとされています。また、土壌劣化や農地転用も他の影響因子として挙げられます。オート麦栽培に適している土地を他の作物や都市開発のために使用するケースも多く、これが継続的な生産減少の一因とされています。

政策面でも波があり、オート麦は南アフリカの主要作物とは見られていないため、政府の支援の対象になりにくい現状です。例えば、トウモロコシや小麦のような作物に比べて補助金や技術支援の範囲が限られているため、生産者は外的な要因に対して脆弱な立場にあります。また、農業技術や機械化の進展は一部地域では見られるものの、それが生産全体を底上げするには至っていない状況にあります。

さらに、地政学的な観点も重要です。南アフリカは地理的に他国との貿易が活発ではあるものの、経済格差や土地改革政策の行き過ぎによって一部の農地の生産性が低下しています。このような国内の社会的要因は、農業の安定性に間接的な影響を及ぼしています。そして国際市場では、オート麦輸入競争の高まりや価格の下落が南アフリカの生産者にとって課題となっています。

将来的に克服すべき課題として、まず第一に気候変動への適応が挙げられます。具体的には、耐乾性の高い品種改良や、新しい栽培技術の導入が必要です。また土壌改良を目指す取り組みや、水資源管理の強化も不可欠です。さらに、政策面での支援強化が求められます。オート麦の生産者に対する財政支援や技術的アドバイスの提供、さらには研究機関との連携を深化させることが推奨されます。

農業者個々の取り組みだけでなく、隣国との協力や地域間での技術交流も生産性向上の鍵となります。他国ではオート麦の大規模かつ効率的な生産が実現している事例が多く、日本やドイツなどの経験を参考にすることも有用です。

全体を通じて、南アフリカのオート麦生産を安定させるための道筋は決して平坦ではありませんが、科学的・政策的な改善を実行に移すことで、持続可能な農業モデルの構築が可能となるはずです。国際機関やNGOなどとも連携を強化し、グローバルな視点で解決策を模索することが重要となります。加えて、農業従事者の教育やコミュニティ内での協力体制の構築も、長期的な発展には不可欠となるでしょう。