Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新のデータによると、クロアチアのオート麦生産量は1992年から2023年にかけて大きな変動を見せています。一部の年では生産量が70,000トンを超える記録を達成したものの、直近の2023年では34,110トンと急激な減少を示しています。2000年代前半に一度生産量が上昇してから、近年では再び減少傾向にあります。
クロアチアのオート麦生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 34,110 |
-29.71% ↓
|
2022年 | 48,530 |
-18.46% ↓
|
2021年 | 59,520 |
-9.95% ↓
|
2020年 | 66,100 |
13.48% ↑
|
2019年 | 58,250 |
28.45% ↑
|
2018年 | 45,350 |
-33.63% ↓
|
2017年 | 68,333 |
-15.02% ↓
|
2016年 | 80,414 |
12.09% ↑
|
2015年 | 71,743 |
26.86% ↑
|
2014年 | 56,555 |
-6.02% ↓
|
2013年 | 60,178 |
-36.35% ↓
|
2012年 | 94,542 |
22.43% ↑
|
2011年 | 77,223 |
60.25% ↑
|
2010年 | 48,190 |
-22.64% ↓
|
2009年 | 62,297 |
-4.64% ↓
|
2008年 | 65,328 |
16.35% ↑
|
2007年 | 56,150 |
-15.73% ↓
|
2006年 | 66,630 |
34.69% ↑
|
2005年 | 49,470 |
-32.66% ↓
|
2004年 | 73,462 |
38.54% ↑
|
2003年 | 53,025 |
-28.53% ↓
|
2002年 | 74,187 |
3.57% ↑
|
2001年 | 71,632 |
16.28% ↑
|
2000年 | 61,604 |
8.41% ↑
|
1999年 | 56,823 |
1.27% ↑
|
1998年 | 56,110 |
19.9% ↑
|
1997年 | 46,796 |
18.38% ↑
|
1996年 | 39,529 |
3.38% ↑
|
1995年 | 38,237 |
-9.87% ↓
|
1994年 | 42,425 |
3.29% ↑
|
1993年 | 41,074 |
-9.25% ↓
|
1992年 | 45,262 | - |
クロアチアのオート麦生産量は、1992年から2023年の間に一貫した増加または減少の傾向を示すことなく、年ごとに大きく変動してきました。1990年代には平均約40,000から50,000トン程度の生産量を記録していましたが、2000年代前半には70,000トンを超える年が続きました。その後、2010年の48,190トンをはじめとして一時的な低迷が見られますが、2012年には過去最高となる94,542トンの記録を達成しています。ところが、2023年には近年の中で最も低い34,110トンを記録しており、これまでのトレンドとは異なる減少傾向が引き続いています。
この生産量の変動は、気候や地政学的要因、農業技術、経済的背景、政策支援など複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。例えば、気候変動による異常気象の影響や、耕作地の減少、作物ローテーションの変更が影響を与えた可能性があります。また、クロアチアは1990年代初頭に紛争を経験しているため、農地の利用状況や農業インフラの整備において制限が生じた時期もありました。
さらに近年では、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う物流の混乱や労働力不足、国際的な肥料供給不足が影響を与えた可能性も否定できません。2022年以降の急激な減少については、ウクライナ戦争による直接的、間接的な影響も検討する必要があります。クロアチアもヨーロッパの一員としてエネルギー価格の高騰や輸出入の制約を経験しており、これが農家の生産意欲や経済的余裕に影響を与えた可能性があります。
今後の課題として、まず気候変動に対応した農業技術の導入が挙げられます。例えば、干ばつや豪雨に強い品種の開発や灌漑施設の整備が喫緊の課題です。また、国際的な先進技術を導入するための施策も必要です。クロアチア国内での農業研究機関と大学間の連携を強化し、さらなる技術革新を促進することが求められます。
さらに、EU(欧州連合)の資金援助や農業政策を活用することで、持続可能な農業経営を展開できるよう支援体制を整える必要があります。また、国内市場だけでなく、周辺諸国への輸出市場の拡大を目指すための輸出港湾設備や物流インフラの改善も視野に入れるべきです。
結論として、このデータはクロアチアのオート麦生産が外部環境や国内要因に大きく左右されることを示しています。今後の政策や技術導入次第では、十分に生産量の回復と安定が可能です。国際機関や他国の成功例を参考にしながら、クロアチアのオート麦産業が再び成長するための戦略を立てることが重要と言えるでしょう。